第10話 関門海峡の行き方?
敵も味方も一切の人の気配が見当たらないまま、やむを得ずその場を後にする4人。敷島は何か思うところがあったようだが、他の3人は一切気付きはしなかった。
「どういうルートを通っていくべきだろ?」
そんな中で浦賀はふと他のメンバーに問う。考えてみれば関門海峡に向かうという目標を持ったものの、具体的にどのような手段によって向かうかは考えていなかった。
「う~ん。鉄道沿いとかどうでしょう?」
葛城の提案に頷くのは水波。
「そうよねぇ。ひとまず鉄道なら、川に橋もかかってるし、山にはトンネルもあるし。きっと迷わないよね」
「だが鉄道沿いはほぼ必然的に開けた場所。つまり……見つかる可能性が高い」
しかし敷島は難しい反応。一方で浦賀の意見はというと。
「でもそもそも敵がどんな配置かって分からないんだよね」
「あぁ」
「じゃあひとまず駅にいかない? 人が集まるところだから何か情報が得られるかもしれないし」
「人じゃなくて敵がたくさんいるかもしれないぞ」
「それってつまり、敵が『駅』を重要視してるってことでしょ。ということは、相手はある程度の知性を持つって意味じゃん?」
その浦賀の指摘に考え込む敷島。
「鋭いな……まぁ、あんな航空機を作り出す時点で知性はあってしかるべきなんだが、相手の戦略眼を確認するって意味ではいい判断なんだろうな」
これから長い距離を行くことを考えれば、どういった場所が安全でどんな場所が危険かを知る必要がある。普通に考えればわかりそうなものだが、そもそも自分たちの『普通』や『常識』が通じる相手なのかどうかも怪しい。
しかし、一度敵に会えばどうなるか分からないことも問題だ。敷島を除く3人は一度会敵し逃げ延びてはいるが、あくまでそれは鵜来じいさんの助けがあってのものだ。一切の武器も、戦った経験も技術もない。軍人ですらない民間人が、敵に会ったら逃げ切れるのだろうか。
もし逃げ切れない相手なのだとしたら、ここでその『情報』を得るために命を賭ける価値はあるのかという点が課題となる。もっとも敵陣の強行進軍を決めた今、その程度の賭けは承知の上でもあるのだが。
「というわけでどうだろ。ひとまず駅で」
「はい」
「異議なし」
「まぁいいんじゃない?」
というわけで、鉄道沿いに関門海峡を目指すとした葛城・水波は両者共に賛成。敷島もその点には同意を示し、まずは駅を向かうことになった……




