どこにいても
波の始まりはどこからでしょうか
地平線の先からでしょうか
あなたがもがいたところからでしょうか
私がどこにいても
波は打ち寄せ引いていきます
風の始まりはどこからでしょうか
あの曲がり角の先からでしょうか
あなたの吐いたため息からでしょうか
私がどこにいても
風は吹き込み抜けていきます
あなたが何者で
あなたの心に誰が住まうのか
私は分からないし
例えば知る術を得られるとして
それを持つべきかどうか
思い倦ねるけれど
朝に目覚めて
閉めきることのできなかった
カーテンの隙間から
天気を窺い知るときにも
昼休憩の
サラリーマンを見遣りながら
公園のベンチで
菠薐草入りの卵焼きを頬張るときにも
夜に沈んで
無機質な寝具を
私の温度を使って愛おしいものへと
作り変えるときにも
あなたのことを
思わずにはいられないのです
一日の始まりが
幸福の気配によってもたらされますように
一日の締めくくりが
幸福の腕によって包まれていますように
あなたにとって毎日が
良いものでありますようにと
祈らずにはいられないのです
側にいます
あなたの
隣には居られなくても
いつかあなたが
困難に出会ったなら
私の隣人の隣人が
助けてくれるように
私は親切な人になって
生きていくことにします