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最寄りから最寄りまで  作者: 境目ツツ
8/29

子音

言葉にしようと生み出した音を

口の中に溜め込んだ


咀嚼して飲み下したら

胃が悲鳴を上げたような気がした


昨日食べたうどんみたいに

今朝食べたお粥みたいに

消化されて栄養素になって

私の身になれば

まだ良かったのにと思った


母音で語る赤子が羨ましかった

何にも妨げられない音が格好良かった

いつだって

思考に遮られている私が

私は嫌いだった



言葉にしようと巡らせた思考を

「まぁ、いいか。」が完結した


保たれた室温に慣れた頃から

視索前野は怠慢を覚えたみたいだ


真夏に入ったプールみたいに

真冬に入った温泉みたいに

取り除いて付け加えて

私の熱量を一定にできたなら

もう少し上手くいくのだろうと思った


苦しくなるくらい熱い人が羨ましかった

冷めて見える静かな人が格好良かった

いつだって

ナナドヨンブの微熱にもならない私が

私は嫌いだった



こんなに嫌なのだから

別れてみるのもいいだろうと

引き剥がそうとしても

どうやら私は私と離れられないみたいだ



それなら私は私に妨げられないように

それなら私は私に遮られないように


それなら私は私の熱さを保ちながら

それなら私は私の冷たさを理解して


私に語りかけたなら

私にくらいは届いてくれるだろうか

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