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最寄りから最寄りまで  作者: 境目ツツ
1/29

私の最後が今日だとして

今日が最後だとして

私の最後が今日だとして


この日がその日だと

風に吹かれる蝶が

騒がしい蝉が

前脚を振り上げたカマキリが

知らせてくれますように


私はいつもより早く1日を始め

あなたは日常の端に目覚める


終幕の中くらいは

いい人として映りますように


ぴたり密着して

力の限り抱き寄せることを

私なりのさよならとしましょう


猶予があるならば

謝罪と感謝の言葉を文字にして

あなたに残したい



今日が最後だとして

私の最後が今日だとして


温度 仕草 口癖 視線

過ごして接した一切が

あなたに溶けて

消え去りますように


時折

いくらか交わりきれずに

残ったものを

見つけ出して抱きしめた後


頻繁に目につかない場所へ

気が向いたら取り出せる場所へ


大雑把に元に戻し

またいつか思い出して

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