魔術師はじめる
あ~よく寝た。こんなに寝たの小六
以来じゃね?
あれ?なんかもふもふ。
俺はうす目をあけてもふもふの正体を
見る。
つぶらな瞳。茶色い毛。
お前ポチじゃね?三年前死んだはずの
お前がなんでここに?!
もしやここは天国か!?
そっかー..俺、殺人鬼に殺された
もんな。
「!!!!?」
「あら?やっと目覚めたの?」
俺の横には十歳くらいの白髪の少女と
ポチに似てるけどポチの三倍デカイ犬。
コスプレか?
「えーと、あなたはどなた様ですか」
ゆっくり体を起こす。
体が痛くない。あんなに刺されたのに。
「私?えーと..そうね、ノア..よ。
あなたは?私が見つけた時は
傷だらけで瀕死だったのよ。
何があったの?」
「えっと...
何もわからなそうな少女だけど、なぜか
信頼できそうだと感じたので、
今までのことを話した。
とにかく誰かに話したかったし。
「本当に災難でしたよ。まさか俺ん家に
殺人鬼くるとか、トラウマものですよ。
魔法陣とか本当ですよ!精神病とかじゃ
ないですからね。」
緊張で少女相手に敬語になってしまう。
「何だかよく分からない単語が出てきた
けど大変だったのね。
そんな小さいのに、苦労したのね。」
「小さい?何言ってるんですか?
30代のおっさんだし、ノアさんなんて
子供じゃないですか?」
そういうとノアさんは??は??って
顔をしてきた。
そうか、子供って思われたくない年頃
なのか。と思っていたら鏡を出された。
鏡には可愛らしいショタッ子がいた。
俺はショタコンじゃないけど可愛いと
わかるぐらいの美少年。
俺が笑うと笑顔を返してくれる。
俺が手を上げると同じ動きをする。
なんだか、可愛いらしい。
「あはは、ノアさん。こいつ可愛い
ですね。」
「何言ってるの?鏡に映ってるのは
あなたでしょ?」
「へぁ?」
俺は凍りつく。そこにいたのは、
少年の頃の俺だった。
不健康な生活をしたせいで、デブスに
なったけど、少年期の俺は可愛いと
ちやほやされたもんだった。
「え?!なんで俺こんな小さくなって
るの?!」
「あなた、年も変わっちゃったのね。
まあ、異世界に来れば変わるものも
あるわね。」
「いせかい...?」
「あなたの話からわかったのは、あなた
が異世界から来たってことね。」
「...ノアさんったら、コスプレの
世界観のめり込み過ぎですよ。
異世界って..そんなバカな話」
「じゃあ、どうしてあなた小さく
なったのかしらね?」
「それは..黒の組織のヤバイ現場見て
毒薬飲まされたとか..」
「なんの話か知らないけど、現実逃避
しないの。じゃあ、あの生物はあなたの
世界にいるの?」
そう言ってノアさんが指差したのは、
妖精。..みたいなもの。
「それに、あなたを見つけたのは三日前
なのに、何で傷が全部直ってると思う?
治癒魔法使わなきゃ無理でしょ?」
「....」
はい!論破!みたいな感じを出され、
ぐぅの音もでなかった。
ノアさんはその後でこの世界はどういう
ところか説明してくれた。
。今いるところは妖精の森
。この世界にはいろんな種族がいる
(悪い魔物もいる)
。魔法を使える
。ノアさんの実年齢は俺(34)より年上
。犬はポチじゃなくてケロベロス
。ノアさんはこの世界の地図をつくる
ために冒険している。
この世界について知っているのはこの
6つだけだ。
後ろの3つはほぼノアさん関係のこと。
ケロベロスをペットにしてるだなんて
とんでもないところだよ...
ポチはケロベロスの特長である三本の
首がなく、首が一本なので安かった
そうだ。
「ところでノアさん。」
「なにかしら?」
「俺の何歳ぐらい年上なんですか?」
「520...いや620?まあそんな
感じね」
ロリババアは最強の萌えポイントだから
これは知っておいて損はないだろう。
それから、もうひとつ知りたいこと。
「あの、怪我をしていた俺の近くに
白いリボンでツインテールの女の子は
いませんでしたか?」
「さあ?見てないわね、どうして?」
「あ...妹なんです。」
そうか。妹はこの辺にはいないのか。
もしかしたら異世界にいないかもしれ
ないな。
そんなことを考えていたら、ノアさんが
立ち上がった。
「そろそろ行こうかしら。」
「どちらに?」
「地図をつくるために次の大陸に行こう
と思うのよ。」
「あの....
僕もついていってもいいですか?」
そう言いつつ、あざとく上目遣いをして
みる。
置いて行ったら泣くゾ!という目で
見る。
「ああ、いいわよ。」
以外にあっさり言われた。
良かった。魔法も使えない中、置いて
行かれたら魔物とかに襲われて死ぬ
だろうから。
もしかしたら、この体で無邪気なふり
をしていれば、お姉さんのケツを
触っても軽~く許されそうだ。
俺はロリババアより巨乳JK派だ。
よし、今度実践するか。
そんなこと考えながらも返事する。
「いいんですか!ありがとう」
「見た目そんなでも中身はおっさん
でしょ?よこしまな事考えないでね?」
「いやぁ、俺、貧乳は興味ないん...
でぇあっ!
バチンと音が響く。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
ノアさんの強烈な一撃でほっぺが痛い。
「それじゃあ、今日はここで野宿ね」
「はぁい!!」
あの後口を聞いてくれなかったノアさん
がやっと口を聞いてくれたので、
元気な声で返事をした。
野宿とか、したくなかったけど。
寝床の柔らかい草の上で寝そべる。
ふぅ~異世界かぁ..悪くないな。
可愛いロリババアと冒険できるし、
あっ!この服もズボンも
冒険者って感じでいいね。
ノアさんが買ってくれたのかな?
スエットだとしまらないしね!
俺はそう思いながら目を閉じる。
数秒後ガバッと起きる。
この服を着た覚えが全くない..
のに服を着ている
↓↓↓↓
ノアさんが俺を全裸にして服とズボン
を着せた。
顔が熱くなる。
「ノアさん!」
「なによ...眠いんだけど」
「この服着せてくれたのってノアさん
ですか?」
「そうよ。」
「その時...“みました”?」
「........。
すーぅすーぅ...ぐーぐー」
わざとらしい寝息を立てるノアさん。
「いっ...
いやああああああぁぁ!!!!」
俺の声がこだました。