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ウリエラの相談

…うん。確かに優秀だった。道案内の奴隷の人。俺たちに道が必要ないということを知ってからは特にその優秀さがわかった。

セラスはフェンに乗っているためあとは俺たちの問題で、道案内の人は獣道とも言えないようなところを魔法で歩くし、俺ら龍種は疲れを知らないから問題ないし、リウスは常時『夜王』を発動させてるから身体能力は高い。まあ疲れればフェンに乗っければいいし。コッペリアは言わずもがなだ。

だから俺らが曖昧に、どこか綺麗な場所とかなんとかいっても一直線で目的地まで行けるし、ブラクティシア魔法師連盟国って言ってもあっちですと指さしして一直線だ。

この奴隷、聞くところによるとかなり高名な魔法師みたいだが、研究づくめでお金を稼ぐために奴隷になったという。この大陸で言う奴隷とはなんだ、派遣社員みたいなものなのか?

そんなこんなでブラクティシアに到着。時間にして3時間。結構寄り道してこれだから、道案内さまさまだ。


「わぁすごい!」


科学文明レベルはファランより下程度。だが魔法の技術が高く、魔法の発達によって文明の発達が遅れていると見れる。魔法文明レベルならこっちが断然上だ。

そんなブラクティシアは、人々が宙を飛び交い、使い魔と呼ばれる飼い慣らされた魔物が文書やら荷物等を運び、ホウキがひとりでに玄関前を掃除していて、そもそも宙に浮けないと玄関に入れない家もある。まさに魔法の国だった。


「私、あのお店行ってみたい!」

「はいよ、まずは宿を取ってからな」


地面を歩くと、逆に人通りが少ない。まぁそりゃ、空をびゅんびゅん飛んでりゃわざわざ地上を歩く必要もないわな。

キョロキョロと宿を探していると、遠くからこっちに向かって一直線に飛んでくる少女を見つけた。どうやら俺たちに用があるようで、彼女は乗っていた乗り物から降りると、すぐさま頭を下げて


「冒険者の方ですね!?どうか私の同居人を探してくれませんか!」


と言った。

髪は水色、目は金と赤のヘテロクロミア。身長は150cmの人種で、年齢は15歳ほどと言ったところか。セラスと歳は近そうだ。ほっそりとした体躯だが、内蔵する魔力量は多い。もしかしたらあの魔王に匹敵するほどに。


「名乗りが後になってしまいました、私はウリエラと申します。同居人が数日前から信号もなく帰ってこなくて、誰も行方を知らないのでなにかあったんじゃないかと」

「なるほど…詳しい話を聞きましょう。セラス、いいか?」

「もちろんよ。冒険者らしいし、そうでなくても放っておけないわ。どこか落ち着ける場所があるといいのだけど」

「ありがとうございます。それでしたら私の住居にご案内します」


そういって案内されたのは7LDKほどの一軒家だった。ちなみにいままで道案内に貢献してくれた奴隷さんはブラクティシアに入ってから用済みだとでも言わんばかりに奴隷商の支店に帰ってもらった。別れ際に手厚くご馳走と1000ウェイズほどのチップをあげたけど。

家の中は綺麗に片付いていて、どこか生活感がありながらも家全体が研究所なのだろうと伺える。なにせ、そこかしこにまとまった論文らしきものが整理されておいてあるのだ。掃除はよく行き届いていて、家の中をルン○のように徘徊するゴーレムが世話しなく掃除をしている。


「こちらへどうぞ。……申し訳ありませんが、さっそくお話を聞いてください。数日前…3日前ほどですか。私の同居人は定期的に国遊…国を見て回ってくる仕事というか、趣味と実益を兼ねた役割があるのですが、普段は1日で済ませてくるはずのそれが丸2日経っても帰ってこなくて」

「なるほど…信号がないとのことでしたが、いままでもこういったことは?」

「3年ほど前から週1回で国遊に行っていたのですが、同居人がそれを始めたときから2日かかって帰ってくることはなく、その上信号も絶やしたことなんて無かったです」

「信号はどれくらいの頻度で?」

「少なくとも3時間に1回は信号を発するように言ってあり、アンディも…あ、同居人の名前です。アンディも最初から前回まで欠かすことはありませんでした」

「最後に信号が途絶えたのはアンディさんが出発して何回目の信号でしたか?」

「3回目の信号の時間です」

「それならここから少なくとも6時間から9時間の間の範囲でなにか痕跡があるはずだな…」

「そう考えて私も連絡が途絶えたその日から捜索したんですが、なにも見つからなくて…突然消えたかくらいしか考えられず。アンディは使い魔に大鷲を使っていますので、地面の痕跡を追うこともできなくて」


突然消えた、か…移動手段に空路を使っていたとなると、方角を絞ることもできなくなる…のが普通のことだ。だが、俺らは違う。


「わかりました。アンディさんが飛び立った場所を教えて頂けますか」

「こちらです」


と、よく手入れされている庭の一角にある、開けた場所に案内された。どうやらそこは話にあった大鷲の家となっているようで、所々に羽が落ちている。正直足跡をたどれれば問題ないのだが、羽があるのならこれも活用しようか。


「この羽一つもらいますね」

「はい」


話のわかる少女でよかった。

犬が臭いで人を追跡できるように。俺ら龍種は、視ることで万物を追跡することができる。俺も最近、龍玉の力を体に蓄えることができるようになって、龍の身体能力に関する権限が上がってきたからできるようになった。

今回使うのは『龍眼』という権限だ。この『龍眼』という権限は龍種ならもれなく持っている権限で、千里眼やら各種魔眼やらの効果を内包する権限であり、内包する権限はその龍種が何を司っているかによって変わる。

例えば炎を司る龍であるムスペルヘイムの『龍眼』には、千里眼と魔力眼、燃焼眼、威圧、覇気等の権限がまとまっているし、氷を司る龍なら燃焼眼の代わりに氷結眼になっていたりする。もれなく『龍眼』に含まれているのが千里眼、魔力眼、威圧、覇気だ。

このなかで、追跡に使うのが千里眼と魔力眼である。千里眼は言わなくてもわかるだろう。魔力眼とは、文字通り魔力を視る眼のことである。体臭と同じように、全ての生物は生命活動に魔力を消費、あるいは排除しているために魔力の痕跡が残る。それを辿っていけば探し人も簡単に見つかるというわけだ。

ウリエラは悪い子ではありません。

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