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神話の存在

「はっ、君が?君が、神?」

「信じられないか?」


まぁ当然か。ぽっと出の竜人が実は創造神だったと言われてもは?となるに違いない。だがそれは紛れもない事実だ。


「そりゃそうさ。そう言えば、龍を祀る古い宗教があったね?たしか龍教とかいったか…ああ、そうだそうだ。最近新しく、龍神とやらを信奉する新しい派閥ができていたね。指導者は…セラスとヘイルと言ったかな?かなり反発が起きてるみたいだけど…君がそれに関係していると?」


そうか…セラスとリディル王が新しく作った新派は大きな反発を生んでいるのか。まぁセラスと、そしてあのリディル王が先導する派閥だ。上手いことやっているんだろうな。…今は思い出に浸っている場合じゃない。目の前の敵に集中しよう。


「いいか?古いと言うことは星神話にそれだけ近いということだ」

「ふふ、龍教の暗部に体と記憶を改造でもされたかい?それで祭り上げられて。その思い込み…今僕が、晴らしてあげるよ!!」


メガネ野郎が抵抗龍力を指向性を以て俺へと当ててくる。

なるほど、いまなら見える。蛇頭の変な奴が俺に絡んで、首筋に牙を立て…その瞬間、俺は質量を万倍にも上げた。30光年ほどの全長になり、もともと宇宙よりも重かった質量が何万倍にもなって、収縮は加速する。だがここは精神世界、冥府。物理法則はアテにならず、質量なんぞなんの意味も持たない世界だ。安心して全力を出せるというもの。

ちなみに何倍にも質量を増やしてしまったのはただ力を制御しきれてなかったためだった。今度は5メートルほどの大きさになって、視線を合わせてやる。


「な、なんだい今の…で、出鱈目…そう、出鱈目だ!神は…創造神は…創造神アルスは死んだはずだ!!」

「ふっ、それこそ、なにを根拠に」

「10年前に遺跡から出土したブラドスト叙事詩だ!2億年前、ブラドストが邪神デシングより人類の自由を奪った後、分身を作って弱っていた創造神アルスは何らかの要因で青色の月となり、いずれ力尽きて消滅したと、そう書いてある!!」

「お前、俺がもともとどんな色をしていたか、覚えているか?」

「ふっ、何をいま、さら――っ!?」


メガネ野郎が顔色を変え、狼狽えた。


「そう、青だよ。神龍アルスヴァーンはな、夜空と同じ漆黒の体を持っていてな。強大すぎる自分の力を封じるために、龍神ヴァーンへと降格し空と同じ青色となって世界を見守っていたんだ。しかしそれだけじゃわからないんだよ。上からみるだけじゃわからない。人間の世界なんて、人間になってみないとわからない。だから竜人になって、人間の世界を旅して回っていた」

「そんな…そんな訳のわからないことを!そんな神話はどの書物にも書いてあるわけが――」

「俺が神だ!俺が成すこと全てが神話であり、お前ら人間が主観で書いた書物なんぞ空想の物語にすぎない。ブラドスト叙事詩?真実じゃねえ叙事詩なんぞ、叙事詩とは言わねえよ。ブラドストの空想物語だ。神話ってのは人間が作るもんじゃねえ。明日の神話は、俺が作る!」

「バカな…バカなバカなバカなバカなバカな!!人類史に残る全ての神話は偽りだと!?出鱈目だ!!…いや、ならここはなんだ?冥府だろう?冥府の証明は果たされている。それはいままでの神話が真実だという証明に他ならない…インヴィクル神はここにいる…邪神デシングは存在する。つまり創造神アルスは力を7つに割り弱体化している。お前の存在は作られたものということに他ならない!」


これだから凝り固まった頭の良いやつは。自分の価値観が真実だということを疑わず、その価値観を覆す事象を間違った価値観で否定する。目の前にある事象が全ての真実を語っているというのに…そういえば。一つ、こいつは面白いことを書いていたな。


「そういえば、お前。宇宙の真理とやらに興味はないと言っていたな?」

「ははは、そうだよ。僕の研究対象は神話。神話の証明だ。インヴィクル神の証明なのさ」

「それなら少し、宇宙の真理とやらを学んでこい」

「ふっ、宇宙の真理とやらには…うっ――」


メガネ野郎の意識が膨大な情報の渦に流されている。しばらく寝てろこの野郎。あわよくば永遠に寝ていてくれればいいんだけどな。

さて、メガネ野郎は置いておいてだ。結局ここが冥府っていうのにはかわりない。ただ、冥府ってのはもとからあったものなのだ。メガネ野郎の言う神話からすると、俺が力を7つに割る…まぁこれは予言されたようで気持ち悪いが、合ってはいる。だがその力から邪神デシングなんてものは生まれてない。邪神デシングがいないということはインヴィクルなんてものも生まれては…ん?なにか、視線が――


「ねえ、誰?あなた、誰なの?意識がある人間がどうしてこんなに来るの?悲しい…悲しいわ。ああ嘆かわしい。デシング様を穢した人間どもが、なぜ、なぜ!!なぜ平気な顔をして、生きていられる!?許せない…その穢れがデシング様を穢したというのに!!許せない許せない許せない許せない許せない」


な、なんだこいつ?身長140センチくらいの少女だが…めっちゃ体をくねらせてる。それに、なんだ、この…ゾワゾワっとする気配は。ヒステリックなだけではこの気配は出せない。神である俺が怖れるほどの気配は…


名前『リヴィアタン・インヴィクル』

位『最高位』

種族『純血:アルヴデビウルグ』

権限『耐久力1』『耐性4』『筋力4』『魅了1』『熱魔法:暖6』『熱魔法:冷4』『運動力魔法3』『大地魔法3』『空間魔法4』『闇魔法7』『万能魔法5』『孤独10』『威圧3』『神格10』

上位権限『リヴァイアサン』

特殊権限『冥府の主』『贖罪の手』『悪魔』『嫉妬の悪魔』『邪神の威光』

権能『悪位10』『神位5』『敬虔なる使徒:邪』『邪神の加護』『嫉妬』『左目の涙』『リヴィアタン』


なんだこいつ……リヴィアタン?リヴィアタン・インヴィクルか…インヴィクル?インヴィクル!?こいつはあの、あのインヴィクルか!?


「ここは冥府。私の場所。私だけの場所。私達だけの場所なの!!」

「くっ!?」


インヴィクルからなにか、不協和音が響いた。意識が一瞬ぐらつく。今の俺の意識を、一瞬だけでもぐらつかせたということに俺は驚愕した。


「そういえばあなた、私が知ってる人間の形じゃないわ。あなた、なに?ねえあなた。あなた、なんなの?」

「俺はアルス。アルスだ」

「アルス?アルスね…アルス?知ってるわ。私知ってる、知ってるわ私。アルス。創造神アルス。神龍アルスヴァーン。神龍アルスヴァーン・ラピスラズリ・ブラックウィステリア」


な、なぜだ!?こいつ、俺がフルネームを言ってないのに言い当てやがった。もしかしてこいつも他人の権限の詳細を見れるってのか!?


「そう、そうよそう。デシング様を生んだ、創造神アルス。デシング様が苦しい時に助けなかった創造神アルス。デシング様が苦しい時に、居もしなかった創造神アルス!!ああ憎い憎い憎い憎いデシング様を生んでおいて救わずに…妬ましい妬ましい妬ましい妬ましいその存在がその生がその全てが妬ましい!」

「がっ!?」


インヴィクルの腕が俺に傷を負わせた。神龍の俺に、傷を負わせたのだ。

な、なんだ!?久しぶりの痛み。だが、俺に傷を負わせる?なんの能力だ!?俺に傷を負わせたのは、インヴィクルの…爪?いや、あいつの腕、右腕が蛇になっている。あいつの本性は人間ではない…そりゃそうか!!…ちっ、だめだ力が持たない。神龍の状態を維持してる間に出る悪影響を防ぐ力が持たない。それで焦って下手に全力を出せば冥府を潰しかねない。そしたらリウスの魂も一緒に潰れてしまうかもしれない。こうなったら一度、竜人の姿に戻るしかない、か…。

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