表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/106

炎龍顕現

2話同時です

俺たちは地核、星が自転しているときに位置が動かない本当のど真ん中にある祭壇を目の前にしていた。内部は激しく炎が波打ち、耀かんばかりに新しい龍種の誕生を祝福しているように感じる。

そんな祭壇の前に、手をとるようにキュリスが出る。


「アド、恥ずかしがってないで、出ておいで?大丈夫、みんな、良い龍だから」


そうキュリスが語りかける。するといっそう激しく炎が踊る。妖精達が新たな王の誕生を祝福するように。次第に炎の色がオレンジから青、青から白となったところである一点へと収束した。そこには焔のごとき灼熱を纏った、綺羅雅(きらびや)かな鳳凰が、キュリスの後ろに隠れるようにして顕現していた。


「ほら、アド。あいさつあいさつ」

「は、初めまして…」


どうやらアドと呼ばれる炎龍は内気な性格なようだ。どっちかっていうと炎のほうが氷よりも活発な感じがあったので意外に思う。

俺はアドに向かって笑顔で挨拶を返した。大分警戒されているようだが、キュリスほどではない。


「初めまして。俺はアルスヴァーン、君のお父さんと言える存在だ。君の名前は?」

「…アド。アドミニオン・ヴィ・マーキュル、です」

「そうかそうか、良い名前だな。俺もキュリスのようにアドと呼ばせてもらおう。その代わり、アドも俺をお父さんと呼んでくれ」

「お、父さん…?」


ずきゅん。なんともまぁ父性を刺激してくれるではないか。さて、キュリスの人間形はロシア美幼女だが、アドの人間形はロシア美男児なのか。


「アド、俺と魔力連結をして欲しい。一度人間形になってもらえないかな」

「いい、けど」


と人間形になったアドはやっぱりというか、キュリスと同じロシアン美形だった。どこかキュリスと似ている顔立ちは、やはりというべきか、おなじ"熱魔法"系列ということで双子なのだろうかと思わせる。まぁ最高位龍種にそんな概念などないが。

もうすっかり、アヴくんのおかげで連結しやすくなってる上に手慣れてきた魔力回路連結もぱぱっと終わらせて俺の目的は達成だ。今の神位は4。アルヴテリアへの干渉権限は全盛期の半分くらいだろうか。まだ戦闘技術はないが、力押しだけならあの魔王にも劣らないと思える。時と運動力の権限、そして生命、心の権限の力を取り戻せはしていないが、威力だけなら問題ない。

さて、とキュリスとアドに向き直り今後の予定を聞く。


「俺らはこのままインヴィクルを追う。二人はどうする?」

「ぼ、僕はこのままここで…」

「外で遊ぶの楽しいからついてくよ!アドも行くって!」

「ええっ!?」


……まぁ、一緒に行くということで良いだろう。と、旅の同行が決まってミレイユが改めて挨拶を済ました。ムスペルヘイムはずっと恐縮したように人形に成りきってキュリスに抱かれている。

とりあえずの目的はインヴィクルの支部を破壊しまくって本部がどこかを突き止め、精神と命を司ってると思われる龍玉を回収すること。

ノースブラント北方の拠点を粗方潰して回ろう。




「あはは!!あは、あははははははは!!」

「燃え尽きろ!」


いや、こりゃだれも予想つかんだろうが。まさかアドが目覚めたことによって性質が反転して、キュリスに暖かいものではなく冷たいものをあげたらテンションが上がるなんて。アドにはその逆で暖かいものをあげたら喜び勇んで敵に突っ込んでいったよ。目の前の大軍、いや大群か。その数、数百万。その全てが、死人(しびと)。そのど真ん中に、焔を纏って。


「おいムスペルヘイム、あれはどうするんだ」

「我にはどうにも」

「お前の主人だろうがくそう」


まぁ、極北の大地ノースブラントといっても北極があるわけでも特別寒いわけでもない。太陽が物理現象で熱を発してるわけではないためである。だけどまぁ、赤道よりは太陽当たんないよねってことで寒くはなっているのだが、いま地上には第二の太陽どころか第八くらいの太陽が出現して、一瞬で消失、絶対零度の液体窒素のようなものが流れ込んでは第九の太陽が。

凶悪すぎる。熱対策して戦いを挑めば寒さで凍え。寒さ対策してくれば熱さで溶け。そんな天災とやらが半年、半々年かけてどころではなく、まして月単位でも週単位でもなく時間単位。それも最小の秒で変わる変わる、変わりまくる。

骨は急激な温度差でぼろぼろになり朽ち果て、肥料となる。それを見ていた目の前の敵は、恐れわなないていた。


「な、何事だあれは!!?」

「わた、私の軍勢が…」

「お前らは原初龍ってのを、知っているか?」


セブンティワンス。そう名乗った男は確かに死者の扱いに長け、火葬の文化が未だないアルヴテリアでは数百万もの軍勢を集めるのは容易かっただろう。そしてそれを1つの物として世界に認識させ、一瞬で転移させたフォーティワンスと呼ばれた男の技量も見事と言える。だが、だがだ。


「星を、世界を創った原初の龍、アルス。そして知ってるか?原初龍アルスは、一方ではこう呼ばれ恐れられているんだ。世界に悪が蔓延りし時、終焉をもたらす龍、終焉龍アルスとも。俺は原初龍、またの名を終焉龍アルスの使者ヴァーン。勇者ヴァーンだ。覚えておけ、お前らが愛してやまないマッマのインヴィクルのとこ(冥府)に送り届けてやるからよ、泣きべそかいてマッマのパイパイでもちゅっちゅしてなベイビーども。原初龍のお友達のヴァーンくんにいじめられたってなぁ!!」

「き、きさまあああああああ!!」

「我らを愚弄するかあああああ!」


突撃してくる二人の敵。セブティワンスは巨大な獣の骨に戦わせ、自分は安全な肋骨内部にいる。そんな獣の骨が大顎を開け、俺へと迫ってくる。フォーティワンスはまだ自分を飛ばせるほどの技量がないのだろう、多種多様なものを飛ばしてくる。だが。俺が直接戦わなくとも、常にミレイユがついていてくれているのだ。幸いこの二人、フォーティエイスと呼ばれたウシャンほど強いわけではなく抵抗龍力を持っていなかったためミレイユの力が弱体化することはない。それゆえに。


「ふむ、インヴィクルよりも妾が恋しいか。いいじゃろう」


地面が隆起し、二人を挟む。その力は生半可なものではない。文字通り、大陸プレートと大陸プレートとの間に挟まっているほどの圧力だろう。

俺に切られるか。ハイテンションな二人にいじめられるか。ミレイユの双丘に挟まれて埋もれるか。その中で敵は、ミレイユの双丘に埋もれることを選んだというわけだ。まぁ埋もれるほどミレイユの胸は…


「いてぅ」

「なにか失礼なことを考えておったじゃろう」


まぁ双丘と言っても比喩でもなんでもなく文字通りの二つの丘だ。その間に挟まれて埋もれたいなどとよほどの自殺志願者か、どうしようもない変態かだ。そして挟まれて埋もれた結果は母なる大地へと還る。インヴィクルとどちらがいいかなんて比べようもないな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ