次元解放
「ヴァーン様、そろそろ次元の開放をしてみては?」
「次元の開放?」
「はい、ヴァーン様自ら動くのも神手が足りませんので、次元の開放をし、転生者の受け入れをするのです。」
「なにそれ。何か役所に提出する書類ってある?」
「ありませんよ。これまた転生者受け入れを念じながら次元に歪みを入れてください。」
「なにそれ難っ!」
とりあえず言われた通りやってみる。…案外出来たんだが。
「すぐに転生者が増えるという訳ではありませんので、未来にいきましょう。」
「あいさ。」
しっかし今転生したら大変だぞ?だって古墳時代も同然の文明だし。まぁ永久機関はあるけどさ、魔法っていう。けど、さすがに火葬にしてほしいよね。だって動く骸骨や死体がいるし、ね。じゃ、出発。
未来についたら…平安時代の文明!どころではなく、中世くらいの文明に超発達していた。
「ねぇ、ウリエルさん。ここどこ?」
「ヴァーン様の星です。そろそろ名前をつけてもよろしいのでは?」
「これ明らかに俺の星じゃないよ!?たった200年でどうしてこうなった………あと星に名前つけれるの?」
「はい、ほとんどの星は創造神がつけてますよ。」
「地球は?」
「地球、番外世界の1番は神々、および天使は不可侵です。稀に神域に爪の先を引っかけた人類が私たちにお告げを求めるので爪の先を引っかけた証として言葉を投げ掛けますが、それ以外は不可侵ですので番外世界の1番は特別なことがないのです。」
「番外世界?」
「番外世界とは神々が多くの世界とは違う条件で作った世界のことです。ヴァーン様が暮らしていたの世界での呼称ならば、α(アルファ)は不可侵、β(ベータ)は複数の神が管理、γ(ガンマ)は多数の神が意見を出しあって可決された案を取り入れた世界、δ(デルタ)はすべての事象に神の手がくわえられた世界、ε(イプシロン)は月がない世界、ζ(ゼータ)は太陽がない世界、η(イータ)は人類がいない世界、θ(シータ)は…」
「まってどれだけあるの?」
「全部で12です。」
「それだけなんだ。んじゃ、どんな名前にしようかな。俺の名前から取ろっかな。」
「よろしいのでは?」
「んじゃ、アルヴテリアはどう?」
「いまいちピンときませんが、まぁいいでしょう。ではアルヴテリアで決まりですね。」
『アルヴテリア…アルヴテリア……ふふっ良いですね。』
「なんかいつもより声跳ねてない?」
「い、いえ?しょんなことないですよ?」
「いま噛んだ?噛んだよね?」
「うるさいです。それはいいですからさっさと状況報告をしてください。」
「はい!失礼しました!」
部下に失礼しましたって謝るのって絶対変だよね…?まぁ自分が悪いときは素直に謝んないといけないけどね。
「えーっとね、賢者といわれている人が複数人いるな。絶対転生者だろ。あと絶対王権の国が多い。まぁ中世くらいの文明だしな。特に竜人に多い傾向があるけど、微々たる差だな。」
「魔法はどのように?」
「古墳時代のころとあまり変わってないっぽい。けど、魔法に特筆した人も複数人。こいつら、時魔法を対物に仕様できるんだけど。」
「対物?」
「うん。例えば石の永久保存。さすがに有機物にできるものは少ないけど、無機物だったらほとんどができるみたい。」
「もはや時間をあやつるところまでいったのですか…」
「空間魔法は空間を短縮、空縮と呼ぼうか。空縮をできるものが少数だけど複数人。こいつらは魔法剣士として王の側近とかにいる。まぁ相手との距離を縮めるんだから剣士としてうまくやれるし、空縮をするのも魔法の腕が特筆してないといけないし、ね。だから大国に1人いるかいないかだよ。」
「なるほど。」
「魔法に関して、他には特にないかな。あぁ、それと冒険者ギルドがあるね。これは他世界にあるのかな。あと探索者もいる。」
「冒険者と探索者の違いは?」
「主に戦闘しながら宝物、魔石を集めるか、戦闘しないで未開の地の調査をするか。探索者は危険も多いから、冒険者のパーティーに1人か2人いる。戦闘ができないってわけじゃないから、後方で弓の支援か魔法での筋力upや活力upとか。」
「支援魔法もあるのですか。」
「うん、これは俺の力に直結してる万能魔法の類い。創造神の力が他者の体を変化させてるって感じかな。まぁ俺が直々に使ってる訳じゃないから効果時間が決まってるんだけど。」
「ふむ…先程話に出た魔石とは?冒険者はなにと戦うのでしょうか?」
「魔石はアルヴテリアを覆う俺の力が固まって塊になったもの。冒険者は魔石を核とし俺の力を肉体として形作られた魔物と呼ばれる人間を襲うものと戦うみたい。」
「魔石、魔物はヴァーン様が名付けたのですか?」
「いや、賢者が名付けたみたい。」
「了解です。このような事例も多数ありますよ。」
「へーそうなんだ。あ、これから俺、どうしようか。」
「これからは地上に降りて人類の生活をみてください。地上に降りないと細かいことまで気付けないので。」
「はいよ~。」
まさか人間の頃の俺になるなんて思いもしなかったな。使わないかなって思ってたし。
「まずは竜人の国からで。」
「あ、はい。」
あ、そうなの。人間形体はお預けかな。
「なんで竜人なの?」
「王権国が1番多いからです。なぜ多いのかを知ってください。」
「あいよ~。」
地上に降りる途中の上空で俺は龍神形体の容姿のまま竜人へ。地上に降り立ち周囲を確認。ほとんど上空で確認できたが。
「ついたな。王国は防壁があって、ここは街道より外れたところにあるんだな。よし、防壁の方にいくか。」
なんかウリエルが返事してくれていたからか、心で思ったことも声に出してしまう癖がついたような。
「おう!にいちゃん、見ねぇ顔だな。初めてか ?」
「おう、そうだ。お前は門番か?」
「おいおい門番も知らねぇのか?みりゃわかんだろ。まぁいいさ。どこからきたんだ?珍しい容姿してんじゃねぇか。その尻尾も剣なのか?」
「あぁ、ちょっと上(上空)の方から来た。」
「上?ってっと、地図の上の方か?ということは北だな。」
「あ、それとこの尻尾は…まぁ聞かないでくれ。」
「お、おう。大変なんだな…にいちゃん。まぁいいさ!にいちゃん、この国になんの用で?」
「ちょっと観光に、と。」
「了解した!じゃ、入国審査するから出身と年齢、名前を行ってくれ。」
「出身は…何て言うんだろうか。年齢もわからん。名前はヴァーンだな。」
「お、おう。まじで大変だったんだな…」
うん、大変だった。宇宙で生まれるわ星創るわで。年齢もタイムトラベルしてるからわかんないし。
「文字は書けるか?」
「書けねぇ、代行してくれるか?」
「お、おう…まぁ、気を確かにな、にいちゃん。」
「ん?どういう意味だ?」
「まぁ、気にすんなって。」
「…?」
「とりあえず、書いておいたからここに血を垂らしてくれ。これ針な。これはこの国で犯罪を犯した時の身分を証明するためのものだ。血を垂らすことによって他人のを使ってもすぐにバレる。だから盗むやつなんてそうそういないぞ。」
「ほい。」
「よし、入国するときに入国金が必要になるんだが、その様子じゃ持ってないだろ。後払いでもいいから必ず払ってくれ。んじゃまぁ、ゆっくりしてけよ。」
「ほーい、じゃぁなー。」
こうして俺は入国に成功した。
ヴァーンに血は流れていないので、垂らした液体はヴァーンが自分の細胞を元に作った血のようなものです。