おとん
「そうか、ミレイユ。俺は」
「アルスヴァーン。原初の存在にして終焉をもたらす龍。原初龍、または終焉龍と呼ばれる存在じゃろ?」
そうか。龍種の前知識にはそんなことが刷り込まれるのか。だがその前に。
「俺はお前らのお父さんでもある。子供がいる世界を壊したりなんかはしないさ」
そうだ。だから俺は神龍になってはいけない。部分的にならば問題ないが、完全に神龍になってしまえばビッククランチが起きてしまう。
だがそんなものは結果でしかなく、過程で言えば俺は神龍になるために龍玉の力を強制的に回収してしまうのだ。
前回、神龍形態になったときはこの力を利用して座標を特定した。
だがもうそれは、今となっては最高位龍種…俺の子供たちの命を強制的に奪うことにほかならない。それだけは、あってはならない。
楽観的に、ついでにアルヴテリアを見るため旅をしながら回収すればいいかとその時回収しなかったのが悪かったのかどうかは分からないが、俺は後悔はしていない。そのおかげで、子供が生まれるのだから 。
「ふむ…やはりこの初めから備わっておる知識というのは当てにしてはならんものじゃな。はなから信じるつもりもなかったのじゃが」
「…?」
俺にはどういう知識が備わっているのかは分からない。だが、ミレイユがそうするというのならば俺に言えることはないだろう。
「原初龍…ヴァーン…アルス?なんと呼べばいいかの」
「最初に生まれた最高位龍は、お父さんと呼んでいるな」
「お父さん…呼びづらいのじゃ。おとんでいいかの?」
「好きに呼んでくれて構わない」
おとん…おとんか。見た目は和風の美幼女だが、中身もそれに近いのか?
とヴァーンは抱き抱えていたミレイユを地に降ろす。
地、と言えばミレイユが生まれる過程で地球が割れていたがはて、今は元通りになっている。いや、強いて言うならば山が消えているが、その周辺の森はそのままだった。
「ミレイユは今後どうするんだ?」
「そうじゃな。妾には守るべきものは無い。いや、強いて言うなら地球上の全てが守るべき対象じゃ。地龍ゆえにの。だからの…」
ともじもじしながら言いよどむミレイユ。少し前までの俺ならばこの仕草に香奈を重ねて逃げていただろうが、皆等しく俺の子だと。そう結論付けてしまえばそうさした問題でもなかった。だから、俺はやさしく聞き返す。
「遠慮なく言ってくれ。俺の子だ。出来る限りのことは協力する」
「う、うむ。その…妾を、おとんの側に置いておいてもらいたいのじゃ」
ならば、とミレイユは恥じらいながら言った。これが、仏も見ればたつ乙女というやつか。いや、ある意味では立てなくなるが。俺は決してペドフィリアの類いではないが、この幼女が自身の子供ではなく、妻もいなかったのならば心を奪われていたに違いない。それほどに、破壊力があった。親バカフィルターを抜きにしても、だ。
「もちろん構わない」
「いや、深い意味はないのじゃぞ!?独りになるのが心細いとかそういうのじゃなくてじゃな。人類についての見識を深めたいという意味でそれならばおとんと一緒のほうが効率がいいということでじゃな…ん?」
「構わないと言ったんだ。いや、俺としては望むところ、だな。よろしく頼むよ」
この旅に目的があるとしたら、子供の誕生に携わるというのが妥当だろうか。1人より2人。どれほど嬉しいことか。どれほど楽しいだろうか。想像すれば明るいものしか浮かばない。
「そ、そうか。ならば、遠慮なく甘えるとするのじゃ!」
そう、ミレイユは月も落ちるほどの笑みではにかんだのだった。
「で、その女児を拾ったと」
「怪しい」
「怪しいな」
「怪しいのじゃ」
「おい」
とミレイユまでもが俺を責めるが、冗談だろう。冗談…だよね?
時刻は午後4時。信短たちと合流し、事の顛末の説明をし終えたところだ。
信短たちは俺が中に入ってしばらく周辺で暇を潰し待っていたという。だが5時間もするとただ事ではない規模の大きな地震が発生し、一旦避難。大規模な地割れが出来たと思えばその地割れから巨大な球体が出て来て、それにひびが入ったと思ったらものすごいプレッシャーを感じ、しばらく隠れていたというわけだった。
「まぁここで話しても仕方がない。ここいらの魔力が高かったのと作物が一切根付かないのは関係ないんだろ?」
「ならば、一旦戻り状況をまとめるのが得策か」
「そうですね」
と、ミレイユを連れ一旦城へと戻るのだった。
いやぁ…はい…えっ??って思いましたよ…はい…26話の冒険者区域で3の時も気づくのに1年半くらいかかってますが、今度も2年くらいでやっと気づきましたよ…ということで…
たいっっへん申し訳ございませんでしたああああああ!!!!!!!
7,8回見直してるのに気づかないとは!!試練の後に入れるはずだった話をまた割り込みし忘れていました!!元となる文章はあるので2020年11月28日に更新しました…重ねて申し上げます、申し訳ございませんでした。




