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2人のヴァルグランダ

33話 2人のヴァルグランダ


まだ確信はできないが、首しか狙ってこないと言うなら楽勝だ。セラスたちを危険にさらすまでもない。


-そう。俺がドラクレート相手にやったように周囲の魔力を取り込まないのは、セラスたちに危険が及ぶからだ。


魔力に反発するのではなく、魔力と共存して()生きている生物にとって周囲の魔力が減るのは死活問題だ。しかしだからといって完全に周囲の魔力に依存しているわけもなく、体内、精神内に魔力をためるための貯蔵庫的なものがある 。これは個人差があり、肉体的、精神的にも関係する才能だ。体のどこかを鍛えれば魔力の貯蔵庫的なものを鍛えられるってわけでもないが、それでも最低限、周囲の魔力が無い状態でも何もしなければ1時間は生きられる程度の魔力は貯蔵できる量はあるとウリエルは言っていた。しかし、それは衰弱状態を無視した、周辺魔力の消失から死亡までの時間。他に何が起きるかもわからないし、念を入れるに越したことは無いだろうと思い周囲の魔力を吸収することはしていないのだ。


とりあえず、首だけを狙ってくるというのなら首の防備を上げればいい。


俺は首の鱗に魔力を纏わせ、鱗の権限を上げる。


権限というのは肉体の魔力と精神の魔力、固有的なものだと魂の魔力が関係している。魔力がその権限を継続的に使える量に達した時に権限が上がる、会得するのだ。すこしマニアックな話になると、魔力にも個人差があり、その魔力の色のようなもので権限への特性が変わってくる。だから魔法の属性もあり、それを扱う存在に魔法の属性の得意不得意があるわけだ。肉体の魔力が上がれば肉体に関係する権限が増えるし、精神の魔力が上がれば使える魔法も威力も増えてくる。そして魂の魔力が上がればドラグハートのじっちゃんのように異常なほど強い権限を得ることができるのだ。


ここで1つ応用ができるのだ。魂から精神に魔力を流すことはできないが、肉体を動かすのが精神な以上、肉体と精神に相互に魔力を流すことはできる。魔法を使うときに肉体の魔力を精神に流すことによって魔法の威力を上げることができるし、肉体に精神の魔力を流せば肉体も一時的に強くなる。これは逆のことも言えて、肉体の魔力が少なくなると精神の魔力が流出していき、精神の魔力が少なくなると肉体の魔力が少なくなる。魔力を使いすぎると意識が朦朧とし、体に力が入らなくなり気力もなくなるのはこの弊害だ。しかし、肉体と精神の魔力が通る通路的なものが大きく、どちらともに魔力を流すのが上手い個体はその通路的なものを通る時に消費する魔力が極端に減る。そのような個体は魔力効率が良かったり、魔力の回復が速く無尽蔵とも思える魔力を使えたり、魔力を使いすぎてもすぐに体を動かせたりする。

魔力を回復する手段はいたって簡単で、体と精神を休めるだけだ。体を休めると周囲の魔力を体内に吸収、その個体に合わせた魔力に変換する能力が回復し、精神を休めると気力により魔力が生成される。

前までの俺、今のアヴくん、要は龍玉はこの効率が100%…どころではなく、精神から魔力を微弱でも作ればその魔力が自然界が放出する無駄なエネルギーを利用、増幅し体内で魔力を作りまたその魔力が、と永久機関の比ではない。もちろん、魔力を使いすぎれば衰弱し弱体化するが、俺が小型化したように体につかう魔力を少なくするだけだ。アヴくんのつかう魔力の全体を100%だとすると、30%を自身の体の持続に使い、約20%を貯め、約30%は龍種の権限にある外部貯蔵庫に自動的に貯められ、約20%を外部に漏らし、0.1%で体内でつかう魔力10%を作り、オーバーした分を俺に流すということをしている。そして俺はもらった分の100%を自身の持続につかうという非常に効率の悪いことをしている。正直、アヴくんからもらった分だけでは神位5を維持、神界、平行世界過去未来の自分を繋ぐ、神龍モードを抑えるその他もろもろをするのもきついのだ。現在は俺の精神が生み出した魔力でかろうじて戦っているという状況。あまり長続きはさせたくない。


防御を上げた首にヘイルの剣が触れる。ヘイルの剣による接触爆発を使い、ヘイルから距離を取る。


「しぶといぞ。」


が、ヘイルが一瞬で距離をつめてきた。


チッ!このままではじり貧かクソ!!


俺はヘイルを迎え撃ち、反動を利用して距離を取る…が、それは相手にも準備の1手を与える事と同義だと俺は身をもって知ことになった。


「時間稼ぎが効くと思うなよ。そろそろ潮時だ。久方振りに全力を出してやろう。」


ヘイルはそう言い、何かを詠唱した。そして上空に転移…いや、瞬間移動し、アヴールトーランが完全に覆った上空に眩い光が広がったと思うと-


-模倣権限:『低位龍・炎化』


「一瞬で終らせてやる…ヴァルグランダァァァ(突然変異竜人種)!!」


極光がものすごいスピードで迫ってくる。スピードも熱量も規模も高位竜の本気の火球の比ではない。…だが、ドラクレートと比べるのは酷なものだろうか。…さっきは俺が避けるという1手をつかい、ヘイルが奥の手、という1手使った結果、こっちの準備も整った。


「アヴくん!」

「はい!…活きのいい家畜よ。大いなる父の意向により家畜風情で最初に誘われることを感謝するがいい。アヴールトーランよ。我が意思に従い願いを叶えよ!」


-そして、空間が割れた。

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