大家族
11月分です。
「む、外観に比べて結構広い。外から見た感じじゃ神殿というより祠っぽい感じだったんだが…中の空間を大きくしているのか。」
空間は縦横高さ共に100mはありそうだ。そして奥に階段があり、上の階もあることがわかる。さて、この調子だと何階あるのかがわからないぞ。
…登ること15階。4階から階層ごとに魔物が出て来てたが…そろそろしんどい。最初は竜の卵とまぁ無視したが、次は竜の雛とやるにやれない相手だったし、次は幼竜とこれまた…次は低位だったからと思いきやなんか雛と幼竜の姉弟っぽい仕草みせるし…次も兄妹だったのはいい…まぁよくないけど、双子なのか2体一緒だったし、そんなのが15階まで続くとかなんなのこれ。俺は竜の大家族を見に来たんじゃないっての。いや、成長過程か?まぁどのみち序盤の雛みちゃ殺れないどころか闘えもできないわな。そして16階にもなると祖母とその姉妹がでてきた。下手に会話ができるのがもう嫌。おばちゃんトークに付き合うのだって疲れるんだよ。なんだって無限ループに付き合わなきゃいかんのさ。さっき同じ話題で盛り上がったろっていうに。
「はい17階!!」
気合いを入れて登ってみてもいるのはよぼよぼの白い竜。
「のぉ若者よ。ちょいと翼の根元を揉んでおくれ。凝って仕方がないのでのぉ。」
殺せるか?即答しよう。無理だ。むしろ翼の根元を揉むまである。というか揉んでる。んな渋い声でねだられたら堪ったもんじゃない。デコピン1発でも折れそうな骨だぞ?力加減に十分注意せねば。
「お、いい力加減じゃ。そうそうその調子。ふぉ、ふぉ~気持ちえぇのぉ~。」
ずいぶんと間抜けな声を出すが、まぁこの凝りようじゃ仕方がない。久しぶりにエステティシャンとしての技術をフル活用してやるか。
と熱心にマッサージすること2時間。翼の根元だけじゃなく、いつの間にか全身をやってしまった。
「ふう、結構やっちまったな。やりがいがあったぜ。御仁、体の調子は?」
「ありがとなぁ若いの。体が羽のように軽くなったわい。1000年くらいは若返ったかのぉ。」
「それは良かった。体を程よく動かさなければすぐに固まってしまうので、風呂上がりにストレッチでもしてください。」
「感謝する、若いの。御礼といってはなんじゃが、上にいるのは3頭竜じゃ。十分注意せえよ。」
「お大事に!」
3頭竜か。見たことないから、すっげぇわくわくするぞ。
と元気よく18階に登ってみても案の定。
「こんのトカゲ頭が!!」
「はぁ!?ふざけんじゃねぇぞこの糞製造器が!!首引きちぎってやろうかあぁ?」
「もうやめようよ…お客さんきちゃってるよ…」
体一緒だろ?という突っ込みはともかく、3頭竜は話に聞いた剣が生えてる竜だった。尻尾は3つ、翼も3対あり、飛ぶことに特化している体躯だと伺える。
「ねぇ二人とも…お客さんが困った顔してるよ…」
あの弱気な首には好感が持てる気が―
「ぐだぐだうるせぇ!やめろっつってんだろうがまとめてむしられたいかあぁ!?」
「「はいごめんなさい。」」
―するだけだった。
「す、すいません驚かれましたか?えっと…19階のもう1体の竜王ともにここを守護するドグラグググです。その…ぼくがドグで、右があなたからみて左がラグ、右がググです。」
「ラグだ。」
「ググだ。」
「下界では竜王ドラグと呼ばれています。こちらのほうが一般的ですね」
竜王?ということは最初の高位竜よりもずっと強いということか?これは警戒しないとな…いまの俺より強かったら、危うく殺られかねない。そして形態変化か。どんな感じだろうか。
「あなたから血のにおいはしないので、下の階の家族達を傷つけていないと感じられます。その上、17階の最強の竜王、ドラグハート・デコンラプソディというぼくたちのひいおじいちゃんと戦った形跡もないので、王を利用しようという気持ちも無いのでしょう。双方とも無傷でここまで来たのでぼくは戦いません。ですが、19階の破壊竜ドラクレート・フォールンメテオには注意してください。」
まてまて。あのよぼよぼの御仁が最強?そんなまさか。
「あ、ひいおじいちゃんが最強ということを疑ってますね?おじいちゃんが最強な所以は、全てのダメージを反射する事にあります。」
え?なにその権限すげぇ。
「故に、その俊敏さと膂力で体当たりをすると、全てのダメージが相手に加わるので、ぼく達でも敵いません。毒なんかも耐性が高いので、効かないですし。」
しゅん…びん?りょ…りょく?そんな速くて力強そうにはみえなかったが。
「それでは上の階へどうぞ。あ、あと後程話があるので用が終わったら西端で待ってます。」
「お、おう。またな、お前ら。仲良くな。」
お言葉に甘えて19階へ。19階は他の階とは違い、10倍以上も大きい部屋だ。
「やっと来たな。俺を相手にできる奴が。…じっちゃんは論外だけど。さぁかかってこい勇者よ!手下からきいたぞ、全力を軽々と受け止められたとな!俺の全力、受けとめてみろ!」
そういって吐き出す火球はやばいとしか言いようがない威力。ぎりぎり尻尾で受け止められたが、最初の高位竜の全力じゃ比べ物にならない。
「小手調べで蒸発してしまう雑魚が多かったが…おもしろくなりそうだ。」
小手調べだったのか。
ドラクレートは血筋なのか最強の竜王の御仁や3頭竜と同じ白色。だが決定的に違うのが、その体だ。飛ぶことに特化している体躯だったのが3頭竜だが、こいつは桁がちがう。悪く言えば飛ぶことしか能がない体だが、良く言えば飛行は誰にも負けない。3頭竜は立体的な飛行を可能としているだろうあの3対の翼をつかい、尻尾の剣を振り回して戦うのだろうが、ドラクレートは上空から高威力のブレスや火球を雨の様に降らす戦闘スタイルだろう。なるほど、だからメテオなのか。一言で表すと…そうだな。形的にはモ○ハンのア○ツマガ○チに似ている。龍といわれても納得するぞ。
「俺の高威力の物量、味わえよ!」
そういい周囲に火球を貯め、一気に放出。洒落にならない。
俺は周囲の魔力を一定量体に取り込み、火球を捌く。が、1発くらってしまった。
「ぐっは!?いてぇ。超いてぇ。」
「ぐはははは!直撃しても生きていられるか。ならこれはどうだ?」
まだくるのか。
ドラクレートは口内に熱を溜め、熱線として放った。避けきれず直撃を受けた俺は体が耐えきらなかったのか、蒸発してしまった。




