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2日目

出会って、2週間エスコートすると約束してから2日目にしてこれか。はぁ…着物もプレゼントできてねぇし。


「ま、目的地はわかってんだからさ。焦る必要もないよな。」


そう言いながらも3年後アルヴテリアに接近するはずの隕石まで転移し、粉砕。半径9kmの結構大きめな微惑星だったが、すこし拳が痛くなるほどで済んだ。


「はぁ、ほんと、なんで気づかなかったんだろうか。自分で『虫の知らせ』なんて権限がついてる物持たせといて。ドジというより阿呆の所業だぞこれは。いっそドジってことにしといて国の1つ2つ滅ぼしてみようかなぁ…なんて。沙梛…香奈……いつ、いつ会えるんだ?」


まぁ悩んでても仕方がないか。だって、時空転移はもう出来ないのだし、ここができる限りの限界点なのだから。


そう、ここは時空転移できる限界点。つまり俺はこれ以上先にいっても未来を知るということができないということ。未来視なんかもまったく効果がない。そう、まったくだ。これ以上先のことを視ようとすれば真っ暗な未来しか見えず、行こうにも門が開かない。過去に戻ったとしてもこの歴史を必ず辿るというのは、過去の自分が未来視を使ったのを過去視で見たとき、過去の未来視では俺が知っているだけの未来が見えたことで理解した。要は、俺が自分の手で進めた事象でしか未来は解放…開かれないということ。ここで1つ矛盾ができるが、これは矛盾たりえない。龍種とは、そういうものなのだ。過去の自分は知っていることを知るだけ。現在の自分は知っていることを知る時を見るだけ。現状は未来の自分が現在の自分と重なっている。つまり、未来の自分は現在の自分なのだ。そして未来が開かれていないということは選択肢が1つしかないということ。自分の選択した物が選択肢になる。だから多次元もいまここでは、現在俺がいる次元しかなく、収束している。ということは、いまの俺は多次元時空同一存在ではないということ。しかし、今の俺が死んでも過去の俺は死ぬわけではない。死んだ事象以外の選択肢を選べばいいのだから。まぁ死んだ瞬間次元が分散し、その分散した自分が死んだ次元に反映されるからすぐ甦るのだけども。それが高位龍と最高位龍の明確な違い。最高位龍は死なないのだ。まぁ死んだら死んだでこの世界からそれが消えるのだけども。例えば光を司る最高位龍なら、その最高位龍が死んだ場合その世界から光が消える。俺を死なせたいなら分散した次元の俺も同時に殺すか、次元の分散を阻止するか、俺を殺し続けるしかない。俺がいるから世界があるのだし、俺がいるから殺害者は俺の世界に存在し続けられるのだから。


「とりあえず戻るか。ここには魔力がないから、どこに降り立つかわからないけど。」


俺は一旦心を落ち着かせてから魔力は使用しない、俺固有の能力の転移をする。


「む、ここはどこだ?」


周囲を見渡せば広大な大地に雲1つ無い空。俺は自身の座標を知るため、魔力による地形観測をする。


む?座標が動き続けている。それに地上から4kmと、結構高い位置にある。ここはもしかすると、浮遊大陸じゃないか?なら魔力濃度が高いのも頷ける。うまくいけば龍玉を回収できるかもな。


俺は魔力が濃い方へ向かう。龍玉は魔力を万物から創造し、発生させているからだ。2kmほど進むと、何か神殿のようなところがあった。


「無人のはずなのに文明があった形跡があるのはおかしいよな…来る間に生物と会ってないし。とりあえず中に入ってみようか。」


とりあえず中に入ろうとすると、急に影が降りた。何事かと影の先…上空を見ると、今朝方見かけた高位飛竜がいた。


「竜人よ。我らの子孫よ。何故此処に立ち入る?この地への資格者以外の立ち入りは認められていない。資格者が現れたという知らせも無かった。無理に立ち入ろうとすれば、妨害があったはずだ。その攻撃を押しきってまで此処に立ち入る理由は無いはずだ。故に問おう。何故此処に立ち入るか。」


聞いた限り、飛竜にもコミュニティっぽいのがあるのかな。それに此処に立ち入ろうとすると妨害、か。なにかの防衛手段を確立しているのかね。


「俺の力を取り戻しにきた。あるだろ?ここに。魔力を発する玉が。」

「ほう、我らの王を簒奪しに来たというか。堂々と言った事に免じて、準備することを許そう。」

「あぁ、ありがとさん。」


傲慢か、寛大なのかはさておき。俺は虚空空間から尻尾の剣を取り出し、尻尾に装着。さらに装備屋のおっちゃんから回収しといた装備を付け、準備完了だ。おっちゃんの仕事が早すぎてやばい。相手は単騎で国をも滅ぼせるほどの敵だ。低位竜の比ではないだろう。慎重にいかねば。


「準備はいいか?ならば始めよう。」


高位竜が声高く吼え、ブレスを放ちながら飛び立つ。それを小太刀で切り伏せ、高位竜の位置を探る。高位竜はブレスを放った後、それだけで満足せず、尻尾をしならせ、宙前転の攻撃。


「ちっ!」


危うくくらいそうになったが、即座に尻尾の剣で受け止める。


「ほう、我の攻撃に耐えられる武具というのは珍しい。それなりに名のある匠が打ったものか?」

「いいや、生まれつき生えてた奴だ。」

「より希少だぞ。尻尾に剣が生えているという竜は珍しく、さらに人類と交配し、成功した個体なぞ聞いたこともない。」


いるにはいるんだ、剣が生えてる竜。


「手に持つ方の剣は欠けている様だがな。無理もない。ひと吹きで街を灰塵にできる我の火球を受け止められたというだけでなく、切り伏せたのだ。原形があるというだけでもその剣は栄誉なことよ。」


ちっ買って早々か。まぁおっちゃんに高位竜のブレスを受け止めたと言えば、この高位竜の言うとおりだと喜ぶんかな。まぁあの方のお金をコピって買ったもんなんだから早々にぶっ壊すわけもないが。


「さて、次は本気でゆくぞ。武器に不足はなし。我が全力を矮小なる体躯で受けとめてみせよ!」


高位竜は腹に力を入れ、火球を育てている様子。直ぐに吐き出し、口元でさらにため、今度は尻尾で打ち抜いた。散弾となった火球1つ1つに最初の火球以上の力がある。さらに高位竜は思い切り吸った空気を全力で吐き出し、散弾となった火球にぶつける。続けて羽ばたき、さらに空気を送られた火球は白くなり、物凄い速さで迫ってきた。それを見た俺は思った。明らかにオーバーキルだろ、と。そして同時に感じた。これ、大国でもやばいんじゃね?、と。


俺は迫り来る雨を剣を盾にしガード。すぐに重みが加わり、激しい波が来た。疲れの知らない体で良かった。どんな剣士でも腕が疲れ、散弾を浴びていただろう。俺の立つ地にはクレーターの1つも出来ていないが、おそらく魔力がこの浮遊大陸をそうさせているのだろう。地上なら一瞬で焦土と化していた。そしてこれはまだ1発。まだ何回も打てると考えて良いだろう。


「軽々と受け止めるか、これを…なるほど、貴様が勇者か!見たか同胞よ!これが人類代表の力よ!!」


人類代表?生憎と人類じゃないが…あ、ちょっとまって!?なんかいつの間にか周りに生物反応が!急激に離れて…あ、どっか行った。


「さぁ続けよう。これからは我が挑戦者。死ぬ気でいかせてもらうぞ!」

「勝手に盛り上がってもらって悪いけど…殺りづらいから寝てくんない?」


頭部へ向けて跳躍し、尻尾の剣の腹でごつんと1発。


「ぐはぁ!?」


一瞬で意識を刈り取れたようだ。


「はぁ、なんともまぁ。」


いなかったはずの生物が一瞬で現れて一瞬で消えたことには謎が残るが、気にすることはないか。


「ま、中に入るか。」

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