1日目の夜 5
時計を見ると、23時を回りそうだった。
「お、もうこんな時間か。明日に備えて、寝るか。」
「そうね。ヴァーン、電気消してくれる?」
「あぁ。」
電気を消し、床に入る。床っていってもベッドだけどな。
「ヴァーン?寝ちゃった?……そう、おやすみなさい。」
パチリ、と瞼を開ける。コピー完了、転移。竜人形態…解除。
セラスは…寝たか。すまないな。俺の心が落ち着かないんだ。しかし…生け贄か。竜人の王国…リディル王国が…というか、アルヴテリアにある宗教が信仰する神は…俺だ。この世界の唯一神だしな。神に生け贄を捧げ、国の発展を図る…か。正直、すべての宗教から捧げられる祈りにいちいち答えられるわけがない。転移する前に作ったコピーは、俺の分身っちゃ分身だが、意識はない。最高位・高位龍種は多次元時空同一存在だ。過去、未来の俺は現在の俺だし、過去の俺は現在、未来の俺、未来の俺は過去、現在の俺だ。そして別次元…平行世界の俺もこの世界の俺だし、この世界の俺は平行世界の俺でもある。だから俺を殺すのならば、すべての次元と時空の俺を同時に殺さなければならない。だが、もし最高位・高位龍種を殺せたら現在へと繋がる過去が無くなるわけで、殺された現在が無くなり、死体、存在までもが消える。要は未来に殺される龍は最高位・高位龍になった瞬間存在が消えるということだ。どの時間、未来現在過去、全て同一存在。だから時空移動した時に移動した分、俺がやるはずの事象の記憶が入ってこなかったのだ。おっと、脱線した。要は1つの時空に2人はいられないということだ。だからコピー、分身に任せるということもできないのだ。多次元時空同一存在というのは死なないというところでは便利だが、こういうところで不便だ。まぁそれは置いておいて、生け贄を助ける方法はどうするか。手っ取り早いのは国を潰すという方法なんだが、それは手段にもなりえないから却下。セラスを連れてどこかに逃げる、というのもセラスは戦争で負けた国が要求される取引の要求で、セラスが来なかったらセラスの国が潰される。しかも他の生け贄も助けられないときた。…なにか、なにかないのか?あ、ザーヴァントのところにいくか。座標特定、転移。
転移した先は少し先に小さな村が見えるところだった。意識を向けると、奥に立派な屋敷が見える。
竜人でも家建てるのな。まぁ土作りだが。…そういえば、こんな夜に訪ねたら迷惑どころか強盗に間違えられね?ってか、ここ、王都北側よりも結構離れてるから1時間ちょっとぐらいじゃここまで戻ってこれなくね?ドレーク本人のとこに転移した方が早いか。状態変化、竜人形態。座標特定…転移。
転移先は…やっぱりヨーメイか。そりゃそうだよな。うん。部屋は…隣じゃねぇか!!
『コンコン』とドアをノックするも、返事はない。そりゃそうだ。もう0時回ってんだから。しかし、タイムリミットが2週間と決まってるうちの1日を無駄にするのはデカイ。だから、無理にでも起きてもらわなきゃ困るんだよ…っと。
ドレークの夢に干渉し、無理やり起こす。ノックの音に気づいたのか、ドアに向かってくる足音が聞こえた。
「だれ…って、ヴァーンか。なんだ?こんな夜中に。しかも部屋を教えた覚えはないんだが…」
「まぁまぁ、それは後で話すから、とりあえずいれてくれ。」
「あぁ。気が向いたら来いと言って、しかも歓迎するとも言ったもんな。入ってくれ。はぁ、一応貴族なんだがなぁ。」
最後に何か聞こえたが無視し、部屋に入り適当に腰をかける。そして単刀直入に本題から切り出す。
「セラス達生け贄を救う方法はないのか?」
「まぁ、それか。質問に正直に答える代わりにこっちの質問にも正直に答えろよ?」
「あぁ。」
どんなことでも正直に答えよう。神の存在までも。
「これは俺の独り言だが、竜人種と獣人種には強者が正義という風習がある。そしてリディル王国には王城まで行けば王に挑める。そしてお前の質問に答えよう。生け贄を助ける方法はあるにはあるが、それは自分で見つけてくれ。」
そうか、王城までいけば王と闘えて、勝てば王になれたりするのか。
「しかし竜人、まぁ獣人もだがその性質上、王は国最強だ。なかなか勝てるものじゃないぞ。」
まぁ俺なら問題ない。別に王になりたいわけじゃないから、生け贄の儀式をやめろと命令するだけでいい。
「さて、そっちの質問に答えたんだ。こっちの質問にも答えろよ?」
「あぁ、何でもいってみろ。」
話している間、ずっと立っていたドレークが俺の反対側に座り、向かい合うような形になる。
「なぁ、お前は…何者だ?竜人ではないな?お前の正体を教えて貰いたい。」
「…そうか。いいだろう、教えてやる。約束だしな。俺は…龍神だ。」
「竜人ではないと―」
龍玉から力を吸収し、中身が空になった龍玉は俺の部屋へ転移。本来の龍神としての力を取り戻す。そしてドレークの回りの空間ごと上空に空間置換転移。さらにドレークの回りの大気ごと宇宙空間に転移。大気を分散させないように固定させ、ドレークを浮遊させる。そして竜人形態を解除。とりあえず大きさは100kmくらいで。
これでドレークは宇宙空間でも息ができて声も出せて破裂もしない。一度上空まで行ったのは、室内で大気ごと転移なんてしたら急激な減圧で周囲一帯が荒れるからだ。隣の部屋にセラスが居る以上、下手なことはできないからな。
「龍神というのは、龍の神ということだ。」
「なっ!?ゆ、夢か!?」
「まだ信じられないのか?いいだろう。」
ちょうど尻尾の切れ味も確かめたかったからな。近くの適当な星でも切ってみよう。適当な星よ、こいこい。
くるくると高速前回りをし、適当な星を切る準備を整えるが…近くの、というのがダメだった。
「おいヴァーン―」
「あ、ヤバッ―」
『ゴ…ゴゴゴゴゴ……』とアルヴテリアが寄ってきて、そのまま『スパッ』っと切って…斬れてしまう。
ヤバいヤバいどうしようこれはガチでヤバい近くの星とか言ったらこうなるよな近くの衛星にしとけばよかったかでも衛星とか月がよってくるか違うこんなこと考えてる場合じゃないどうしようどうしようそうだアルヴテリアの時を戻せばたぶんいける!!
意識し、アルヴテリアの時を戻す。アルヴテリアの残骸がフッっと消え、元の位置に戻る。
ふぅ、龍神だと告白するのは初めてだから格好つけようとおもったら…なれないことはするもんじゃない。なんかドッと疲れたぞ。体長も1/1000で100mくらいになったし。それにしても…俺の尻尾、切れ味ヤバいな。アルヴテリアがスパッといったぞ。比較的アルヴテリアが柔らかい、斬れやすいというなら今度別の星で試してみるか。ドレークも口をあんぐりさせて固まっているぞ。現実を受け入れられていないようだ。戻したのはアルヴテリアであって大気圏まで含まれるからアルヴテリアにいる人々の記憶も戻っているが、ドレークはアルヴテリアにはいなかったからまぁ全部見ていたのだろう。アルヴテリアにいる人々も遺伝子レベルでいまの出来事を記憶するだろうから、まぁ後々何かの物語で出てくるんじゃないのか?
後、申し上げるのが遅れましたが、まだまだ小説を書くのは未熟なもので稚拙な文章が多いです。登場人物達の行動や背景の説明文等も少なく、ついついセリフを多く書いちゃうのも…筆者は小説を読むとき、説明文が多いのは嫌いなのですけども。ですのでアドバイス等がありましたらぜひぜひ。今後とも、筆者の作品に付き合っていただけたらと思います。(リカ学生活でも記載)




