女神とドジと転生。
気がつくと白い、本当にただただ真っ白い景色が広がる場所に一人立っていた
「あぁ…やっと来ましたね。」
後ろから声がした。いきなりだったのでその場から飛び退いて距離を取る。しかしそこにいたのは、いや、浮いていたのは、生首と切れた左右の腕、膝のすこし上から切れている脚だけだった。
「はじめまして。私がこの世界の女神の1人です。ちなみに日本育ちです。少しの間ですが、どうぞよろしくお願いします」
生首がしゃべっていた。俺は健全な一般人なので…襲いかかる。この人生で培った武の全てを使って。合気道、空手、柔道、ムエタイ、その他もろもろ。
しかし浮いてる腕が流す。
「ちょっとまってください!なんで襲いかかってくるのですか!」
必死で問う、生首。
「生首がしゃべってっからだ!身の危険を感じたから捕まえてやろうとしてるんだよ!」
人生初の生首との対面なので。とりあえず殴ってみようの精神で。
「普通は逃げるところじゃないのですか!?あとそういうことですか!」
生首がそういうと景色が変わった。真っ白い景色から一転し、真っ黒な景色へ。そこに浮いていた…いや、そこには真っ白なブラウスを着ていて、真っ白なスカートをはいている高校生くらいの少女がいた。
「これでいいですか?」
と問われたので少し、本当に少し残念な気持ちながらも頷く。…本当だよ?
「はぁ…ほんと、なんで転生者候補の人たちってこうも変人奇人ばっかりなのか…」
なんかブツブツ言ってるが気にしない。しかし、気になることを言ってたな…転生者?やっぱ俺は死んだのか?
「よしっさっさとこの人を異世界に転生させちゃおう!」
なんか少女がやる気をだしたよ。してこの少女、何者なんだろう。
「君、名前は?何者?」
あくまでもフレンドリーに。
「私ですか?何者かはさっき名乗ったはずですが…まぁいいです。私は百々(もも)。番外世界αの転生を担当する女神の1人です。日本で育って交通事故に合い、女神に転生したんですよ。」
ほう…女神か。目を細め…襲いかかる!
「またですか!」
と女神はこちらの攻撃を流す。
「もういいです!百々の名において命じます。足よ、止まりなさい!」
俺の足がとまる。しかし足だけなので体制が崩れる。勝ち誇ったような顔をした女神にチョップ!ガッという大きな音の後に頭をおさえる女神。物理攻撃可、と。
「うぅ…女神になってから攻撃が当たったのは初めてです…久しぶりの痛みが…」
足が動くようになった。そこでさっきから気になっていることを質問する。
「俺って、死んだのか?」
女神がパァァァァと花が咲くほどの(というか咲いてる)明るい笑顔になる。
「ようやく次の段階に…えぇ、あなたは死にました。ここは死後の世界の前の世界。生前になにか世界のためになることをした者だけが来れる世界です。」
はて?俺はなにかしただろうか?
「なにかしただろうか?って顔をしていますね。あなたはあらゆることをしました。将来軌道エレベーターを作る子供を転んだ拍子に交通事故から守ったり、あなたが道端でジャブしていたとき、将来永久機関をつくる少女を狙う殺人鬼に偶然当ててしまった上に気絶させ、警察に出頭したらその殺人鬼は指名手配犯で逆にその殺人鬼が捕まったり、世界規模の大飢饉を救うトラック運転手を救ったりで、いろいろと。」
うん。俺って凄いなー。実感わかねーけど。
「数々の世界を救う出来事をしたあなたは転生することかできるようになりました。転生にも種類や程度があります。世界のためといっても程度があるからです。ダーヴィン等は人類を直接救うことをしていないので記憶を保持しないまま転生…などですね。しかし生前のDNAや細胞を元に転生させるので生前の才能はそのまま、記憶も何かの拍子に思い出すかもしれません。」
ほぅ。では俺はどのくらいなのだろうか。女神が話を続ける。
「あなたは世界を救う人を救ったので、世界を直接救う行為を1とすると0.8くらいですが、何回も世界を救う人を救ったので、神になる、もしくは神に近い高位の種族になるか、家族一緒に記憶を保持したまま中位か低位の同じ種族に転生できます。」
神か、家族一緒にか…。んー…悩むな。
家族選べばいいのに。他人が聞いたらそう思うだろう。だが同じ種族でとなると、種族の特定はされていないためにアリかなんかの生物に変えられたりとかされたら困る。しかし、かといってその神とやらがどこまでできるかも未知数だ。ここは1つ、試させてもらおうか。
「百々、お前は神としてはどの程度なんだ?」
「んー…良い質問ですが…詳しいことは教えられません。しかし、あえて言うのであれば、私は神々の中でも一番のしたっぱです」
なるほど。詳しい内容を教えられないとなると、どうも胡散臭い。ただ、俺が正気ならさっき百々は俺の足を言葉だけで止めていた。そんな力を持ってるやつが一番したっぱであるというのなら、少なく見積もっても世界を一晩でぶっ壊すくらいの力はあると考えるべきだ。それならばアリ等にされるよりも神のほうを選んだほうがいいが、ただ、それで神になったとして目的の能力を持っているかは未知数。
ここは一つ、試させてもらうか。
「なるほど…では、そのしたっぱの力の上限を調べさせてもらおうか」
「な、なにしたって無駄ですよ!無駄なんですからね!」
俺は気にせず小走りになり、女神に手を伸ばす。あの言霊をやってこないことを不思議に思ったが、百々との距離は短い。距離が縮まり、あと少しで百々に届くか否かの時にまたドジをした。何もないところで足を躓かせたのだ。転ぶ前になにかを掴むが掴んだ物もろとも地面へ。
「はぁ…またこういう時に。っていうかなんだよ。せっかくなんか掴んだから転ばずにすむと思ったのに…」
と掴んだ物を見るために引っ張った。そして確認した。
あぁ…そりゃ落ちるわけだ。だって、ベルトじゃなくてゴムのスカートとパンツなのだから。女神が顔を真っ赤にして座りこもうとするが俺が掴んだ物を見るために引っ張ったおかげで盛大に転ぶ。すると脳内にドラゴンのクエストによくにた効果音とともに声が響いてきた。
「転生先 龍神
条件 家族一緒
備考 龍神 黒藤 瑠璃也 神位2
その妻 純血種族 龍 最高位
娘 未生誕」
無機質な声とともに視界が真っ白になった。
2022/2/7 大幅修正