1日目の夜 3
「ふぅ、美味しかった。次は肉料理だよな?」
「えぇ、そうよ。」
「コース料理って少ない気がしていたんだがフルコースともなると結構な量があるんだな。」
「そうね。私も満足だわ。けど、残すことはマナー違反よ。」
「失礼します。こちらが肉料理、ギルモルテのカルパッチョでございます。モロクのシャーベットでもご説明した通り、リディル王国の南でのびのびと放牧されたギルモルテです。餌を厳選されていて大変柔らかい身となっているこのギルモルテですが、さらに希少な柔らかく脂が多くのった部位のヒレ肉を使用しています。では、ご堪能下さいませ。」
見た目としてもソルベに劣らない感じだな。かかっているのはオリーブオイルをベースにモッツァレラチーズっぽいのを細かくしたもの、トマトっぽいものをこれまた細かくして混ぜ合わせたソースだ。
「これは…手がこんでいるわね。竜人の国にもこんなものが…」
「へぇ、他の国にはあんまりないのか?」
「竜人種はなんといっても豪快なイメージがあるのよ。獣人種もそうだけれど…ソルベの時点で私の国にも引けを取らなかったのに、肉料理でもこんなに凝ったものが出るなんて。肉もそうだけれど、特にソースね。これは原材料はやっぱり大国ならではの全て自国産。肉は希少部位のヒレを使っていて、ソースはおそらく北東にある島でとれたリーブのオイル、チーズはシャーベットで使ったモロクで作った高級な奴だと思うし、トマトだって酸味をわざと強くしている高級トマトよ。」
「へぇ~よくわからんがすごいんだな。」
「えぇ。これ、単品で頼もうとすると5ガロウェイズはするんじゃないかしら。」
たっか!5万円だって!味わって食べよ…
「ん、こんなに柔らかくて脂ののったお肉を食べたのはいつぶりかしら…3ヶ月前?」
結構最近じゃないか…
「そういえばセラスはどうしてこの国に?」
「それは…まぁ、なんてことない事情よ。」
「そうか。まぁ何かあれば頼ってくれ。これでも大抵のことは解決できる力を持ってると自負してるぜ?」
「えぇ、その時は遠慮なく頼らせて貰うわ。」
セラスもこう言うんだし、もう何も考えないで準備だけしとけばいいか。
「ヴァーンは何をしにこの国に?」
「俺は本当になんてことないな。ただの観光だよ。」
「観光で故郷を離れたの?田舎に住んでいたんでしょう?」
「田舎っていうのかなぁ。まぁとりあえずは観光するから、セラスのエスコートついでに王都を見て回ろうとするよ。」
「明日は東側に行きたいわ。」
「おいおい、男が1日中同じペースで休まず歩いて6日だぞ?どうやって行くんだ?」
「ヴァーンも分かってて聞いてるでしょ?」
「まぁ、な。」
「明日は東側の街を観光して、明後日は冒険者をしてみたいの。」
「冒険者をするって…討伐とかについてきたいってことか?」
「えぇ。」
「危ないぞ?戦闘は出来るのか?」
「エスコートしてくれるんでしょう?」
「そんなことまでエスコートか…OK。仰せのままに。」
「苦しゅうない。ってね♪」
セラスがはにかんだ笑いを顔に浮かべる。
「次の料理は何だ?」
「いつもはチーズだけれど…肉料理にチーズがでてきちゃったから、もしかしたらフルーツになるわね。」
「そうか。できればチーズがいいな。大好物だから。」
「そうなの?意外ね。」
「この肉料理にも内心喜んでいるんだぞ?」
「あら、そうなの。」
さて、肉料理も食べ終わったし、次の料理は…
「次の料理はチーズでございます。」
きったぁ!
「先ほどのカルパッチョで使用したチーズとは別の製法で作ったチーズでございます。こちらのソースとご一緒にお召し上がり下さい。」
ふむ。このソースは…なんか今日はよく口にするチレンのソースか。チーズによく合うんだよな。
「これは…いろいろな種類のチーズね。燻製チーズもあるし。それぞれチップが違うようね。」
「うむ。最高じゃの。」
「なによその喋り方。変よ?」
「そうか。まぁ貫禄がないか。けどこれは嬉しいな。味わわないと。」
「そうね。」
「あぁ、ワインによく合う…もう一杯頼めばよかったかな。」
チーズって美味しいよね。
「それはそうとヴァーン。あなた何歳なの?」
「俺?俺は…」
これまでは25歳って言ってたけど、25歳は死ぬ前の歳だからなぁ。沙梛も25歳、香菜が3歳だったからな。まぁこれまで通り25歳って言っておくか。
「25歳だぞ。」
「そうなの。それならお酒も大丈夫ね。竜人種は人種、獣人種よりも寿命が少し長いし。」
「へぇ、寿命に変わりがあるのか。まぁ当然だよな。」
「えぇ。竜人種の平均寿命は200歳…」
「ちょっとまて…200歳!?少しどころじゃないだろう。」
「そう?人種が70歳。獣人種が60歳ね。竜種はただでさえ長命なのよ?その子孫たる竜人種が長命じゃないわけないじゃない。まぁ個体差、種族差もあるわけだけれど。」
「いやそれでも俺って人間換算で8歳くらいなわけじゃん。」
「まぁお酒に強い種なんだからいいのではないかしら。土精人種でも平均寿命40歳で、5歳でもお酒を飲むんだし。」
「土精人種?」
「えぇ。器用で道具等を弄るのが得意な種よ。土精が祖先の精人種だから、土精人種。ほかにも森精人種、風精人種、水精人種、火精人種などもいるわね。祖先は精霊種。精人種は精霊種が人種と結ばれた際に出来た子孫ね。とても珍しいのよ。精人種の人口は極端にすくないけれど、その分できることが多いの。土精人種はさっきも言った通り弄るのが得意。森精人種は森や山に迷わないどころか初めて行った所でも庭のように移動できるわ。彼ら曰く、木々や土が語ってくれるんですって。風精人種は歌が得意ね。1度聞いたことがあるのだけれど、声が透き通っていたり、大きかったり。いろいろな場面で変えられるようね。羨ましいわ。水精人種は泳ぎが得意よ。火精人種は火ね。とにかく火。湯屋の火調整や料理人が多いわ。」
「へぇ~よく知ってんな。」
「一般常識よ。」
うむ。セラス、少し酔ってきたか?
「ふぅ、チーズ美味しかったわね。ワインが美味しかったわ。」
「そうか。ならよかった。」
「さて、つぎはフルーツね。なぜフルーツかというと先にほのかな甘味の方が後ででてくるデザートがより甘く感じられるでしょう?」
「あぁ。葡萄なんかもそうだな。」
「えぇ。ブドウなんかも日の光があまり当たらなくて甘味が少ない下から食べると甘味がより感じられるようになるわよね。」
「だから先にフルーツが出てくるのか。納得だ。」
「来たわね。」
「コース料理も終盤で、フルーツ料理でございます。こちらは旬の果物を盛り合わせていただきました。すべて新鮮な物を使用しており、みずみずしい食感をお楽しみ下さい。」
見た感じさっき話にでた葡萄、桃、メロン、パイナップル等々。いろいろ盛り合わせられてる。不思議なことにこれら果物の旬は地球と同じなことだな。
「これもまた凄いわね…カラフルだわ。」
「あぁ、メロンなんか、もしかしたら後に出てくるデザートよりも甘いぞ。」
「そうね。デザートがどれだけ甘いか、楽しみだわ。」
「っと、結構量あるように見えたが、もう食べ終わちゃったか。」
「さて、どんなデザートが来るのかしら。」
「はい、こちら、当店自慢のショコラケーキでございます。ホワイト、ミルク、ビター、ブラックと並んでおり、より深いコクと苦味を味わうことができるようになっております。」
ほう。そうきたか。メロンで甘味を感じさせ、ホワイトチョコレートで甘味を最高潮にし、そのあとだんだん苦味に持ってくわけだ。反対にブラックから食べてもメロンの甘味から苦いのにすぐ変わって苦味をよく感じられるようになり、また甘いのに変わっていく。よく考えられてるな。
「次はコーヒーが来ることも考えられてるわね。」
「次はコーヒーか。」
俺は最初はブラックチョコレートケーキを食べた。セラスは反対にホワイトからだ。
「ん!甘いわね。」
「あぁ、こっちは苦いが美味いぞ。」
あっという間に食べ終わってしまった…
「続いてコーヒーです。これは外国から高級豆を厳選し、さらにあらゆる行程を丁寧に行って拘った粉を満足のいく味に仕上がるよう、入れ方も研究した1品です。」
「うぅん。いい香りだわ。」
「あぁ。俺の方は最後に食べたホワイトチョコレートケーキがよく引き立ててくれている。」
これは…粉を持ち帰りたいな。入れ方はそれぞれ好みがあるとして。ちなみに俺もセラスもブラックで飲んでいる。
「ふぅ、こんなに美味しいコーヒーは私も初めて飲んだわ。ここの紅茶も飲んでみたいわね。」
「ありがとうございます。では最後に、プチフールでございます。ベリーの酸味がコーヒーの後味をよく引き立ててくれるかと存じ上げます。」
ほう。
「最後の口直しに最適ね。ごちそうさまでした。」
「なんとか乗り切れた。勘定をお願いします。」
「承りました。」
(適当に創造しておいた)財布からウェイズを出し、ウェイターに渡す。ちなみに値段は13万円(1人分か2人分か、カルパッチョの値段で分かるだろう?)と結構…って、いまはまだウェイズが余っているから大丈夫か。
「確かに受け取りました。本日は御越しいただき、ありがとうございました。お忘れ物の無きよう、お帰り下さいませ。またの御越しをお待ちしております。」
ウリエルに感謝だな。
「それじゃ、部屋に戻りますかね。」
「えぇ、そうね。」
さて、今夜どうしようか。
作者は投稿したあとに改めて誤字や脱字を確認しています。しかし所詮1人の目なので、誤字、脱字がありましたらご報告下さい。




