1日目の夜 2
「次はスープね。」
「あぁ、どんなものが来るのか楽しみだな。」
「こちらになります。」
やはり短いながらも詳しい説明をうけた。
「次にくる魚料理の風味を消さないだけでなく、引き立てるような味ね。」
「へぇ、次は魚料理なのか。」
味は濃くなく、さっぱりとしている。
「セラスの家族はどんな感じなんだ?」
「どんな感じって?」
「雰囲気とか、兄弟姉妹がいるかとか。」
「兄と姉、双子の弟妹がいるわ。雰囲気はそうね…兄はしっかりもので正義感の強い人よ。姉はおしとやかだけど、怒らせると怖いわ。妹はそうね…まだ小さいけど、とても聡明よ。すごく頭がいいの。弟はすごくやんちゃね。将来武術を習いそうだけど、きっと直ぐに上達するわ。兄の教師が贔屓目抜きで才能があるっていって、兄が負けられないなと意気込んでいた程なんですもの。」
「へぇ~。俺は兄弟姉妹なんていないから、そういうのは羨ましいな。」
「そうなの?私も兄や姉に誉められたくて努力もするし、妹や弟には負けられないように努力するわ。けど、それが心苦しいっていう家族もいるわね。」
「まぁ、そうだな。次は肉料理か。」
「…魚料理は、肉料理とは別よ?」
「そうなのか?これは失礼した。」
「まぁ、食べ方は様になっているからいいんだけど…ちなみに、魚料理の次の次が肉料理よ。」
「そうなんだ。なら魚料理の次はなんだ?」
「ソルベよ。」
「へぇ、それにも何か役割があるのか?」
「えぇ、でもそのまえに…」
「あぁ、本当に絶妙なタイミングで来るな。何がくるんだろうか。」
「こちらが魚料理でございます。この国の北から取れた新鮮でほどよく脂がのった、かつ身の引き締まった魚をベースにしております。ご堪能くださいませ。」
ほらな?どこでとれたかや特徴等を1文にまとめている。マニュアルでもあるのかな。さて、魚は…っと
「これは…鰻!?」
「ヴァーン、知ってるの?」
「あぁ、故郷でよく食べたよ。確かに旨いんだよなぁこれ。特に特製ソースをつけた鰻をご飯の上にのせて…関西の方だとご飯で挟んで蒸し焼きみたいにするんだっけか。いやぁ、死ぬ前に食べてみたかった。」
「ん?ヴァーンは死んでないわよね?ここにいるじゃない。それにカンサイ?」
「あぁ、失礼。思い出話だ。忘れてくれ。」
「そう。」
「そういえば今って夏だよな。」
「えぇ、そうよ。流石に夏はしってるわよね。農作物の収穫時期とかあるから。」
「あ、うん。まぁ流石にね。それにしても日本じゃ土用の丑の日とかいって鰻食べるけど、鰻の旬って秋か冬なんだよな。」
「2本?どようのウシノヒ?これはナーギという魚で、旬は夏よ。産卵期がこの時期なの。産卵のために栄養を蓄えて北側の海に移動するって聞いたわ。身が引き締まっていて、脂も多くのっているってさっきウェイターが話していたけどその通りよ。」
「へぇ、日本のまんまじゃないんだな。流石に生息地や環境が違うから生態も変わるか。それにこのソースも…って、醤油!?」
「醤油?このソースのこと?これはシュユっていって、賢者様が開発したの。」
醤油があるってことは大豆があるってことで、大豆があるってことは枝豆はもちろん、味噌や納豆もあるはずだよな。うわぁ、納豆食いてぇ。枝豆の納豆とかうまそうだよなぁ。
「そういえば賢者って、いまどれくらいいるんだ?」
「そうね…賢者っていっても食料関係や政治、行政関係。文化関係や科学?だっけ…要は道具関係、後は魔法関係と、それぞれ違うのよ。」
「ほう…それぞれ合わせて何人くらいなんだ?」
「私が知ってる限りでいいなら…たしか30人くらいね。」
「へぇ、いっぱいいるんだな。」
30人くらいか。おそらく地球からだけじゃないから、ここまで文明が発展するのもうなずける。
「いえ、30人は結構少ないのよ?ジュエ大陸にいるのが30人。直接顔をあわせたことがあるのは6人ね。」
「へぇ、1/5には会っているのか。…この大陸、どれくらいの大きさだ?」
世界の記憶に干渉、土地情報を取得。
え~っと。とりあえずこの大陸は赤道を跨がる形で存在している。面積は…ユーラシア大陸+北・南アメリカ大陸くらいでいいか?正直こんなでかいとは思わなかった。
「いまさっき思い出したんだが、この大陸って結構大きいんだよな…それで30人のうち6人にあったのか。」
「えぇ、私の国が人種の国だからというのもあるわね。ほとんどの賢者は人種だから。」
「そうなのか。」
「人種は知能が売りの種族だからね。」
「なるほどな。他の種族の売りってなんだ?」
「人類人目人種、竜人種、獣人種が今のところ人類ね。人種の売りはさっきもいったけど高い知能、竜人種の売りはヴァーンも分かるとおもうけど力ね。各族によってちがうけど。例えば、竜人種って竜が祖先でしょう?けど、竜にも何族~とかがあって、それは蜥蜴に似ていたり、大きな翼をもっていて空を飛べたり、水掻きがあって泳ぐのが得意だったり。これらは地竜、空竜、水竜ね。それぞれの祖先が違うのだから子孫の竜人種も違うの。身長が低いけど鱗が頑丈な種族、腕に皮膜があって、空を飛べる種族、水掻きがあってしっぽが尾ひれになってる種族。ヴァーンは…どんな種族かしら?」
「うーむ…竜人種といってもいっぱいいるんだな。」
「えぇ、これは獣人種にも言えることよ?むしろ獣人種の方が多いくらい?人種はもともとは猿の獣人種だと賢者が言っているけれど、猿特有のしっぽがないわ。獣人種は竜人種にも近い力を持つとされる猫の獣人の獅子族。同じく虎族。高い脚力をもつ兎族や、更格廬族等ね。多過ぎて覚えてられないわ。」
「へぇ、まぁ世界の動物をみんな人類にしてちゃ多くもなるか。」
うん、この鰻、ふかふかの身に醤油ベースのタレがよくあっていて旨い。ご飯が欲しい!っと、もう食べ終わっちまったか…
「そういえば次はソルベって言ってたな。」
「えぇ、そうよ。あ、丁度来たわね。」
「お客様。こちらが本コースのソルベでございます。こちらはチレンのソルベとモロクのシャーベットなっており、酸味が乱れた味覚をリセットし、甘味が口の中を整えてくれます。材料のチレンですが本リディル王国の北東に位置する島で取れた新鮮な物となっております。モロクは南の涼しい気候を生かした放牧で育てられたモルテから絞ったこれまた新鮮なモロクです。香り付けにソルベからはソンテ、シャーベットからはノルンを使用しております。是非ご堪能下さいませ。」
おおぅ、チレンか。見た目も宝石みたいで綺麗だ。上に乗っている葉っぱはミントのような奴かな。シャーベットは…これはバニラアイスだと思っていいのか?バニラがないからどうにも言えんが。
「綺麗ね。上にのっているのがチレンのソルベで、下の白いのがモロクのシャーベットね。溶けないうちに食べてしまいましょう。」
「そうだな。」
スプーンですくって口へ運ぶ。
うーむ。酸味で鰻の脂が消えたような気がする。シャーベットは、と。ふむふむ。これは完璧にバニラアイスだな。濃厚でもなく、薄くもない絶妙な濃さだな。
「さっきウェイターの説明に出てきちゃって後で説明するって言ったのに意味が無くなっちゃったけど、ソルベにはこれまでに出た食べ物を一度リセットする役割があるのよ。」
「へぇ~よく考えられてるんだな。」
「えぇ、これも食文化関係の賢者が考えたのよ。」
「そうなのか。」
「そう言えばヴァーン。尻尾の剣、飾りなの?」
「いや?一応使えるっぽいぞ。」
「大丈夫なのかしら。こういうところで。」
「まぁ何も言われなかったし大丈夫なんじゃないか?」
「そうね。どれくらい切れるの?」
「それが分かんないんだよな。近いうちに試してみるよ。」
「それがいいわね。魔法も出来るのに剣も使うなんて近衛騎士にでもなるつもりかしら。」
「その気はないぞ?」
「そう、残念。いつか護衛して貰いたかったわ。」
「いつか、な。」




