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1日目の夜 1

「ただいま~って、家じゃないからおかしいか?」

「お帰り。別におかしいことじゃないわよ。」

「そうか。晩飯はどうする?」

「上の階にレストランがあるそうよ。せっかくだからそこで食べてみたいわ。」

「ほう、ずいぶんと図々しいこった。」

「エスコートしてくれるんでしょう?」

「あぁ、二言はないぞ。しかし夕食にはまだ時間があるな。」

「ありがとう。ではレストランに予約をしましょう。確か部屋に呼び鈴があるはずよ。」


俺達が泊まる部屋は12階だ。この階だけでも中世並みの文明の癖に高いが、実は15階が最上階でそこにレストランがある。正直魔法がなかったらすぐに崩れているだろうし、地震がない所だからいいとして地震があったらここら一帯凄いことになってるぞ。


「予約したぞ。」

「せっかくだからこの時間、礼装を買いに行きましょうか。

「あ、あぁ。」



そして夕食時に。


「15階へ。」


中世並みの文明でどうやって12階に?と思うかも知れんが実はエレベーターがあった。運動力魔法の力だな。それを刻印にしている。


「うわぁ、高いわね。落ちたり崩れたりしないか心配だわ。」

「まぁ、景色もいいし気にするほどでもないだろう?」

「そうね、それにレストランの内装も綺麗だわ。」

「とりあえず進むか。」


1歩動こうとしたらウェイターがこっちに来た。


「お客様、ご予約はしてありますでしょうか。」

「あぁ、ヴァーンで予約してある。しかし予約していないと来れないのか?」

「いえ、予約済みのお客様を優先しているのです。では、こちらに。」


ちなみに今セラスはドレス、俺はタキシードとフォーマルな格好をしている。いくらしたかは値段を聞いたときに冒険者ギルドに行ったということで察してくれ。


「お座りくださいませ。」

「あぁ、どうも。」


俺は慣れないためよそよそしいが、なんかセラスは手慣れている。


「こういう所はよく来るのか?」

「え、えぇ。まぁ、それなりには。」

「曖昧だな。まぁいいさ。とりあえず何にするか。」

「えっ?こういう店というのはコースメニューでしょう?」

「えっ。」

「えっ。」


コースって量は少ないのに高い奴だろう?まぁ食事は必要ないからたまにはいいか。


呼び鈴はないのかとテーブルを見渡すが、どこにもない。


「ヴァーン、何しているの?」

「いや、呼び鈴はないのかと思って。」

「こういう店ではさっき応対したウェイターに目配せをして片手をあげるだけでいいの。」

「そ、そうなのか。」


地球でもそうなのか?アルヴテリア独自だったらいいが…これまではスイッチ1つだったもんな。


「ご注文はお決まりでしょうか。」

「えぇ、フルコースと70年の赤ワインを。」


ふむ、手慣れている。


「始めにワインが来るから、香りを楽しみながら飲むのよ。一気に飲むと香りが楽しめないし勿体無いし、前菜が来るまでの時間、手持ち不沙汰になるわよ。」

「了解。」

「それと会話を楽しむのも必須ね。」

「なるほど。」


おっと、さっそくワインが運ばれてきた。


「どうぞ。」

「ありがとう。」

「それじゃヴァーン。」

「ん?なんだ?」

「乾杯も知らないの?」

「あ、あぁそれくらいなら。」

「では。」

「俺達の出会いと」

「これからの出来事を祝して」

「「乾杯」」


おっといけない。ついつい飲み干す所だった。


「ヴァーンはどこ出身なの?」

「あぁ、場所は分からないがまぁ上だよ。」

「地図の上ね。ここはジュエ大陸でも北寄りだから、あなた、やっぱり田舎者ね。」


ふふふ、と微笑を含んだ声で言ってくる。


「まぁ田舎といったら田舎だな。人、あんまりというかいないと言っていいくらいだし。」

「そう。村?の名前は何て言うの?」

「宇宙だよ。」

「ウチュウ?聞いたこともないし変な名前ね。あ、別にあなたの出身地を貶している訳ではないの。許して?」

「あぁ、構わないよ。本当のことだしな。セラスはどうなんだ?」

「私…私は大した所ではないわ。聞いておいて聞かれて答えないというのは失礼だけれど、話すほどではないわよ。」

「そうか。無理して話すことはない。そろそろ最初のメニューが来るはずだしな。」

「そうね。」


さてここで。


『ウリえも~ん!フルコースのマナーを教えてくれぇ~!!』

『…なんですかウリえもんって。私は淑女ですよ?』

『自分で淑女って言ってる時点でおさっ『はい?』ごめんなさいテンション上がってましたフルコースでのマナーと礼儀作法を教えて下さい。』

『それくらい自分で脳内に入れてください。』

『ウリえも~『もう一度言ったら天罰。』はいすみませんでしたもうウリエルさんしか頼りがいないのです淑女の前で恥はかきたくないしそんな紳士を連れてるってことでその淑女にも恥をかかせたくはないのであります。』

『はぁ…仕様がないですね。一気に叩き込むので天罰の変わりとでも思ってください。』

『甘んじて。』


うがっ!?久しぶりの痛みが…頭が痛い。


『少し頭痛の効果もいれておきました。文句はありますか?』

『いえ無いですありがとうございますそして非礼を詫びます本当にすいませんでした助かりました!』

『これからはこういう些事はご自身で解決してください。ここ最近忙しいのです。…神位8天使第5部隊の再編成は済みましたか!?手が足りません…∮%&@♯‡▼%∽#▼42(refouhwezuw42)の状況は!?』


最後、天界での会話が聞こえたが何かあったのか?天使部隊の再編成とか言ってたし…


「ヴァーン?どうしたの?やっぱり気分が悪くなった?謝るわ。」

「いや、違うし気にしていないから大丈夫。少し考え事をしていただけだしもう気にすんな。」

「そう、ならよかったわ。」

「お、さっそく前菜が来たようだ。さっきまでの俺とは思わない方がいいぜ?」

「どうしたの?熱かしら?」

「いや熱じゃねぇよ。」

「ふふ。」

「失礼、前菜でございます。」

「ありがとう。ではいただきましょう。」

「そうだな。いただきます。」

「…?いただきます?」

「あぁ、俺の故郷では食事をする前に料理を作ってくれた方や食材を作ってくれた方、食材に感謝を込めていただきますって言うんだ。」

「そう、いい習慣ね。それじゃ私も。いただきます。」


ウェイターがにこやかにこちらを見ている。


「さて、ヴァーン。行儀を…」

「ん?どうしたんだセラス。」

「い、いえ。行儀なんて知らないはずの貴方なのに、様になっていて…」

「言っただろ?さっきまでの俺じゃないって。」

「そ、そう。」


カチ、カチと音をてないように前菜を口に運ぶ。鮮やかな色合いで、塩分とともに食欲を駆り立てる。


「さすがね。色合いもそうだし、前菜としての役割をこれ以上無いほどに果たしているわ。少量なのもそうね。」


ほう、コース料理には役割なんかもあるのか。


ちょうど食べ終わった時にサラダが出てくる。


「続いてサラダです。」


運んできたウェイターから長くはないが詳しい説明をうけた。それも10秒もしない内に。どんだけベテランなんだ。


チレンレモンのほのかな香りがいいわね。」

「そうだな。」


よくわからん。だが上手い(旨い)というのは分かる。


「セラスの国はどこら辺にあるんだ?」

「東にあるファランという国よ。」

「まぁ低位竜を狩ったのも東の方だったしな。今は王都の北寄りだが。」

「えっ?ここ、王都の北なの?」

「えっ?知らなかったのか?」

「いえ、東から来たのだし、てっきり東かと…いつの間に?」

「俺の上にいたとき、自分がどの方角に向かっていたか分かってたか?」

「なるほど、そういうことね。」


あぁ、俺もてっきり北だと思って走っていたんだがな。低位竜のいる方角に進んだら北から東へ走るようになっていたみたいだ。帰りに気づいた。

追記:リディル王国の位置をジュエ大陸の西側、ファランを東側に変更しました。

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