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本気

よし、これだぁ!えーっと?低位竜の調査、および素材の採集?まぁこれでいっか。


「適当に引っ張ってきました。」

「はーい、確認させて貰いますね。低位竜の調査ですね。………低位竜の調査!?ヴァーン様、失礼ですがやめておいた方がいいです!」

「あれ?適当にもってきたけど…」

「手を抜く方の適当だったのですか!?自分の実力に適切に合う方の適当じゃないのですか!」

「んーなにがいけないの?俺、いちおう龍神だよ?」

「確かにヴァーン様は竜人です…ですが!いくら竜人でも単独で低位竜を相手にするのは無理かと思われます!私も普段はこのように止めることはあまりしませんよ?しかし、冒険者にもなっていない貴方が…低位竜なんて…自分の意思で死にに行く人はもっと希望を見つけてみては?というくらいにしか止めませんが、あなたは無知で死にに行っています!流石の私も本気で止めますよ!」

「あ、うん。でもこれを引いちゃったからなぁ。これにするよ。報酬もいいし。」

「はぁ…もういいです。私は止めましたよ?もう止めません。貴方の無事を願っています。」

「んじゃ、いってくるわ。武器は尻尾だけでいいや。」

「やはりその尻尾、武器になるのですね。」

「うん、使ったことないけどね。」

「………お気をつけて。」


まぁ、とりあえず門までいくか。


「おう!お前さん、なに受けたんだ?」


このタイミングで…あの受け付け員の狼狽えようなんだから、この方には心配かけたくないな。


「いえ、ただの低位モンスターですよ。」

「なるほどな。それなら安心だ。気をつけていってこいよ。足はあるか?」

「…?ついてますよ?」

「いや自分の足じゃねぇよ。馬車みてぇな乗り物とかの話だ。」

「あ、大丈夫です。足(走った時の速度)は速いので。」

「そうか。優秀な足(馬等の乗り物)があるんだな。それじゃぁな、いってこい。」

「はい!ありがとうございます!」


本当に、本っ当にいい人だよまったく。それじゃ、ちょっくら本気・・で走るか。その前に門の前に転移だな。


俺の転移は間に障害物があっても問題なく転移できる。それは瞬間移動ではないからだ。そう、瞬間的な移動・・ではなく、座標を転じるように移すのだ。少なくともこの世界の瞬間移動は移動であり、そして移動ゆえ目的地の直線上に障害物があれば肉片になるか障害物をふっとばしながら動く。双方の耐久力が異常ならばおもいっきりぶつかるだけだけど。すごい衝撃波とともに、ね。


それじゃ、転移もしたことだし本気で走るか。とりあえず目標を探すかな。上空に浮上浮上っと。なんで転移せず、さらに空を飛んで行かないのかって?それは、このからだで本気で走ったことがないからだ。空なんて宇宙空間でもずっとたゆたってるし、転移なんて何回もしてる。けど、このからだで本気で走ったことなんてない。よって、いい機会だから走ろうってね。クラウチングスタートでいくぞ。


「ウリエル、カウント頼めるか?」

「では、3、2、1。」


…GOは?ピストルは?0は?


「スタート言わないの?」

「はい?カウントは1までで十分かと。あ、あと現在8秒経過です。」

「ちょっと!?計ってんの!?」


『ズドゥゥゥォォォォン!!…ヒュッッッズダァァァァン!』


いまのは俺がスタートしたときの音とソニックブームの音だ。


「ひゃっほう!気持ちいいなぁこれ!」

「そうですか。良かったですね。」


なにがって風が気持ちいい。それと飽きない景色に身体を動かすのが、地に足をつけて走るのが久しぶりでこんなに心地よかったのかってくらい良い。しばらく空に浮いてるか歩くくらいしかしてないしな。


「おっとぉ、危ないぜお嬢さん!」

「聞こえてないですよ。500メートル過ぎましたし。」

「ですよねー。」

「はい。あ、あと現在、13秒経過です。」

「よし、目標まであとちょっと!…ついた!タイムは!?」

「15秒です。」

「それって最初の8秒入ってる?」

「入ってますよ。」

「んじゃ、50km7秒か。いやぁ気持ちよかった。今度軽くジョギングでもするか。」

「それはいいですね 。私はここ最近、持ち場を離れられていないので走ることが出来てないのです。」

「なに?天使にも運動は必要なの?」

「はい、もしもの時にからだが鈍っていたら直ぐに使い物にならなくなるので。」

「なるほどな。そういえば天使って食事はするのか?」

「しますが、必要ではありません。趣味の範疇です。」

「へー、だったら太るのか?」

「一応肉体をもっていますので。しかし生きるための必要なエネルギーは天界を満たす神々の力なので食事は必要ではありません。」


なんで必要じゃないって二回いったんだろ…趣味の範疇…最近動いてない…はっ!?


「ウリエル、最近太ってきたのか!?」

「なっ…ななななななんということを!そんなことないです!もう!失礼ですよ!」

「本当にぃ~?」

「しつこいです!……あともうちょっとしたら運動できるようになるのに……」

「へ?なんて ?」

「いい加減にしていただかないと熾天使権限で天罰をくだしますよ?」

「え?そんなことができるのっ!?」

「悪の道に行こうとする神々を粛正するための権限です。」

「いや、おれって一応上司だよ?それに悪の道になんて…」

「私のことは年上の部下と思ってください。それも会社創立から勤めていて、社長から信頼されている部下とでも。」

「へいへい、わかったよ。おれが悪かったです。それはまぁおいといて、低位竜ってこいつであってるよな?」

「えぇ、あっていますよ。あ、それとなぜわざわざ遠い方の低位竜を?」

「え?近くにいたの?」

「はい、ヴァーン様が走っていた道の周辺に。」

「先に言って!?」

「ヴァーン様に言おうとした時にはもう通り越していましたし、せっかくの機会なのでもっと走りたいのかなぁと。」

「うん、まぁ走りたかったからいいけどね。お気遣いありがとう。」

「では戻りましょうか。」

「ほいほい。それじゃ、帰ろっか。」

「時間は計りますか?」

「うん、よろしく。」

「では、先ほどと同じように…3、2、1。」


『ダッシュ!』


ん?いつの間に低位竜を、だって?そんなの石ひとつで頭を狙えばすぐいけるって。そういえば尻尾の剣、使ってないや。あとで切れ味ためしとこう。ちなみに低位竜は宙に浮かせて俺の後ろ上に座標固定してあるから問題ない。

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