国家プロジェクト
はじめまして、村崎紫です。
一次創作は初めてですが厳しくご指導くださると嬉しいです。
──2xxx年、日本。
少子高齢化が進み、最大で1億3000万人近くまでいた人口も今では7000万人とおよそ二分の一にまで減ってしまった。
消費税率は30%まであがり一時は国内外への借金も減っていたが段々と消費が落ち込んでいき近年また借金が増加していっている。
この状況を打破すべく政府は同性の者同士で妊娠ができる方法の研究を国家の一大プロジェクトとして開始した。
子供が増えれば消費の増加が見込めると共に将来税を納める側となるため税収の増加が見込めるからである。
それに加え同性愛者同士の結婚はもう何年と前から法律で認められており今では年間約一万人が同性婚をしている。
そこに政府が目をつけたのだ。
このプロジェクトのリーダーを勤める百田 悠仁も同性婚をしている者の一人だ。
『百田くん。君はパートナーとの子供が欲しくないかね?』
政府の役人に百田がそう話を持ちかけられたのは5年前のことだった。
「もうあれから5年か。」
たばこの煙が空に上がっていく。
百田達の研究はもうおおよそ完成していた。
しかし未だ完成には至らない。
ゴールは目の前のはずなのに中々たどりつかない。
百田は大きく息を吐いた。
「百田さん、お疲れ様です。」
そう言って百田に声をかけたのは百田の部下の中野 理沙であった。
「あぁ、中野もお疲れ様。」
「大分とお疲れのようですね。」
そう言った理沙の顔にも疲労の色が見える。
理沙もまたこのプロジェクトの一員である。
「GMCのお陰で大分と研究は進んでいるんだ。だが、あと一歩……あと一歩が足りない。」
God Make Cell。
神が作りし細胞と言う名のとおり人間のどの細胞にもなりうる細胞。
取り出した細胞から精子、卵子を作ることも人工子宮を作り移植することも実際出来ている。
そして、それは不妊治療をされている夫婦には大いに役に立っているし、人工子宮から生まれた子も徐々に増えてきた。
が、しかし……
「女性に関しては性別の選択性、男性に関しては……」
「妊娠中毒症ですね。」
「あぁ、そうだ。」
本来、男性の体は妊娠することを考えて作られていない。
生物実験の段階でその事が露出した。
胎内に生命を宿したオスは例外なく弱っていき……そして宿った命は星になっていった。
「妊娠中毒症自体は女性にでもあることですが男性ではそれがひどく出ますよね。」
「そうなんだよな。」
新しいタバコに火を着ける。
「私も1本頂いていいですか?」
「あぁ。どうぞ。」
さっきまで青かった空は仄かに赤みを帯びている。
「……。」
「……。」
秋の少し肌寒い風が頬を撫でた。
お読みいただきありがとうございました。




