1 少年の依頼
生まれて初めての投稿です! 緊張します……。もちろんこれだけで終わるわけないので、時間見つけて続き書いていきたいと思っています。拙い作品ですが、よろしくお願いします!
今か昔かそれとも未来か!? 時も場所もわからぬ世界に。不思議な不思議な「店」がある。全属性魔法使いの姉アリアと、その弟、闇魔道士ヴェルゼが経営している。その店の名を、『頼まれ屋アリア』と――。
『願い、叶えます! アリア&ヴェルゼ』
カランコロン。ドアベルが鳴る。今日も、『頼まれ屋アリア』の一日が始まる。
入ってきたのは一人の少年。少し焦った顔をしていた。
「頼まれ屋アリアへようこそ。今日はどんな御用かしら?」
アリアが問えば。
「オルファ香を知っていますか? あれがどうしてもほしいのです。お代はもちろん払います。……お願いできますか?」
オルファ香というのは深い山にしか生えない霊草だ。その香りをかげば、あらゆる病が治るという。貴重なものなので、そうそう見つかるものではない。
アリアは頷き、少年に言った。
「今すぐに、必要なもの?」
「はい! 兄さんが、病気なんです。医者もさじを投げちゃって……。通りすがりのかたが、オルファ香があればなんとかなるって言っていて……。早くしなくちゃ、兄さん、死んじゃうんです!」
わかったわ、と、アリアは優しく少年の頭を撫でた。
「このアリア姉さんが、絶対に何とかしてあげるわね。ところで、君、どこに住んでいるの?」
少年はごにょごにょと自分の住所を言った。アリアは少年に微笑みかけた。
「じゃあ、問題のものを手に入れたら、そちらにお邪魔するわね。出来る限り急ぐけど、オルファ香は、そう簡単には手に入らないから。……待っていてね。」
泣きそうな顔で少年は頷いた。そして。
「ありがとう、姉ちゃん! ぼく、兄さんに伝えてくるね!」
そう叫んで、店を飛び出した。
「おい、姉貴。」
しばらくして、ヴェルゼが奥から出てきた。
「もうけのない仕事はするな。オルファ香だと? ふざけてんのか」
先ほどの少年の服装はみすぼらしく、お代なんて、払えそうにもなかった。
「……ただでさえ客が少なくてかつかつの暮らししてんのに……。割に合わない仕事になるぜ?」
「もう! ヴェルゼには人の情けってもんがないの!」
アリアがやや怒り顔で出てきた。
「さっきの子! 可哀想だとは思わないの!」
「……生憎、オレはそんなものとは無縁でね。姉貴は甘い。甘すぎるんだよ。正義とか人情とか、まかり通るわけあるか!」
アリアだって知っているだろうに。そんな世の中であることを。けれど、心清い彼女には認められない。それこそが、甘い態度なのだが。
「しかし……、一度引き受けてしまった以上、今更断れんな……。仕方ない、付き合う。二度と勝手なことをするな」
「はい? ここの店主はあ・た・し・ですけど。命令される覚えはないわ。さあ、行くわよ!」
「って、おい、姉貴! まだ準備も……」
「いいから!」
「よくねえよ!!」
こうして、姉弟のめちゃくちゃな依頼こなしが始まったのだった……。
まだ続きます。