腕の中 2
クロードさんはゆっくりと両手を離して私の上から退いてくれました。
そして、背中に手を入れ起こしてくれました。
ベッドの上でクロードさんの足の間に入れられた状態で抱きしめられています。
私が泣き止むまで頭をゆっくりとなでてくれました。
「ぐっず、もう、大丈夫でずので、離じでくださび。」
「んー、キレイな髪、いつまででも触れていられるよ。」
はっ!フード!顔が出てる!!
「離してください!フードをつけさせてください。」
「どうして?こんなにキレイな髪隠すの?それに顔も隠してたよね?」
「‥‥っ、それは。」
「うん?」
「わ、たしが醜いからです。」
「は?」
クロードさんは少し体を離して私の顔をマジマジと見ました。
「醜い?」
「はい。」
「どこが?だれがそんな事言ったの?」
あれ?なんだかクロードさんの声が怒っているように感じるのですが。
「ねぇ、誰にそんな事言われたの?」
「や、誰と言うか。」
「誰?」
うわぁ、怖い顔です。キレイな人が怒るとものすごく怖いことを知りました。
「あの、違うんです。母が、あ、義母になるんですが、本当にキレイなんです。髪も目も顔も。それで、私は髪も目も黒いですし顔も‥‥。それで義母と再婚した三年ほど前からでしょうか、あまり外に出してもらえなくなりました。外にいるときは父の外套を着るように言われました。だから私はよっぽど醜いのだろうと、思ったんです。」
クロードさんは黙って聞いてくれていました。
「それでおばあちゃんが父の外套は黒くてあんまりだからとこの赤い頭巾をくれたのです。」
「‥‥君は、醜くなんかない。とてもキレイだ。誰よりもキレイだ。身も心も誰よりもキレイだ。」
クロードさんはまたぎゅうと私も抱きしめました。