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腕の中
「ちょっ!」
一向に外れない腕。
それどころかぐいぐいと後ろに引きずられていくのです。
「なにしてるんですか?」
段々怖くなってきました。
「どこへ?」
引きずられて連れてこられたのは先ほどクロードさんが寝ていたベッド。
そのまま馬乗りになられました。
両手はクロードさんの両手に拘束されています。
「なっなっ!離してください。どいてぇ」
何も言わないクロードさんは怖くて、泣き声になってしまいました。
「も、どうして‥っ。」
チュ
おでこに口付けが落ちてきました。
チュ
瞼に
チュ
頬に
「怖がらせてごめん。」
クロードさんが悲しそうな、嬉しそうな瞳で私を見つめます。
「ぐっ、すっ」
チュ
泣き出した私の涙をクロードさんの唇がすくいます。
「ごめん、ごめんね?ほんとに。」
「でもやっと見つけたんだ。ずっと探してて、でも見つからなくて、それでも諦められなくて、」
「君が欲しかったんだ。」
私の涙は流れ続けます。
そのたびチュチュとクロードさんの唇がすくい続けるのです。