おばあさんのうち 4
一体何なんでしょう!
とりあえず逃げなければとドアに向かってダッシュすることにしました。
ドアノブをつかんで部屋の外にというところでクロードさんがドアを押さえてしまいました。
私の背中にクロードさんの胸が当たります。
引きドアだったのでクロードさんが押さえている限り開きません。
「は、ドアを離してください。」
「駄目だよ。」
「どうして!」
「君が逃げるから」
そりゃ逃げます。
知らない男と二人きりで、口付けまでされてしまいました。
「やっと、やっと見つけたんだよ。」
なんのことでしょう?
「やっと、だ。」
クロードさんの声が泣いているように聞こえたので、頭だけ後ろに向けました。
灰色の目は揺れてした。
とてもきれいでした。
「あっ」
クロードさんはドアを押さえているのと反対の手で私を抱きしめました。
後ろからぎゅうっと抱きしめられて更に頭が混乱しています。
腰からお腹を、ぐるりとつかまれているようです。
もうどうしたらいいのか。
よくわからなくなりました。
「離し、て、ください。」
「無理。逃げるでしょ?」
駄目の次は無理ですか。
それでも心臓が持ちません。
「逃げませんから。」
「逃げなくても、離さない。」
更に腕に力が入りました。
なんなんですか!
段々腹がたってきました。
「んっほんとに離してください。苦しいんです。」
空いている手で外そうとしても駄目でした。