おばあさんのうち
素敵な花束を抱えるとさっきの青年がいません。
「どこにいっちゃったのかな?」
辺りを見回しても見当たりません。
「あ、あのー」
そう言えば名前も聞いてませんでした。
「おーい?」
返事はありません。
「もしかして帰っちゃったのかな?お手伝いはいらないっていったから。」
そうかも。
ちゃんとお礼言ってなかったなぁ。
次にもし会ったらお礼をきちんと言おうと歩き始めました。
道に沿って川を渡り少し行ったところに見たことのある家を見つけました。
「おばあちゃんちだ!」
葡萄酒が割れないようにそれでも最大限の早足で歩きます。
ドアの前に立つとノックをします。
トン トン トン
「‥‥」
返事がありません。
もう一度さっきより強めにノックをします。
トン トントン
「‥‥」
それでも返事がありません。
「もしかして寝てしまってるのかな?」
ドアにてをかけ押してみると、ドアがゆっくりと開きました。
「おばあちゃん?寝てるの?カギ開いてたよ!」
室内は暗くあまりよく見えません。
「おばあちゃん、私よ!」
やっぱり寝ているのだと思い、持ってきたバスケットと花束をダイニングの机に置いて寝室のある二階へ向かいます。
トントン
「‥‥」
寝室のドアもノックしましたが、返事はありません。
「それぐらい風邪が悪いのかしら」
心配になって寝ていてはいけないとそぉっとドアを開けました。