君の名は
あの子に会いたい。
触れたい。
あのにおいが‥
でも、どれだけ探しても見つからない。
あの少女はもういないのかもしれない。
探しはじめて3年を越す。僕も21歳。今年で22歳になる。
父からは早く結婚をするように言われている。
婚約だけでもいいからとせっつかれていた。
今までは、まだ騎士として仕事をこなせていないとかなんとかでかわしていた。
しかしこの間ついにしびれを切らした父から言われた。
「お前の次の誕生日のパーティーにハバルビヨンド伯爵の長女であられるアリアメリス嬢と会うんだ。これは命令だ。」
もう潮時かもしれない。
「わかりました。」
あの少女に出会った森。
そういえば、あの森の近くにはあの人が住んでいたのを思いだした。
この家のメイドで幼い僕の世話をしてくれた、優しい笑顔で接してくた、あの人を。
彼女の娘が子どもを産んで、あまり丈夫でない娘ので手伝いに行きたいと屋敷を去ったのだ。
そうだ、最後に一度彼女にも挨拶をしよう。
そうしてあの森を最後に見納めておこう。
僕は休暇をとり、彼女が住む森の家へとむかったのだ。
「あ、ここだ。」
コンコン
ノックをしても反応がない。
「留守かな」
もう一度ノックをすると、ゆっくりとドアが開き懐かしい彼女の声がした。
彼女はとてもビックリして、そして喜んでくれた。