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赤ずきんちゃんと狼くん  作者: いちもも
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森の中 1

初めての投稿です。お手柔らかにお願いします。



チュピ チュピ チュピ



柔らかな日差し中、森の中、道を一人で歩く少女がおりました。


「とってもいい天気!」


鼻唄を歌いながら、手には彼女が作ったミルクたっぷりのカップケーキと貯めてあったお小遣いで買った葡萄酒。


頭をすっぽりと覆ってしまっている赤い頭巾。去年の16歳のお誕生日に彼女のおばあさんが作ってくれたもので、大のお気に入りです。

その頭巾からチラリと除くのは黒い前髪と同じ色の瞳。


彼女は風邪をひいてしまった大好きなおばあさんの家にお見舞いに行く途中でした。


「おばあちゃん、大丈夫かなぁ」


ゆっくりと空を見上げ、いつも笑顔のおばあさんを思います。

彼女はただひとり自分に優しくしてくれたおばあちゃんが大好きでした。


「うん、早く行ってケーキ食べてもらおう!」


そうして少女はまた森の中を進みます。


彼女は家を出るときに母に言われた言葉を思い出します。


「さっさと帰ってくるんだよ!家の仕事がたまってるんだ。道草なんかくってたら承知しないよ!」


今の母親な彼女にとっては本当の母親ではないのです。

3年前に父親の二番目の妻としてやってきたのです。


義母はブロンドの髪にエメラルドの瞳のきれいな人でした。

父親は村の村長として働いており、村でも裕福な方でした。


はじめこそ優しく笑いかけてくれましたが、死んでしまった母親に似た容姿をもった私を疎み、次に生まれた自分の息子を溺愛しているのです。


父親もこの若くて美しい妻を愛し、先妻の娘である彼女を見て見ぬふりをするようになりました。


そんな中


「お誕生日おめでとう」


誰にも祝われることがない彼女の誕生日に、ケーキとプレゼントを持って来てくれるのがおばあさんでした。


おばあさんはなくなった母親の母で、森の奥で一人ですんでいました。

おばあさんと暮らせたら彼女は幸せだったのでしょうが、世間体を気にする父親が許してはくれませんでした。


たった一人でも自分を愛してくれる人がいる、それだけで彼女は幸せでした。


おばあさんの風邪の知らせを聞いた彼女は世間体を気にする父親に頼み込みお見舞いに行くことを許されたのでした。




『みつけた』


急ぎ足の彼女は気づきませんでした。


森の中からこちらを見ている2つの目に。

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