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見習い女神ナスクの異世界ゲームセンター繁盛計画  作者: エエナ・セヤロカ・ナンデヤ
第一章 ナスクゲームセンター開店準備計画
3/19

勝手に動く水色のゴムボールが現れた!

 ナスクがいなくなって一人ポツンと取り残された俺はとりあえず店の現状の把握をしようとしていた。

 試しに置いてある最新式のプリクラに金を入れる。

 

 『写真を撮影するよ! 3! 2! 1!ハイ、チーズ!』


 「アヘェ~! 信じて送り出した青年が異世界の女神様の変態調教にドハマリしてアヘ顔――……」


 カシャ! 


 全部言い終わらない内にシャッターを切られてしまう。

 プリクラ筐体から印刷されたシールを確認する。


 「ふーん、一応動くには動くのか」

 

 当然だがゲーム筐体を動かすためには電力がいる。

 だが、さっき外を見た時は電気を送ってくる電柱や送電線なんてなかったのだが、プリクラ筐体含めて、他のゲーム筐体も見渡す限り通電はされているようだった。

 それにしてもこのプリクラ、一応動くのは確認出来たが、プリクラシールを見る限りぶっ壊れてるようだ。

 ヨダレを垂らしながらアヘ顔ダブルピースしてるこんな醜い顔をしているのが俺であるハズがない。

 きっと前回プリクラを使った奴のメモリが残っていて誤って印刷されたに違いない。

 

 どこから電気が来てるのか気になって、事務所のブレーカーが設置している所まで移動する。


 「何だこれ……? 電池?」


 ブレーカーの近くに500mlペットボトルくらいの大きさの乾電池が取り付けられていた。

 『ビリビリあぶない!』と手書きで張り紙をしてるから見るに乾電池みたいなもんなんだろう。

 ここら辺はじっくり見たことはないが、これは今までなかった物だ。

 試しにこれ抜いてみるか? いや、止めとこう。

 ナスクっだっけ? あいつが帰ってくるまで知らない物は極力触らない方が良いだろう。



 ◇◇◇◇◇



 「ふおおおおおおおおおおお!! 極限全力進化あああああ!!」


 ぶりゅぶりゅぶりゅぶりゅりゅー!!


 じゃー!


 「……ふぅ」


 便器の水を流して俺が捻り出した生成物にお別れをする。

 生成物は流れにまかせて消えていった。

 この水は一体どこから来てどこへ向かうのか。

 そして俺の生成物は最終的にどこへたどり着くのかは分からないが水回りは特に問題なく使えるようだ。

 電気と水周りはしっかりしているが本当にここは異世界なのだろうか?

 やっぱり俺、騙されてるんじゃないんだろうか。

 ポケットからスマホを取り出し操作する。


 「オーケーグーグル ドッキリ番組 異世界。……圏外? おかしいな。いつもなら使えるんだが」


 ははっ、確かにここが異世界だったら電波なんてこねぇーよな。

 いや、待てよ。

 そういえばさっきナスクが電話してたから圏外って事はないと思うが。

 トイレから出てまたフロアに戻る。


 ネットが使えるのかどうかを確かめるために、ネットワークを使うゲーム筐体の画面を見てみる。


 「あっちも駄目、こっちも駄目。全筐体オフライン……だと? マジかよ、どうなってるんだ?」


 ここまで調べた事をまとめると、ライフラインは特に問題なく使える。

 何故問題なく使えるのかは分からない。しかしネットや電話はダメ。

 ゲーム筐体に故障はなく正常に稼働できる。

 プリクラ筐体除いて。


 「本当にここ異世界なんかねー?」


 腹が減ったからUFOキャッチャーから景品のうまい棒を何本か取り出して床に胡坐を組んで座りむしゃむしゃと食べる。

 もしここが異世界だったら俺が食べた分の景品は消費される訳だが、新たに物を仕入れる方法はあるのだろうか?

 まぁ、異世界にゲームセンターごと移転できる女神様なんだ。

 景品を新しく仕入れてくるなんて大した問題じゃないだろう。


 ぽりぽりぽり


 うまい棒うめぇ。 


 「はぁー、もし本当に異世界に連れてこられてるんだったら特殊能力もらったり生まれ変わったり転生したりして強くてニューゲームしたかったなー。そうだな、もし転生できるんだったらプリクラ筐体の床に生まれ変わりたかった。JKやJCのスカートの中を下から覗き込む人生を送りたい」


 ぴょん! ぴょん! ぴょん!


 俺のすぐ横でリズム良くゴムボールが跳ねるような音が聞こえる。

 おいおい、また15才児たちがボール遊びのお遊戯会をしてるのかよ?

 勘弁してくれ。

 せめてお手々繋ぎながらお歌を歌う程度にしといてくれよ?

 ボールが筐体に当たって壊れたらどうするんだ?

 ゲーム筐体ってのはお前らの頭なんかよりも賢くて高いんだぞ?

 まぁ、お前らと違って修理することはできるがな。

 だけど、もう注意するのも疲れた。

 無視だ無視。


 「もしくはコスプレに着替える為に作った更衣室のカーテンに転生するのも良いかもしれない」


 最近のゲームセンターにはコスプレ用の更衣室といったものが備え付けられている所もある。

 店を盛り上げる為にお客様にコスプレ衣装を貸し出したりするのが都会のゲームセンターのブームだ。

 そう聞きつけた親父が何をとち狂ったのか、大して広くもない敷地にわざわざ更衣室を取り付けた。

 だけどもその更衣室は親父も思惑通り使われることもなく設置と同時に不良どもが更衣室を行為室にしてしまい、速攻で封印された。


 ぴょん! ぴょん! ぴょん!


 うぜぇ……まだドリブルしてやがる。

 仕方ない、躾けてやるか!

 

 「あの、お客さま。申し訳ありませんが当店でのボールを使ってのお遊戯は――……ウェェェイ何ゾこれ!? 何ゾこれ!?」


 体は高校生、頭は園児の奴らが楽しくボール遊びでもしてるのかと思って振り向くと園児は一人もいなかった。

 その代わりバスケットボールくらいの大きさの水色のゴムボールみたいなものが誰からの力を借りずに勝手にその場でバウンドしていたのだ!


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