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見習い女神ナスクの異世界ゲームセンター繁盛計画  作者: エエナ・セヤロカ・ナンデヤ
第一章 ナスクゲームセンター開店準備計画
16/19

屑には屑をDQNにはDQNを

 ――援軍1000名側のリーダのおっさんの視点――


 「はっはっ~! ざまぁみろ~!」


 誰に対して言ったわけじゃねぇが、機嫌が良くてつい呟いてしまう。


 「随分とご機嫌ですね?」


 「当たり前だ! やっとあいつらがくたばってくれるんだからよ~? いつもいつも本部にあいつらと比較されてうんざりしてたのから解放されるんだぜ?」


 今日は実に美味い酒が飲めそうだ!

 根回しした甲斐があったってもんだ!


 「ですがよろしいのでしょうか? 黒奈チームが全滅したらもう応援を頼めなくなってしまうのですが……。私達、黒奈チームの応援のおかげでギリギリ業務を回せてるみたいなもんですよ?」


 「ああ!? お前何なの? あいつらの肩を持つの? だったらお前だけで助けに行ってこいよ! ほら! ほら!」


 「い……いえ……そう言う訳では。……ですが、黒奈リーダーにはこれまで返せないほどの恩が私達のチームに……」


 「はあ!? 今日は随分と突っかかってくるじゃねーか!? 俺に意見するの!? 下っ端のお前が!?」


 「い……いえ……すいません」


 「てか黒奈リーダーって何? そもそもなんであんな小娘がリーダーなんだよ? どうせ本部の偉いさんの枕でもしてリーダーにしてもらったんだろ? はっは~!」


 まぁ、確かに見た目は人間とは思えないくらい良い最高のメスだ。

 あの小娘だけ助けて性奴隷に出来れば最高のシナリオなんだが……賢い俺はそんなリスクはとらない。

 すごくもったいない気はするが俺の快適な職場環境の構築の為にここで死んでもらうことにしよう。


 ザッザッザッ


 「はぁ、黒奈チームの指揮官がお出ましか」


 今日でこいつとは二度と会うことがないと思うととても気分が良くなる。

 そいつは無言で頭を下げて礼をしてきた。


 「……あ?」


 そいつの隣に今まで見たことがないガキが付き添っている。

 ガキと言っても年齢は18は超えているだろうが俺にしたらガキみたいなもんだ。


 「……」


 そのガキは頭を下げるどころか、まるで俺を見下しているような目をしながら薄ら笑いをして立っている。

 癪に触るガキだ。

 ……それに何か不気味だ。


 ……まぁいつもなら怒鳴り散らしてやる所だが、今日は気分が良いから特別に許してやろう。

 ガキを無視して話しかける。


 「随分と戦況が良くないですね~? 心中お察しします」


 「……わざわざお忙しい中、応援に来ていただいてありがとうございます」


 「いえいえいえ~私達、仲間みたいなもんじゃないですか~! ピンチの時は助け合いですよ、助け合い!」


 いやー俺って自分で言うのもアレだが、やっぱり紳士だよなぁー!


 「……」


 「ほら、そんな暗い顔をしないでください。後方支援なら私達がやれる事はしっかりしますから。あなたは今すぐ黒奈チームの指揮に戻ってください」


 そしてまとめて死んでくれぇ?


 「後方支援の件に関してなのですが……その、実は……」


 「どうました? ハッキリ言っちゃってくださいよ〜。私達の仲じゃないですか~。はっ~はっ~はっ!!」


 ベシ!ベシ!


 そいつの肩を何度も強く叩く。

 これはパワハラじゃない。

 精神を注入してやってるだけだ。


 「では、ハッキリ言わせてもらいますと、実は異世界の勇者のヘルプが間に合いました。なので、わざわざ応援に駆けつけてもらったのにそれが無駄になってしまったのです! 申し訳ありません!」


 「はぁ!? 異世界の勇者が来ただと!? そ、そんな訳……」


 いやいやいや、ありえない、ありえない!!

 絶対にありえない!!

 ここに来るはずがない!!


 「お気づきでしょうが、私の隣にいるこちらのお方がヘルプに来ていただいた異世界の勇者の杉山様です」


 「どうも雑魚共。私が異世界の勇者だ」


 「……ど、どうも……」


 こいつが異世界の勇者!?

 こんな奴見たことないぞ!?


 「おい、頭をちゃんと下げろよ? ……私は勇者だぞ?」


 「も、申し訳ありませんでした勇者様!!つ、つい驚いてしまいまして!!」


 ああああ!! 糞糞糞糞糞糞!! こんな糞ガキ相手に頭を下げるなんて!!


 ……はぁ……はぁ……いや、まだだ!

 俺はこいつを見たこともがない!

 偽物可能性だってあるはずだ!


 「あの失礼ですが、私はこの地区にいらっしゃる異世界の勇者様は大体知ってます。ですが、私はあなたを見たこともないのですが……」


 「その質問は私が答えますと、黒奈リーダーが事前に他の地区から応援を頼んでいたのです。だからご存じないのかと思います」


 あんの糞生意気な小娘の分際でそんな小賢しいことを!!

 あんなに根回ししたのにまさか他の地区から呼んでくるとは思いもしなかった!!

 ちくしょう!! 糞ッアンド糞ッ!! ベリィーベリィー糞ッ!! 糞糞糞糞糞糞糞!!


 はぁ……はぁ……と……とにかく、勇者が来てしまった以上、どうすることもできない。

 これ以上、勇者なんかと関わっていたらロクな事にならない。

 早く撤退しないと俺まで巻き込まれる。

 勇者なんて頭のおかしいキチガイどもに関わっていたら命がいくつあっても足りやしない。


 「い……いやー異世界の勇者様が間に合って良かった! これで皆幸せ! ……て言うことで、私達はもう必要ないですよね!?……それでは私達は撤収しますね!」


 「……待て」


 「……は?な……何でしょう……?」


 勇者が俺を引き止める。

 無視する事は絶対に出来ない。

 もしかしたらそれでキレて殺されるかもしれないからだ。

 特にこの勇者は危険な感じがプンプンする。

 本来なら絶対に関わってはいけないタイプの勇者だ。


 「私が来たせいで貴様たちが敵と殺し合えないのは消化不良だろ?」


 「消化不良? い、いえ私達は別に――……」


 「だから貴様らが楽しめる良い案を思いついた」


 「……へ? 良い提案?」


 ドクン!ドクン!ドクン!


 あまりにも嫌な予感がして心臓が爆発しそうになる。

 聞きたくない、聞きたくない!!

 頼むから変な思いつきしないでくれ!!


 「……貴様ら1000人、今から全員でゴブリンどもに全力で突撃しろ。それなら楽しいだろ?」


 「えええっ!!?? ……そ、それは――……!!」


 何を言ってるのか理解できない。

 このキチガイは一体何を考えてるんだ?

 

俺が答えようとすると黒奈の所の指揮官が俺を遮って、


 「勇者様!! それでは話が違います!! それでは無駄な被害が出てしまいます!!」


 この時ばかりはこいつに感謝しないといけいない。

 いや、そもそもこんな頭をのおかしい勇者を呼んだのはこいつらか!! 糞がッ!!


 「今回、私たちが依頼したクエストは被害を最小限にしながらゴブリンを討伐する事です!! ですので――……」


 「貴様は何もできない雑魚の分際で私に意見するのか?」


 「い、意見と言うよりは……依頼しているクエストの達成条件が満たされないと言うことをお話しているのです! 彼らを無意味に突撃させるのなら報酬はお渡しすることがてまきません!!」


 「……無意味に突撃させるなと? ……ふふふっ……

あはははは!! かははははは!!」


 「面白いっ!! 滑稽だ!!かはははは!! 貴様らの存在自体が無意味な存在のくせに!! ならば私が貴様らに突撃する意味を与えてやろう!! 突撃してゴミの様に散れ!! そして私を楽しませるのだ!!」


 「勇者様!! どうか落ち着いてくだ――……ごぼっ!?」


 「……私は勇者だぞ? いつも落ち着いている」


 「ごふっ!! ………かはっ!? ……な……何で……?」


 勇者は指揮官が帯刀していた剣を抜くと、それを心臓目がけて刺しやがった。

 剣は間違いなく心臓を貫き、体を貫通している。


 べちゃ


 顔に違和感を感じ、手で拭ってみると返り血が付着していた。


 バタン


 そして血を吐きながら地面に倒れ込み、絶命する。


 ……人が死ぬのなんて日常茶飯事だし、誰が死のうがなんとも思わない。


 たが俺は人が目の前で死んで人生で初めて恐怖した。

 いや、違う。

 人が死んでビビったんじゃねぇ。

 次は俺が殺されるからビビってるんだ!


 ざわっ……


 「こ、こいつは本物の勇者だ。! 殺される! 殺される!」


 「うわああああああ!! 嫌だ死にたくない!!」


 「逃げろ! 逃げるんだ!」


 俺が何も命令していないのにも関わらず、使えないゴミ共が勝手にこの場から逃げようとしていた。


 すると勇者が拡声アイテムを使って逃げ惑う全員を対象に、


 「ここから逃げた者から殺す! 私に歯向かって来た者から殺す! 私の命令を聞かない者は殺す! 殺すっ! 殺すっ! 殺すっ! 貴様らがここから生き残るには2つの選択しかない! ゴブリンを皆殺しにするか、私を殺すかだ!」


 ピタッ


 逃げようとしてた奴らの足が止める。

 振り向いた顔は絶望に歪めていた。


 俺は勇者の視線が屑どもに向いてる間にこの勇者のステータスを確認してみる。

 聞かれないよう小声で、


 「ステータスオープン……」


 ブオーン


 ―――――――――――

 名前   : 杉山浩太

 職業   : 新人派遣社員

 称号   : ド鬼畜

 レベル  : 60

 HP    : 8

 MP    : 0

 攻撃力  : 3

 防御力  : 4

 素早さ  : 5

 運    : 5

 スキル  : 運転免許 危険物乙4 簿記3級 宅地建物取引士試験合格

 ―――――――――――


 な、何なんだよこのおかしなステータスは……。

 レベル60。

 思ってたよりかなり低いレベルだが、それでも中級者レベル。

 なのに能力値が素人同然でまるで釣り合ってない。

 しかもこのスキルは何だ?

 どれもこれも全く聞いたことがない。

 恐らくこれがこの勇者が持っているチートスキルだ。

 そして職業が新人派遣社員で、称号がド鬼畜――……

 

 「どうだ? 面白いステータスしてるだろ?」


 「いっ……いえ!! か……勝手にス、ステータスを見てしまい申し訳ありません!! あまり勇者様を直接見たことがないので気になってしまって……」


 「私のスキルは常に力を抑えていないと敵味方関係なく皆殺しにしてしまう。だからステータスを改変して能力を制限してるがどうしても不自然なステータスになってしまう。こればかりはどうしようもない」


 「さ……流石勇者様……。まさかステータスをいじれる力をお持ちとは……。ついでに……勇者様の本来のステータスはどんな感じで?」


 「見たいか? 制限を解除した瞬間、貴様らは一瞬で焼却処分されるだろうがな」


 「は……ははっ……」


 「それで答えは決まったのか? 私は他の勇者共と違ってとても優しい。貴様らの運命は貴様ら自身で決めさせてやる」


 「…………そんなの決まってるじゃないですか……」


 こんなの相手にするくらいならゴブリンの方がはるかにマシだ。

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