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見習い女神ナスクの異世界ゲームセンター繁盛計画  作者: エエナ・セヤロカ・ナンデヤ
第一章 ナスクゲームセンター開店準備計画
10/19

地形利用

 黒奈は誰が見ても間違いなく美少女だ。

 それも町中を歩いていたらナンパや怪しい勧誘がひっきりなしにくるレベルの可愛さだと思う。

 だが、見れば見るほど黒奈の服装がとても変わっている事に気がつく。

 みずぼらしくボロボロでとても生地が薄そうな布の服を着ているのだ。

 まるでファンタジー世界に登場する奴隷が着ている奴隷服のようだ。

 

 街にいた人間と比べてみてもここまでひどい服装をしていた奴は見た記憶がない。

 もしかして黒奈は奴隷なのだろうか?


 まぁ、奴隷なのかそうじゃないのかはどうでもいいし大した問題ではない。

 そんなことよりも黒奈がとてもエロい恰好をしている事だ。

 服のサイズが小さいせいで体にぴったりと貼りつき、体のラインがはっきりと分かる。

 その大きいおっぱいも目で見て余裕で分かるぞ。

 しかも服の生地が薄いせいで透けて見えそうだ。

 おっぱい辺りを霧吹きで何回か水を吹きかけるだけで完全に透けて見たいものが見えそう。  

   

 帰ろうと思ったがもうちょっとだけ様子を見よう。


 「大変失礼ですが、先ほど杉山さんの経歴書を拝見させていただきました。杉山さんのような伝説の勇者だと、私ごときでは特に教えれる事もないですが……」


 「え? ああ、あの経歴書は全部嘘っぱちです。実は今までまともにモンスターと戦ったことすらありません。だからそんなにかしこまる必要はありませんよ」


 「そっ、……そうですよねー! わっ、私が勘違いしておりました! ご迷惑をおかけして申し訳ありません……申し訳ありません……」


 黒奈は深々と頭を何度もペコペコと下げて謝罪する。そんなに謝罪されても困る。

 黒奈が仕事を教える先輩であって俺が後輩なんだからもっと偉そうな態度をとってもいいのに。


 「ん? 何だあいつら?」


 「……」


 黒奈のすぐ隣にある塹壕の溝におっさんたちがわらわら集まって黙って黒奈を見上げている。

 さっきまで死人のようだったおっさんどもが生き返ったようにイキイキしている表情になっている。

 そして何故か俺に向かって指をbにしてGJと褒めるおっさんまでいる。

 特に褒められるような子事なんてしてないと思うんだが一体俺が何をしたって言うんだ?


  ……


  …………


 「そうか、そういう事か! 分かったぞ!」


 「ひゃい!? ごめんなさい!私なんかが偉そうな事言ってごめんなさい!」

  

 何ですぐに気づけなかった!

 おっさんたちは誰しも3Dゲームでやるであろう基本中の基本、地形を生かして下から美少女のパンツを覗いているのだ!

 黒菜は腰を折り曲げて謝罪しているのでお尻を突き出している状態になっている。

 たださえ丈の短いスカートを履いているんだ。

 さぞかしおっさんたちからは絶景、いや楽園が見えるのだろう。


 しかも偶然パンツが見えるポイントというのも最高だ。

 仮に黒菜に痴漢だと言われておまわりさんに通報されたとしても『荒みきった心を少しでも癒す為に塹壕の中から美しい青空を見上げようとしたらたまたま視界にパンツが映っただけだ』と少し苦しいが事故だと主張できる。


 「あの……とても険しい顔で俯いているようですが、もし嫌でしたら他の人に教育係りをしてもらいましょうか?」


 そりゃ険しい顔にもなるさ。

 だって見たい! 俺だって見たいんだもん!


 「ああ、違うんです。あんまり女の子と喋る機会がなくて緊張しちゃったんです。俺は黒菜さんが教育係りですごく嬉しいですよ。これから色々ご迷惑をおかけするかもしれませんが、頑張ってついていきますのでよろしくお願いします」


 「私も杉山さんが優しそうな人で安心しました。へへっ……どうかよろしくお願いします」


 印象が良く見えるよう出来るだけ爽やかに言ってお辞儀をするとそれに応えて黒菜がぺこりとお辞儀をする。

 お辞儀をしたおかげでますます良いアングルになったのだろう。

 するとまたおっさんたちから小さな声で歓声が上がった。


 ああああ~~……っ! 畜生っ……! 見てぇよー…っ! 俺も見てぇよ……っ!!

 いつもそうだ…っ! いつも俺ばっかり運がないっ……! 今、俺が塹壕に移動したって流石に気づかれてしまう…!


 ざわ……


 『いや……まだお前にも勝機はある……っ!』


 何か声が届いたような気がした。

 実際に声として聞こえた訳ではない。

 何か心に直接メッセージが届けられたような気がしたのだ。


 おっさんたちの方を見ると何やら身振り手振りで何か俺に伝えようとしていた。

 おっさんが俺に向かって指を指す。『お前が』

 その指が今度は塹壕の底に向かって指す。『ここに』

 そしておっさんたちは抱擁するかのように両手を広げる。『飛び込め!おっさんたちが受け止めてやる!』


 これはヘヴィメタルやロックのライブコンサートで行われるモッシュ!観客に飛び込んで受け止めてもらうやつだ!

 つまり、そこに飛び込んで一瞬のパンチラを見る為に協力してくれるって事なのか!?

  

 おっさんたちは無言で頷く。

 ああ……っ!!ありがてぇ……っ!!

 ここまでお膳立てされて何もやらないのは男じゃねぇ…!みんなの力を借りるぜ…っ!


 ざわ……ざわ……


 「……ん。どうされましたか? 体調でもすぐれないのですか?」


 黒菜が心配そうにしながら覗き込んでくる。

 悪いな……俺は君が思っているような優しそうな人間じゃない。むしろ人間のクズなんだ。


 「……すぅー」


 「あっ……あの~?」


 「行くぞ…っ!」


 「来い…っ!」


 助走をつける為に5メートルほど後退して一気にバク転で加速!

 そのままおっさんたちの元へ!


 「今だああああああああああ!!」

  

 大きくジャンプして飛び込む!視点は良し! 後は脳をフル回転させて一瞬の楽園を魂に刻み込む!

 さぁ黒菜、君のパンツを見せてくれ! 君のパンツの色は名前の通り黒のパンツか? それとも純情な白のパンツか?

 何だって良い。何色だろうが受け止めてやるさ!


 「嘘だろ……っ!?」


 思わず思考がとまる。信じられないものが見えてしまった。


 「穿いてな――……」


 「杉山さん!」


 黒菜が驚いたような心配したような声が聞こえる。 

 

 「ぐふっ!?」


 気が動転してしまい着地の体勢を考えていなかった。おっさんたちが受け止めてくれたから良かったが、下手したら大怪我するかもしれなかった。

  

 「見えたか……?」


 下から声がしたと思ったらおっさんが下敷きになって衝撃を和らげていてくれた。

 俺よりもはるかにダメージが高そうだ。

 深呼吸する。


 「感謝……っ!!圧倒的感謝……!!」

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