スキル不足
スキル不足
重機を奪おう、そう決まったまでは良かったものの、それがどこにあるのか分からない二人は周囲を念入りに調べ始める。草一つ生えていないその場所で、内海はすぐ地面に残されたキャタピラの跡を見つけたのだった。
「川田君、これみて」
「この跡、洞窟の中か……」
重機が中に入るだけの大きさはある入口で、奥の方は暗く、今の位置からでは何も見えない。何もないよりかはましかと、二人が携帯を取り出した時だった。
「川田君、隠れて!」
慌てて腕をつかみ、洞窟を飛び出す。そして洞窟の入り口が見えるように、二人はやぶの中に身をひそめた。何故急に内海が隠れさせたのか、その場では理解できなかったが、しばらく身をひそめるうちに音が近づいてくる事に気が付いた。
それは先ほどと同様、全体を黄色くペイントされた重機であり、たった一台が砂埃と共に駆け上ってくる。
「助かったぜ、内海」
砕いた大粒の岩石を運ぶための、キャタピラが付いたダンプカーのようなそれは、スピードを一切緩めることなく洞窟へと吸い込まれていく。実はこの重機には草加と、彼を味方にひいきれた鳳と、川端が乗っていたのだったが二人は気が付けないでいた。
「よし、行ったな」
「やっぱり、この洞窟の奥だったね」
真っ赤なテールライトが見えなくなるまで、入口の陰に隠れて見守る。轟々とした唸りをたてて、それは奥の方へと消えて行った。
「この洞窟、奥には何があるの?」
再び携帯を取り出し、ほんの僅かな頼りない灯りを頼りに、ゆっくりと奥へと向かって行く。暗いその洞窟の中には、二人の足音だけが彼らの耳に届いていた。
「この洞窟は行き止まりだったはず。だけど、そんなに深くは無かったはずなんだけどな」
話しながら、滑りやすい足元に気を付けつつ、二人は奥まで進んでいく。この辺りまでだったはずだぜ、と川田は足元をつま先でトントンとつついていた。洞窟の壁はそこまで極自然的だったのに対し、そこからは人が掘ったように綺麗な人工的な壁となっている。一つ、急なカーブを曲がりきった時、奥の方からの灯りが目に飛び込んできた。
二人は足音を出来るだけ消して、その灯りの先へと近づいて行く。どうやらその灯りは洞窟の奥にある巨大な空間の全体を照らしあげているらしく、その一部が二人の方へと漏れ出ていたのであった。
岩肌に背中を密着させ、中の様子を伺う。そっと覗き込む暗闇に慣れきった目が、徐々に灯りに慣れてくる。そこで目にした光景は、なかなかに驚くべきものだった。