猫の話
まあ、いろいろ短編をのっけていく
『黒猫』
黒い猫がこっちを見ている。
さっきからじっと。
すると、欠伸をして一声鳴いた。
(…‥‥……なんだ、バカにしているのか?)
まだその猫は俺を見ている。
(なんなんだいったい…‥‥……)
すると、待っていた信号が青になった。
(…‥‥……渡ろう)
キキィッー…‥‥……
「みゃぁあおぉう‥‥……」
違う、あの猫は‥‥……
遠くなる意識の中、視界のはじに写る猫を、じっと見つめていた。
『白猫』
「みゃぁあぉ…」
「お前いっつも来るよな、普段どこいるんだ?」
おれの家にいつも来る、白い猫がいる。
白い猫と言っても耳の先は黒いのだが。
毛並みはよいのだが、首輪は無いから多分野良だとは思う。
「みゃあおお!」
「はいはいわかったって。今飯持ってきてやるよ」
俺は立ち上がると、台所に向かった。
「えっと…‥‥……ねこまんまねこまんまっと…‥‥……」
ねこまんまと言っても混ぜご飯にカツオ節をかけただけだが。
(塩分あげすぎかなあ…‥‥……大丈夫か、かなり薄く味付けしてるし。)
「みゃぁあぉ」
「はいはいまってて!」
◎
○
◎
次の日。
帰り道の途中で、例の白猫にあった。
「みゃぁあぉ。」
「お、ここで会うとは奇遇じゃねえか」
俺はしゃがんで白猫に話しかけた。
すると何を思ったか白猫が俺の鞄をくわえて走り出した。
「お、おい!?待てよ!!」
俺は猫を追いかけて100mほど走ったとき、さっきまでいた横断歩道の近くから。
キキィッー‥‥……
ガッシャァアンッ‥
という事故特有の音がした。
振り返るとさっきまで、俺がいた場所は車の残骸が飛び散っていた。
反対側の横断歩道の近くの電柱に車がぶつかっていて、近くに人が倒れているのと、黒い塊が見えた。
「‥‥……お前。」
猫の方を見ると、いつの間にか近くにいて鞄を置き、行儀良く座っている。
「みゃぁあおぉう‥…」
これは…‥‥……助け、られたのか‥‥……?
「…‥‥……ありがとな。」
「みゃあおお!」
白猫は一声鳴くと、どこかに去っていった。
今でも猫はおれの家に来る。