宿った力
目を開けるとそこはそこは平原だった
先ほどまでいた奴隷商の男のテントではなく
空気の澄んだ爽やかな風の流れる平原だ
アランはゆっくりと周りを見渡し
安堵する
「ふぅ~。『白い精霊』のいった転移はこの事か…」
アランはその場に腰を落とし
周りに魔物などがいないかを確認し
自分の姿を見る
先ほどまで着けていた汚い腰布は無くなり
真っ白なローブとベージュのズボンを身に付けていた
どちらも普通の布で出来たもののようで
不思議な力は感じない
次に体だ
汚く臭かった体は綺麗になっており
元々褐色だった肌は真っ白に変わっていた
奴隷だったアランは
突然驚いたり感情を顔や姿に出すと
すぐさま鞭が飛んで来ていたので
多少の驚きは直ぐに沈める癖がついている
そのため肌の色の変化に驚きはしたものの
元の肌に別に執着もないので
精霊の力の影響だろうと深くはかんがえなかった
「この辺に魔物の気配は無いな…」
ゆっくりと立ち上がり
服の草を払う
新品は汚したくないものだ
「移動する前に『白い精霊』が教えてくれた
魔法とか試すかな」
アランには『白い精霊』の知識のほんの一部を
受け継いでいる
ありがたいことにそれは魔法の使い方や
簡単な剣術(なぜ精霊が必要だったかのかは謎)や狩り
それに簡単な教養、字の書き方などを伝えていた
いっていた通りどれもほんの触りの部分だけだ
アランに自分で身に付けろということだろう
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「魔法かぁ~。一度だけ見たことがあるな…
あの時は荷物を俺達だけじゃ運び切れないから
『運び屋』とか言うやつらが来たんだっけ?
空間魔法を使ってたな…」
当時を思いだし便利そうだったな~
思っていると
自分の知識に空間魔法が有ることともう奴隷ではない
事を確認してちょっとニヤける
「知識が有るものは俺に適正があって、知識がないもの
は俺には使えない属性か…」
白い精霊が伝えた記憶を
『引き出す』
それによれば
基本属性
火魔法⇒使える
水魔法⇒使える
土魔法⇒使えない
風魔法⇒使える
光魔法⇒使える
闇魔法⇒使えない
特殊属性
空間魔法⇒使える
木魔法⇒使えない
雷魔法⇒使えない
氷魔法⇒使える
真空魔法⇒使えない
召喚魔法⇒使えない
封印魔法⇒使える
付加魔法⇒使えない
固有魔法
白き精霊魔法
???
らしいな…
普通人はひとつあれば良い方だから
かなりいいな…
基本属性は4つもあるし…
特殊属性も3つある
どうやら本来俺が持っていた属性は
火魔法
風魔法
闇魔法
と、謎の固有魔法らしい
結構魔力もあったらしく才能もあったようだ…
更に白い精霊の持っていた属性で
俺の持っていなかったのが
残りだとか
闇魔法と光魔法は
同時に持てないらしい…
俺の体が変化したのは
闇魔法と光魔法の衝突の影響らしい
納得だ
白い精霊のお陰で
かなり魔法も適正属性も増えて優秀な
肉体に変化したな…
ありがたいことだ
早速空間魔法から使ってみることにする
発動は魔力を属性変換し
それを頭の中で固有の波長合わせ…
「ルーム!!」
と魔法名を言う
すると体から魔力が抜け
目の前に歪んだ空間が生まれる…
この中にものを入れられるようだ
確認したとこで空間を閉じる
だって入れるものがないから
それにしても難しいな…
白い精霊のお陰で普通はかなり難しい魔力の
流れの確認がうまくできるが
波長を見つけるのは自分でしなければならない
奴隷のままなら適正はあっても
一生使えなかっただろう
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一通りの魔法を試したあと
一休みを挟む
「火魔法で枯れ葉が燃え出したときは焦ったな…
水魔法がなければどうなってたことやら…」
辺りを惨状を見渡し思う
さて次は
白き精霊魔法だな
記憶から使い方を引き出す
『白き光は汝と時間を惑わす大いなる聖剣を成す』
呪文の発動と共に体全体から魔力の消費を感じる
『ラングサムシュヴァルト』
体から強い光を発し
その光が目の前で集まる
そして剣をとなった
剣といっても光の集まりといった感じで
少しずつ光が離れていくのを見ると
そのうち消えるのであろう
剣を手にとる
「熱さは…ないな。そして重さもない」
そして目の前の草を一気に切る
「!?」
そこには完全にはを通りすぎて切れているはずの
草がそのままある
「変化なしか?…ん?」
よくみると風か適度に吹き
周りの草が揺れていくなか
切った草だけが不自然な動きをしている
「これは…この草だけ時間が流れるのが遅い?」
もう一度よく草の様子を見る
やはりその様だ
風が吹いてもすぐには動かずゆっくりと倒れる
そして止まってもゆっくりと戻る
そしてその動きは15秒ほどて消えた
「時間を遅らせる剣か…難しいな…」
手の剣に目をやる
そして光の剣はゆっくりと消えていった
時間にして2分ほどか
「これから鍛えていくしかないな…」
「よしっ!ずっと此処に居るわけにもいかないし
とりあえず街、いや道に出るか!」
腰をあげて
適当な方角に進む
アランの、奴隷であったものの物語は
ここから始まる