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奴隷の剣  作者: ラッキー
2/5

白い精霊








少年は突然変わった視界


いや、『世界』に驚いていた









「ど、どこなんだ?」



少年は突然起こったことで思考が停止

していたが

少し冷静になったところで自分の置かれた状況

を理解しようとし始めた





「俺は…そうだ。呪いの装飾品をつけさされていたんだ

ということは…まさか死んだのか!?」




『残念ながら君は死んではいない』



「!!?」


突然少年の後ろからかけられた声に驚き

尻餅をついてしまった





『すまない。驚かせてしまったようだな。

自己紹介でもしようか。私は白い精霊と呼ばれる者だ』



少年はまだパニック状態ではあったが

なんとか平常心を取り戻し白い精霊に向き直った

その姿は光で出来た丸い球体だった

そこに悪意などは今のところ感じない





「お、俺はアラン。アランって言うんだ…」






アランは力なく答えた




『なにを怯えているのだ?』


白い精霊は怯えた様子を見せるアランに

尋ねた








「……俺を…俺を殺すんだろ?…」


弱々しく答えたアランに

白い精霊は困惑した様子を見せた






『なぜだ?なぜ私がお前を殺さなければならない?』





「ち、違うのか?」



アランはゆっくりと顔をあげて尋ねた




『そんなわけないであろう

なぜそのように考えたのか教えてはくれんか?』






アランは自分が奴隷なこと

それに呪いの装飾品がないか一つ一つ

着けていたことを話した








『そうか…その様なことが…』



白い精霊はゆっくりとアランに近づいて


『本来《白い腕輪》を着けてもここには来れない

私が呼んだのだ。しかしそれだけでもやはりここには来れない

アランよ。本来なら自分の中に《魔力》が私の干渉を

拒絶するのだ。しかし呪いの装飾品の影響ですでに

アランには魔力がつきていた。だから来れたのだ』




「??」


アランにはあまり理解できなかったが

白い精霊は続けた




『ここに人を呼んだ理由は…

私の力を譲るためだ』



「えっ!?」


今の言葉は少年にも理解出来た

そのためなにも持たない奴隷である自分に

何かを与えてくれるということに過剰

に反応した







『私がこのような力を発揮できるのもあと少しなのだ…

本来なら精霊が何かに身を宿した場合自我を失う…

私もそのつもりであった…だが私は自我が残ってしまった

自我が残るということは本来腕輪にいくはずの力が

自我として消費されているということなのだ…』





白い精霊は少し悲しそうに言う



『自我が無くなればもうこの腕輪は力を失い

私がいたことはこの世から無くなってしまう…』




『それが私にはたまらなく辛い…だから残りの力を

ここに来られた人間。アラン…君に譲ると決めたのだ』




アランは黙って白い精霊の話を聞く


この会話が最後になることが本能で解ったから

この特別な存在を最後まで感じなければならないと

本能で理解したから




『本来精霊の力を生き物に宿すことなどできない…

しかし宿したはずの力が腕輪に行かずそのままさ迷っている

そのため力がそのまま私に残っているのだ。

それを君に譲る…そうなれば私は消えてしまうであろう…

それでもここで力を失うのを恐れるよりもずっとましだ

アラン。君は受け取ってもらえるか?』




これは覚悟を聞いているとアランは

感じ、力強く頷いた




『良かった…君ならばうまく使ってくれそうだ!

この私の力を!

簡単な魔法の使い方と私独自の《力》の使い方を

君の記憶に送り込むからそれを元に精進しなさい…』



「分かった」



『最後にこの空間を維持する力が余っているな

それはその奴隷商から逃げるのに使うとしよう』




ではお別れだ





そう頭のなかに響き再び強い光に包まれた





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