奴隷の少年
「おい!早くしろ!!」
体躯の良いゴツゴツした男が奴隷の少年に
向かって怒鳴る
少年は言われた通りに素早く持たされた
荷物を運ぶ
恐らくろくに食べ物も与えられていないであろう
そのほっそりとした体は
限界がゆっくりと近づいていた
重い荷物をとうとう支えきれなくなり
少年は荷物を抱えたまま倒れこむ
「てめぇぇ!なに倒れてんだ!
荷物が壊れちまったらどうしてくれんだ!あぁ!!」
「ご、ごめんなさい…」
少年はか細い声で謝罪するが
体躯の良い男は少年を思い切り蹴りとばす
「がばっ!」
鈍いおとをたてて少年は吹き飛ぶ
「この荷物はなぁ~!『迷宮』から届いた
大切な宝なんだ!テメェの命なんてものより
ずぅーーーっと価値があるもんなんだよ!」
そう言ってもう一度少年を蹴りとばす
もう一度吹き飛ぶ少年に男は唾をかける
すると男は思い付いたように
「おぉ!そうだ。テメェに辛くねぇ仕事を
くれてやるよ!テメェはよわっちいから、たかが荷物
の一つも運ぶことも満足にできねぇからなぁー」
そんな言葉を聞いて少年はもう一度蹴られ
意識を失った
冷水を掛けられて少年は意識を戻す
すると目の前には光輝く腕輪や指輪
それに防具などの様々なものが並べられていた
すると男が
「これからお前にはこの装飾品などを一つ一つ
つけていって貰う。なぁに、不安がるこたぁねぇ!
荷物運ぶよりも随分と楽になっただろ?」
ニヤニヤと汚い笑みを浮かべる男に
少年は自分がこれからすることの意味を考え
始めた。
(これをつける?なぜ?…)
すると
「おい!ぼけっとすんな!さっさと着けてかねぇと
日がくれちまうじゃねぇか!」
そう怒鳴り少年の頬を殴る
少年は考えるのを止め
腕輪などを着けていく
百点ほどあるそれらには不思議な
光を放つものや力強いものを感じる
ものがいくつか混ざっている
そして少年がその一つ一つを着けて
少年の様子を確認しては
「なにか違和感はねぇか?」
と聞いてくる
少年は正直に「ありません」
と答えると
「よし!外せ」
と少年からそれを剥ぎ取ると
「次だ!」
と残りのものを渡してくる
それらには不思議と力が沸いてくものが幾つかあり
それを伝えると男は喜び
そしてそれらは別に分けている
そして綺麗な腕輪をつけたとき
「がっ!」
少年の体に強い痛みが走る
直ぐに外そうとしても腕輪は外れない
「た、たすけ…て!」
少年が男に向かってそう言うと
「だめだ。それがお前の仕事だ。それに
それのはずしかたなんて分からねぇよ!」
とニヤニヤ腕をくみこちらを見るだけだ
少年は襲ってくる強い痛みに
何時間も教われそして
じきに痛みが来なくなった
「やっと終わったか~。次をつけろ」
少年のはやっと外れた腕輪に
恐怖を覚え自分が何をされているの
かに気付く
(宝に何かしらの呪いがかかってないか俺で確かめられているんだ!)
「早くつけねぇか!」
男がまた怒鳴り、少年は目の前の
指輪を恐る恐る着ける
しかし今回はなにも起きない
少し安堵していると
「次だ」
すぐさま次の指示が飛ぶ
そうして残りも少なくなってきて
あれから2回ほど呪いの宝に触れ
体から力が抜けたり
胃に何もなくなるほど嘔吐をしたりと
最初ほどではないが少年を弱らせていた
そして真っ白な腕輪を持ち
それを恐る恐る腕
に着ける
その瞬間強い光が起こり
「っ!」
ゆっくりと目を開くと
そこはなにもない真っ白な世界だった