ある冒険者の幸運。
年末年始多忙のためちょっと更新ペース落ちます
助けてくれ。そうは言ったもののこの数の魔物をどうにかすることなんてできるのか?
俺はふと冷静になってそう考える。
俺が5体のスケルトンと戦っている間に後ろの方からもさらに多くのスケルトンが追いついてきていることが、魔力感知から分かる。
ん?待てよ。そもそも人間なんて俺の魔力感知では引っかからなかったぞ。そう思い俺はその人影の方に意識を向ける。
俺は絶望した。その人影からは魔力をほとんど感じなかったからだ。生まれたての赤ちゃんとかそんなレベルの魔力しか持っていない。何故そんなやつがこんなところにいるんだ。
この世界で 魔力を持っていない=無力
というのは絶対の図式だ。
魔力が多ければ多いほど強い。とは一概には言えないが、魔力はある程度持っていないと、魔力のある人間や魔物とは戦えない。
俺は流石にもう諦めた。この人物と一緒に死ぬのだろう。
そう思い目を向ける。
「よし、やりますか。」
その人物はあろうことか、緊張感のない言葉を発し右手に持っている棍棒を構え、前に歩き出し俺とすれ違う。
高い背丈にガッチリとした身体付きで棍棒がよく似合っており、頼りになりそうな雰囲気はある。
しかし、見た目だけだ。魔力はほとんどないのだ。
「おい!ちょっと待て!無理だ!逃げるぞ!」
俺は助けを求めたにも関わらず、男にそんなことを言う。
しかし、男にはすでにスケルトンが迫っており、死が訪れようと
ガッシャーン
ガッシャーン
バシーン
「え、、?」
俺は信じられない光景を目の当たりにした。
魔力を持っていない。もちろん身体能力の強化なんてしないただの男が棍棒を一振りするだけで、スケルトンは簡単に吹き飛ばされていたのだ。
「いや、、え??なんで??」
俺は理解が全く追いつかなかった。
安心や喜びの感情よりも分からない理解できないという感情が湧き上がっていた。
それでも、心の奥ではまだ生きられるかもしれない。そう思い、この幸運な出会いに感謝していた。