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積み木酒

作者: 歌川 詩季

「つみきざけ」

 お酒、飲まないんですけどねえ。

 満ちきるを待つまでもない

 かたちを定めない月の無常を()でながら

 切り揃えられた木片を積みあげる

 (かすがい)寄越(よこ)そうとする無粋者(ぶすいもの)

 五月蠅(うるさ)そうに払い()けつつ

 いまにも音を立てて崩れそうな木片を

 もう(しばら)(こら)えてくれよと積みあげる


 崩れ落ちるからいいんじゃないか

 積みあげた木片も

 ()み重ねた(さかづき)

 崩れることを知らなくちゃ

 夜明けの訪れを(うら)めしく思うまで

 (うたげ)は終わらないだろう


 また欠けるからいいんじゃないか

 満ちていくばかりじゃ あの月だって

 ようやく結べた円を()ち切れさせ

 やがて夜空を()みこんじまおうと

 その身を(ふと)らせ続けるとことだろうさ


 崩れ落ちるからいいんじゃないか

 また欠けるからいいんじゃないか

 夜明けの訪れを(うら)めしく思うことなく

 ほどほどできりあげればいい


 積みあげた木片が崩れるまで

 ()み重ねた(さかづき)が崩れるまで

 定まらぬかたちをした 無常の月の

 今宵(こよい)の顔を()でながら

 もう(しばら)(こら)えてくれよと

 木片を積みあげては

 (さかづき)()み重ねる

 積み木も最近、しないなあ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おセンチねぇ [一言] つみきたる  ひびをかえりみ  つきみざけ  かけゆくままに  くずれおつとも  m(_ _)m 
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