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これから

「うっッ」鈴音は、少しうめき目を覚ました。目の前には、見慣れない天井が広がっていた。鈴音は、左眼に包帯が巻かれ、腕、あばらの部分にも同じように包帯が巻かれていた。

しばらくし、鈴音の意識がほとんど戻っていた時、襖が開く音が聞こえた。「目が覚めたのかい?」優しい声が鈴音の枕元に聞こえた。「お嬢さん。気分はどうだい?」声の主であろう優しげな男性は、鈴音の頭の横に手を置き、鈴音の頭のほうから顔をのぞきこんだ。

優しげな男性は、目鼻が整いっていた。それに、優しげなのは、たれ目が優しい印象を与えているのだろう。

「えっ…と…」鈴音は、顔を赤くして呆然とした。「お嬢さん、驚いたね〜」優しげな男性は、イタズラぽく笑った。「私の名前は、近藤こんどう いさみ新撰組(しんせんぐみ)局長(きょくちょう)と言ったらわかるかな?」勇の紹介に鈴音は、驚いた。「新撰組…って…あの…?」鈴音は目を丸くした。「驚くのも無理はないよ。私だって、お嬢さんのことで色々驚いているんだ」勇は、楽しげに笑った。「まずは、お嬢さん名前は?」「鈴音…です…」鈴音は、静かに言った。「鈴音。綺麗な名前だね。名前の通り、鈴の音みたいな声だね」勇は、座り直すと鈴音の頭を撫でた。「あ…あの、わ…私の…左目は…」鈴音は、聞きたかったことを口に出した。「残念だけど…鈴音お嬢さんの左目は…視力を戻るのは…正直、難しいと思う」勇は、申し訳なさそうに目を伏せた。「そうですか…」鈴音は、呆然と天井を見つめた。「鈴音お嬢さん。今は、怪我を治す事に専念しなさい」勇は、優しく微笑んだ。

◇◇◇◇

あれから一月が経ち、鈴音も怪我がよくなった。そして、鈴音は、家族を失った以上行く宛てが無かった。そんな、鈴音を勇は心配し、自分の部屋に鈴音を読んだ。

「鈴音お嬢さんは、行く宛てがないのかい?」勇は心配そうに鈴音を見つめた。鈴音は、少し考え「ありません…ですが…実の兄が江戸にいると思います。ですが…」鈴音は、目を伏せた。勇は、何かを察し、少し考え「じゃあ。こうしよう」と口を開いた。鈴音は、不思議そうに勇を見上げた。「お兄さんに文を書こう。私も書くから、今までの事、そして、ここで暮らす事を書こう。」勇は、鈴音の頭を撫でた。「いいのですか?私がここに…」鈴音は、目を丸くした。「いいよ。それに、私が頼みたいくらいだよ。鈴音お嬢さんみたいな、可愛い子をどうしても離したくなくてね〜」勇は、優しくクスッと笑った。鈴音は、少し頬を赤らめながら「あ、ありがとうございます。私で良ければ、新選組の為に精一杯尽くします。」と頭を下げた。「ありがとう。鈴音お嬢さん」勇は、優しく微笑み、鈴音の顔を上げさした。「鈴音お嬢さん。甘い物は、好きかい?」勇は、金平糖を差し出した。「甘い物、大好きです。」鈴音は、目を輝かせた。そして、一粒金平糖を口に放り込んだ。

すると、「勇、入るぞ」と低い声がし襖が開いた。「あ、勇また菓子を隠してたな?!」部屋に入ってきた男は、勇の菓子を取り上げた。「本当に怖いね〜鬼さんは」勇は、クスッと笑った。「勇が食べすぎるからだろ?それに、鈴音が回復したら呼べとあれほど」勇に鬼さんと呼ばれている男は、ため息をはいた。「えっと…」鈴音は、混乱した。「そうだった。彼は、新選組 副長 (ふくちょう)土方 歳三(ひじかた としぞう)だよ。怖いから鬼の副長ってよんでるんだ」勇は、クスッと笑った。「おい!!」歳三は、勇を睨んだ。「えっと、鈴音と…」「知ってる」鈴音は、名乗ろうとしたが歳三は、鈴音を見下ろした。そして、歳三は、鈴音の腕を引っ張ると鈴音の顎を掴んだ。顔が整い強く上がった目に見つめられ鈴音は、ドクンと心臓を鳴らした。「この身体と顔だと遊郭で高く売れそうだな」歳三は、鈴音の腰に腕を回した。「ちょっと、歳くん!!鈴音お嬢さんになんて事を」勇は、焦り歳三から鈴音を引き剥がし抱きとめた。「冗談だ」歳三は、フッと笑った。「ただ、隙ばかりだと狙われるぞ」歳三は、鈴音の頭をクシャッと撫でた。「す、すみません」鈴音は、頬を赤らめた。「鈴音お嬢さん、あやまることはないよ。鬼の副長さんは、言葉遣いが酷いんだよ」勇は、鈴音を抱きしめ歳三をムッと睨んだ。「なんだと?」歳三は、勇を睨んだ。「怖いね〜。鈴音お嬢さん、絶対歳くんの元には置かせないからね」勇は、鈴音の頭を撫でた。「元に置かせる?」鈴音は、首を傾げた。



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