記憶のよみがえり
前世は誰にでもある記憶なのだろうか。それに、前世を思い出すのは可能だろうか。
そんな事をぼんやりと考えながら、普通の女子高校生鈴すずは、教室の窓側の机で本を読んでいた。
「新撰組…江戸時代末期、京都の治安維持の為に出来た。」鈴は誰にも聞こえないであろう小声で本を読み進めた。「藤堂平助とうどう へいすけ…」鈴は新撰組八番隊組長藤堂平助の名前に聞き覚えがあるように感じた。藤堂平助の人生の記録を読み進めるとある見出しが目に止まった。
[藤堂平助が愛した女性]
鈴の心臓がドクンっと音を立てた。読み進めようとすると「鈴〜次理科で、移動教室だよ?早くしないと先生に怒られるよ」と声が聞こえ鈴は本から目を離し目線を上げるとポニーテールをした明るい雰囲気を出した子が鈴をキラキラした目で見ていた。「あ、そっか〜。危なかったよ。ありがとう」鈴は少し微笑んだ。「てか、鈴って歴史好きだったけ?」友達は鈴が読んでいた本を見た。「いや、歴史はやっぱり苦手。けど、新選組だけ親近感があるんだよね。」鈴は机の中から教科書を出すと友達と一緒に教室を後にした。
♢♢♢♢
鈴は友達と笑いながら理科室に向かっていた。すると「お、鈴〜」と呼ばれ鈴は振り向くと、整った目鼻に身長が少し高めで鈴より二つ上のイケメン男子が鈴のそばに駆け寄った。鈴の隣を歩いていた友達が「きゃ〜」と顔を赤らめていた。その、イケメン男子は鈴の実の兄だ。名前は蓮れんだ。忙しい両親の代わりに鈴の面倒をよく見ていて、それにイケメンで心優しく女子からよくモテるのだ。「お、お兄ちゃん。どうしたの?」鈴は周りの目線に少し恥ずかしさを覚えながら蓮と目を合わせた。「今日の夕食俺が作るけど何がいい?」「え、じゃあオムライス?かな」鈴は混乱しつつ答えた。「わかった。帰り一緒に買い物に行こうな」蓮は優しい笑みを浮かべ鈴の頭を撫でた。すると周りで『カッコイイ。妹もすごく可愛い』『距離近くない?デキてるとか?』と声が聞こえ鈴は恥ずかしさで顔を赤らめた。
ーーあ〜今すぐ、普通の兄です!!って叫びたい。
と思いつつ「わかった。」と短く返事し鈴は足早にその場から離れた。
「鈴〜照れてる。いいじゃん、かっこいい兄がいて。その遺伝か鈴も可愛いんだから」友達は急いで鈴を追いかけ鈴の肩に手を置いた。「それに…デキてるって聞こえたね?」とイタズラな笑みを浮かべた。「わ、私お兄ちゃんとはそう言う関係じゃ…」鈴は慌てて訂正した。「もう、わかってるよ〜。鈴のお兄ちゃんは過保護だもんね〜」友達は悪びれることも無く笑った。鈴は、恥ずかしさから解放されはぁ〜とため息をつきながら階段をおりようとすると「キャッ」っと階段を踏み外し鈴は階段から落ち頭を打った。「鈴!!大丈夫?!」友達は急いで鈴のそばに駆け寄った。近くの生徒も急いで鈴を呼びかけた。
ーーなんだろう……ふわふわする。
鈴は意識が遠のくと目の前に水の中が写り鈴は水の中に浮いているような感覚になった。そこで鈴意識は途切れた。