表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/66

11.薬草採取へ

「聖女さーん。ポーションを五個ちょうだい」

「私はハイポーションを二つ」

「はーい、少々お待ちください」


 成人の儀式後、私の薬屋の売り上げは非常に上がった。

 好調の理由はシャルロットが成人の儀式で戦った魔獣王の子供との戦闘で、私のポーションに助けられたと話してくれたからだ。

 今まで領民からの支持が少なかったシャルロットだが、成人の儀式で良い結果を出したことで、領民からの信頼を得ることができたようだ。

 そのシャルロットと私の関係は、


「早く仕事を終わらせなさいよスフレ。何時まで私を待たせるつもりかしら?」

「まあまあシャルちゃん、スフレちゃんも頑張ってるぜ」


 私の店に遊びにくるくらい仲良くなった。私のあげたポーションが成人の儀式で凄く役立ったのが好印象を与えたみたい。ふっふっふっ、私の薬の力は人間関係も治してしまうのよ。

 えっ、その人間関係で失敗して王国を追放されたんだろって? あれは嵌められたんだからノーカンよ!


 ちなみに本日のシャルロットはオランジェット様と一緒にやってきて、今は裏でお茶を飲んでいる。

 店を閉めた後、一緒に薬草採取に行く約束をしているんだけど、ちょっとくらい手伝ってくれてもいいと思うのだけれど……。


「ほらほらっ、恨めしそうにこっちを見たって私は手伝いませんわよ。キリキリ働きなさいな」


 シャルロットは一生懸命働く私にヤジを飛ばしながらケラケラと笑っている。

 こいつー、さては成人の儀式の最後で私にからかわれたことを根に持ってやがるな。


「いやー、スフレさんが魔族領にきてからシャルロット様が明るくなられた。私らじゃあ身分が違いすぎてな……」

「いえいえ、私は何もしていませんよ」

「シャルロット様は良い方と友人になられた。私らじゃあ身分が違いすぎてな」


 買い物にきていた魔族領の住民から声をかけられた。

 シャルロットは住民から信頼されてないって聞いてたけど、この様子だと案外そんなことはなかったのかもね。

 信頼されてなかったというよりは心配されてたって感じかな?


 夕方お客様が引いたタイミングで店を閉めた私は、シャルロットとオランジェット様と三人で外出する。

 魔族領にある沢に薬の材料を採取に行く予定なのだ。

 沢の名前はイバラキの沢。水辺には普段採取に行く森では取れない薬草や茸があるって話をしたら、あの辺りは危険な魔物が生息しているらしく、危ないからついてきてくれることになったのだ。


「やっと出発ね。さあ、行きますわよ二人とも!」

「お嬢様、貴方がそれを望むなら」


 シャルロットの号令にオランジェット様がキザったらしく答えた。

 ひゃーっ! イケメンがかっこつけると凄いオーラが出るわね。初心な町娘が見たら一瞬で恋に落ちそうだわ。

 魔貴族と妹様にボディーガードについてもらうなんて申し訳ないな。なんて思ってたけど、二人とも乗り気みたいだし、まあいいか。

 因みにブールドネージュ様は外せない用事があるからこれないそうだ。残念。


「ところでイバラキの沢で危険な魔物ってどんなのがいるの?」

「そうですわね。まずイバラキの沢を支配しているのは河童族って魔族なんですが、彼らは友好的な種族です。建築が得意で、魔族領の建物はほとんど河童が建てた物なのですわ」


 河童族か、シャルロットやブールドネージュ様の鬼族もそうだけど、魔族領にきてから王国のお伽噺に登場するような種族がどんどん出てくるな。

 どんな人たちなんだろう。会うのが楽しみだな。


「問題は水辺に生息する魚の魔物ですわ。奴らは森の魔獣と同じくらい戦闘力が高いのです」

「補足すると森に魔獣王がいるように、イバラキの沢にも沢の主と言われる水竜がいるんだ。森の魔獣王とどっちが強いかはわからんが、奴の縄張りには近づかんように案内するから安心しな」

「ありがとうございます。新しい薬ができたらプレゼントしますね」


 イバラキの沢の魔物が恐くても、この二人がいれば安心できる。

 こうして私はシャルロットとオランジェット様に護衛してもらい、イバラキの沢に薬草採取に向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ