15 終わりと始まり。
女王の左側に座っている男、ボストマ公爵と言うらしい。
そいつが女王の代わりに説明してくれた。
ロイライカ王国の西側にエルフの国があるそうで、ロイライカはそこと仲が良いとの事。
2つの国は遺跡を分けて活用しているらしいが、アルデイル王国も遺跡を欲した。
ただ、遺跡が欲しくて戦争を仕掛けるのは条約があるのでできない。
そこで食料不足を前面に押し出し、侵略しようとした。
エルが選ばれたのは、ただエルフという理由だけで選ばれたらしい。
エルが戦争でロイライカに勝とうが負けようが、エルフの国との関係が拗れるようにする為だ。
そうなれば、侵略は更に楽だと思ったとの事。
俺がこの話を聞いて思ったのは、俺の拠点の南にエルフの国があったのかって事だな。
だが、去年から食料不足は本当の事らしいので、それは周りの国から輸入する事に決まり、ロイライカ王国には賠償を支払う事となった。
遺跡に関しては、俺の所と取引するように提案すると、女王は喜んでいたがヒゲを生やしたおっさんが、憎しみの籠った目を向けていたのは忘れない。
お前は死ぬ事が決まったるんだよ。
今後、人族至上主義を掲げたままだと、俺と戦争する事になるだろうと言えば女王が。
「先代の王が人族至上主義を掲げていたのですが、私はそれを何とか無くそうとしているのです」
まあ、長年根付いた習慣は中々消えないでしょうね。
それなら、先ずは貴族連中から変えて行かないと難しいだろうとアドバイスをしておいた。
この問題は徐々にやっていかないと無理だろう。
大体の話は終わり、ヒゲのおっさんを連れて誰も居ない場所へ行き。
色々省くがおっさんは、生まれて来た事を後悔しながら死んでいった。
帰ろうかとした頃に女王が言って来た。
「ミクトさんは国を作らないのですか?」と。
そんな面倒くさい事はしないと言って城を出た。
道場都市はゲームだし、道場という感じが強かったからなぁ。
国となると……やっぱ面倒くさい。
そんな考えを頭から放り出し、家路に着いた。
まさか、後に作る事になるとはこの時は想像すらしていなかった。
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カーラン王国にある小さな村。
帝国との国境近くにある小さな村。
この日も平和に人々は過ごしていた。
日が真上に上った頃、突然村に火を放たれる。
逃げ惑う人々。
小さな子供を抱えて逃げる母親を弓で居殺す、馬に乗り鎧を着た者。
帝国の兵士であった。
続々と兵士が村に雪崩れ込み、村人は全員殲滅される。
しかし、依頼で近くまで来ていた冒険者がギルドへ戻り、この事を報告。
すぐさま王都のギルドへ知らせが届き、城へと報告される。
カーラン王国国王、シルド・カーラン・エッツェルマはこの知らせを受け、とうとう帝国が侵略してきたと覚悟を決めた。
王は配下の者に何故帝国が攻めて来たのか調べさせると、一人の貴族が名乗り出た。
リディアス侯爵家当主、レドマン・リディアスである。
会議室で話し合っている中、レドマンは席を立ち王に報告する。
「私の所に、帝国三王の1人、グランシェルト・ガリデールの息子、第二王子がカーラン王国の貴族に殺されたと報告が来ています」
王は頭を殴られたような感覚になり眩暈を起こした。
帝国三王のグランシェルト・ガリデール。
帝国は、3つの国を飲み込み4つの国で帝国となっている。
皇帝の下に3人の王。
それが三王と呼ばれているが、その中でもグランシェルト・ガリデールは、武闘派の王である。
三王の中でも一番非道と呼ばれる王なのだ。
しかも、カーラン王国と面しているのがそのグランシェルト・ガリデールが治めている帝国領の1つ。
今まで、協定があったので何とかなっていたが……。
「その貴族とは誰だ?」
「その……」
「さっさと申せ!!」
「リドマス・コート宰相閣下の娘との報告を、受けています」
「なに!? ワシはそんな事聞いていないぞ!?」
「リドマス、どういう事じゃ?」
「王よ、私の娘がその様な事は決してしません、いや、できません」
「それはどういう意味じゃ、申してみよ」
宰相は少し間を空けて答える。
「ワシの娘はまだ10歳です、そんな子供には無理です」
王はその話を聞き、レドマンに視線を向ける。
レドマンは、慌てて答える。
「あの、宰相閣下の娘となっておりますが、実は……殺したのは護衛に付いていた冒険者との報告を受けております」
「冒険者? ……確かに、護衛をしていた冒険者が殺せば、雇っていたリドマスの娘の責任になるが」
「陛下、娘を呼んで詳しく聞いた方が良いと思うのですが」
リドマスの提案に王は頷いて答える。
「そうじゃな、応接室でお主とワシで話そう」
「はっ!」
リドマスは控えている者に娘を呼びに行かせ、王と2人で応接室へと向かった。
学園で勉強中だったリドマスの娘、リディアがやってくると、何があったのか詳しく聞いた。
その結果。
絡んで来た男を、護衛の冒険者が追い払っただけとの事。
男は大した怪我も無く去って行ったらしい。
しかし、その後に冒険者が殺しているかもしれないと、冒険者を呼び出す事になった。
王家の使者から報告を受けたギルドは、護衛をしていた冒険者を探すが既に王都を出た後だった。
王家はギルドにその冒険者を探し出せと依頼を出し、その冒険者は実質、指名手配されたようになってしまった。
「必ず見つけ出せ! 冒険者アルストを!」
これが、後世に語り継がれる『災厄の魔王復活』の始まりであった。
3章本編はこれで終わりです。明日から続きを投稿します。




