11 訓練?
Side:エル
城で話し合ってから1週間後私は戦地へと来ていた。
そこで軍議をしている天幕へと行き会議に参加している。
「それでそのエルフを連れて来たのか」
そう言ったのは、将軍のグリドールである。
「ええ、彼女は強いですよ」
「お主がそう言うならそうなのだろう」
グリドールと騎士団長が話している後ろで私はエンと念話をしていた。
『まだあの子達見つからないの?』
『王都は広いからな、まだちょっと掛かりそう』
『もう前線に到着したんだけど?』
『いま貴族街で屋敷を虱潰しに探してるから時間稼いでくれ』
『そんなに時間は稼げないわよ、最悪相手の兵士を殺さず無力化するしかないわね』
『それで頼む』
あの子達の事はエンに任せてこっちの事をどうにかしないとね。
「エルさん、そろそろいいですか?」
エンと念話が終わりどうするか考えてると騎士団長が話しかけてきた。
「何が? もう戦闘を始めるの?」
「はい、あと少しすれば戦闘が開始されます、そこで貴女にも出て頂きたい」
もう始まるなら時間稼ぎも無駄ね。
「いいわ、その代わり条件があるの」
「何でしょう?」
「私が1人で出るから他の兵は後ろに下がらせといて」
「1人で!? それは流石に無茶ですよ」
「いいから、それが出来ないなら私は出ない」
騎士団長は少し考えグリドールと何か話してこちらに向き直り口を開いた。
「分かりました、しかし危なくなったら兵を出します」
私は頷いて答える。
「ええ、それでいいわ」
これで少しは時間が稼げるかな。
私は天幕を出ようとした所で騎士団長が話しかけて来た。
「あの、この戦争が終われば結婚を前提に僕とお付き合いして頂けますか?」
それ何のフラグ?
こいつは此処に来るまでにも何かとこういう事を言って来たが全て断ったはずだよね?
人の話を聞かない馬鹿は必要ないんだけど。
騎士団長を睨みつけ答える。
「それは断ったよね? あんたのような奴はお断りよ、って言うかこの国の人間は全てお断り、分かった? 次言えばその首、斬り落とすから」
私がそう言うと後ろで聞いていたグリドールが口を開いた。
「お主この女が好みか? 確かに美麗だがエルフだぞ?」
「僕は種族に拘りはありません、綺麗な女性とお付き合いしたいと思うのは当然の事です」
「しかし見事に振られとるの、お主が振られるのを見るのは初めて見るな」
「必ず振り向かせて見せますよ」
無駄な努力だね。
2人を無視して天幕を出ると前線まで歩いて行く。
あの子達が見つかれば私は此処からおさらばするからね。
どうやらちゃんと伝達されているのか、兵達は後ろに下がってくれている。
1人だけ前へ出て相手の兵士達を見渡した。
結構離れてるんだ。
こうやって見ると壮観ねぇ。
左側を見て右側を見て正面を向けばいつの間にか、少し離れた場所に人と同じサイズの人形のような物が100体程整列していた。
「何あれ?」
ゴーレム?
ゴーレム使いが居るの?
するとその中から1体が前に出て来た。
私は首を傾げた。
何故1体?
まあ、ゴーレム相手なら手加減する必要は無いか。
私はインベントリから黒金の棒を取り出し歩いて行く。
ゴーレムとの距離が10メートル程になった所でゴーレムが地を蹴り突進してきた。
中々早いけど余裕ね。
ゴーレム達は皆素手だ。
目の前まで来たゴーレムが拳を突き出してくるがそれを躱し横を通り抜けると同時に、棒で胴を薙ぐ。
ゴーレムはそれで砕けて上半身と下半身が分かれた。
「脆いね」
すると続けて今度は3体が出て来た。
「……もしかして試されてる?」
まあ時間稼ぎには丁度いいかな。
暫く付き合ってあげよう。
30分後。
3体の次は5体と段々と数が増えて行き、今は30体程と戦っていた。
躱し防ぎゴーレムを砕いて行く。
倒し終わり距離を開ける。
「ふぅ~……これはヤバいなぁ」
数がヤバいのではない。
このゴーレムを操ってる人物がヤバいのだ。
「これって、確実にミクトさんでしょ」
ゴーレムの戦い方を見れば嫌でも分かる。
『エン、まだ見つからないの?』
『居場所は見つけたけど、どうやって連れ出そうか考えてる所だね……どうした? 何かあった?』
『ミクトさんにバレたよ』
『hdそいうgrj!?』
『落ち着きなさい、まだ出てきてないけどミクトさんが操るゴーレムと訓練中だから……あの子達の居場所が分かったなら力尽くで連れ出しなさい、時間が無いわよ』
少し間を空けてエンが答える。
『分かった、もうなりふり構ってられないな』
『そういう事』
さて、私はゴーレム達を倒さないとね。
あぁ、ゴーレムを倒したらラスボスが出て来る気分だぁ。
その後暫く戦ってゴーレムが残り10体程になった頃。
ドゴンッ!! とゴーレム達の後方に何か隕石でも落ちたかのように土煙を上げて何かが落ちて来た。
「うわぁ……」
間違いなくミクトさんだよね。
土煙が晴れて行くとその姿が見えて来た。
口端を上げてニヤッと笑い、赤い目がいつもより赤く見える。
「よう馬鹿弟子、久しぶりだな」
「み、ミクトさん? これには深い訳があるんですよ!」
私は必死に今まであった事を早口で説明する。
此処で分かって貰えないと未来が無い、この国と私達の未来が!




