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吸血鬼がいく。  作者: あれです。
3章 弟子。
85/109

8 エルとエン。

Side:エル



アルストがミクトの元を離れてから8年後。

とある山奥でエルフの姉弟が住んでいた。


「はぁ~……」

「いきなりどうしたんだよ姉ちゃん」

テーブルに肘を着き深いため息を吐く女エルフのエル。

「ん? ……どうしてこんな事になったんだろうって思ってさ」

「この世界の事?」

コクンと頷く。

「それは今考えても分からないだろ? とにかく情報を集めないと」

「ミクトさんや皆は大丈夫かな」

私達がこの世界に来て今日で1月程経つ。


最初はイベントかと思ったけど、どうやらここは現実で元の世界には帰る方法が今は無い。

その為に最初に降り立ったこの山を拠点にして周りを調べている状態なのである。

まあ、私はミクトさんが居るなら何処でもいいんだけど……。


「師匠の心配する必要は無いと思うけど……他の、リミナとサラキはちょっと心配かな、まだ若いしね」

確かにミクトさんの心配するだけ無駄かもしれないけど、こんな世界に来てんだし何があるか分からないんだよ?

そう言えば若い子達も来てるのかな。

早めに街を探して情報を集めた方がいいか。



エンと私はこの世界に来た時は同じ場所に居た。

おそらく道場で一緒に鍛錬をしていたからだと思う。

他の師範代や門下生は、離れた場所に居たから違う場所に転移したんだろうね……たぶん。





「荷物は全部収納した?」

「ああ、大丈夫」

私達は数日後、この拠点を離れて街を探す事にした。

ここに来て1月、周りを調べたけど人の影すら見つけてない。

太陽の位置からしてたぶん西の方へ進んでると思うけどこの世界では合ってるのか分からない、とりあえず人を見つけないと話にならないよね。


1週間程山の中を進み下山した後、森の中を進んでいると微かに人のような声が聞こえた。

エンに視線を向けるとエンも聞こえたようだ。

声をした方へ歩を進めると木々の隙間から人間が数人見えた。


「あれは……盗賊かな?」

「……いや、たぶん奴隷狩りだ」

エンが真剣な表情で言う。

「って事はあの小さい子供? を攫いに来たクズ共って事でいいよね?」

「あ、ああ……いいと思うよ」

おっといけない、つい殺気を出してしまった。

エンが引いちゃったよ。

「行くよ」

「後方2やるから、前3任せる」

とエンが短いやり取りでターゲットを決めると、私達は森の中を駆けだした。


走りながらインベントリから投げナイフと黒金の棒を取り出し、子供に手を伸ばしている男にナイフを投げる。

ナイフは木々の隙間を飛んで行き男の側頭部に突き刺さった。

「なんだ!?」

「敵襲だ! 警戒しろ!」

男達は騒ぎ出し周りを警戒する。

私とエンは地面を蹴り木の枝へ乗ると、木々を渡りながら男達に近付いて行く。

慣れてないと上への警戒は薄れるんだよね。


男達の頭上へと到着しすぐさま飛び降り男達の真ん中に着地する。

「何だこいつ!?」

「え、エルフ!?」

私は黒金の棒に魔力を流し鉄よりも固くした棒を持って、その場で一回転する。

棒は男達の頭を的確に捕らえ、頭蓋骨を粉砕した。

後方の2人もエンが短剣で首を狩っ切って終了。



木を背に抱き合って怯えている2人の子供を見ると、頭にケモ耳がある!

「……かわいい~」

「姉ちゃん……」

こほんっ……だって可愛いんだもん!

エンが男達を処理してる間に子供達を観察する。


怯えている2人はどうやら熊の獣人と狐の獣人の子供みたい。

熊が男の子で狐が女の子。

どちらも本当に小さい、幼児かな。

簡素な服を着ている。


子供から少し離れた場所で地面に片膝を突いて語り掛ける。

「大丈夫? 私達は人里を探して旅をしてる……エルフの姉弟だよ、貴方達は何処の子? 帰る場所は分かるかな?」

すると目から涙が溢れ出しガチ泣きし始めた。


私は子供を宥め頭をよしよし撫でながら耳を堪能する。

「大丈夫、私達が家族の元に送ってあげるからね」

気持ち良い~。

2人は汚れていたので生活魔法で綺麗にしましたよ。


暫く頭を撫でていると落ち着いたのか、拙い言葉で喋り出した。

「わたちたちのお家、もうないの」

「ひでもえてた……かえりかたもしらない」

「そうかそうかぁ……怖かったね」

そう言って頭を撫でると2人は私にギュッとしがみ付いて来た。

やっぱりこの世界にもクズは居るんだ。

見つけ次第問答無用で頭を潰してやる!



その日は近くで野営し、翌日からまた進み始めた。

野営の時に名前を聞いたら熊君がリグ、狐ちゃんがケリン

旅の間はエンがリグ君を背負い、ケリンちゃんを私が背負い森を進む。

それから2日後、幾つか山を越えた先で森の切れ目の先に草原と大きな街を発見。


この2日で2人とはエンも私も仲良くなった。

街まで一気に走って行き門へとたどり着いたのが昼頃、並んでいる人は少なく直ぐに私達の番になったけど、兵がいちゃもんを付けて来た。


「いらっしゃい、身分証を……その『2匹』は街には入れないぞ」

「あぁん!? お前今なんつった?」

「はっ? だからその2匹は入れないって言ったんだ、何だ? 何か文句でもあるのか?」

門番はニヤッと笑い聞いて来る。

「なるほど、この街はクズしか入れないって事ね、むしろクズしか居ない街なのね」

「姉ちゃん……」

「おい嬢ちゃん、牢に入りたいのか?」

そう言って私の肩を掴もうとしたので腕を折る。


「ぐあっ!!」

「おいどうした!」

「……賊だ! 捕らえろ!」

すると詰所から数人の兵士が出て来て私達を囲む。

「大人しく捕まれば痛い思いはせずに済むぞ」

1人の兵士がそう言うが捕まる気も無い。


「そこのおっさんが私にいやらしく触れようとしたから折っただけ……それにしても」

そこまで言うと子供の悲鳴と兵士が声を上げる。

「きゃあっ!!」

「はなせ!!」

「大人しくしろ!! 子供がどうな……」

兵士は最後まで言えずにエンによって首を斬り落とされた。


「人質を取るような真似をするからだ」

そうだ、私達はミクトさんに教えられている。

人質を取る奴に慈悲は要らないと。


「うわっ!!」

「キャァアア!!!」

「人殺しだぁ!!!」

周りに居た人達が騒ぎ始めた。

折角見つけた街だけど、クズが門番してる街に用は無いね。



槍を向けている兵達に語り掛ける。

「それ以上1歩でも近づけば殺す、獣人を人として扱わない街はゴミ溜めね、臭すぎて入る気も起きないわ」

「そうだな、さっさと他の街に行こうか」

エンはそう言って2人を抱える。

その場を去ろうとした時、街の中から声を掛けられた。


「お前達全員その場から動くなぁ!!」


声の方へ視線を向けると、馬に跨ったいかにも性格の悪そうな顔をした奴がやって来た。

ゾロゾロと馬に乗った兵士と歩いて来る兵士達。

相手の出方次第では全員無力化しないとね。

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