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吸血鬼がいく。  作者: あれです。
3章 弟子。
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5 あっという間の10年。

サイファスとの再戦が終わり親子の所へ行くと……。


「戦い方をおしえて下さい! おねがいします!」

子供が勢いよくそう言って頭を下げた。


母親に視線を送ると優しく笑い頭を下げた。

「どうか、アルの願いを聞いて頂けないでしょうか? お願いします」

どうして俺に教えて貰いたいのか聞くと。

母親を守れるようになりたいと真っ直ぐな目で俺に言った。


「シェリアさん、あんたはどうする?」

そう聞くと表情を緩め口を開いた。

「私は街で何か仕事を探して、住める場所を探そうと思ってます」

息子を此処に預けて自分は外へか……。

少し考えてから俺は2人に返事をする。


「アルストは今5歳だっけ?」

「はい!」

「じゃあ、10歳になるまでは体力作りと身体を作る為の鍛錬をしろ、本格的に指導するのは10歳からだ……で、シェリアさんにも此処でアルストと一緒に少し訓練をしてもらう」

「えっ!? あ、あの、私は魔物と戦った事も無いのですが?」

「だから少しは戦えるようにする、そうすればまた盗賊や魔物と会っても生き残れるだろ?」

「私に戦えるのでしょうか?」

「技術は教えるが、それはあなた次第だな……またアルストを守る日が来るかもしれんだろ?」

シェリアはアルストを少し見て視線を俺に戻し答えた。

「分かりました、よろしくお願いします」

「お願いします!」

そう言って親子で頭を下げた。





訓練は早速始めた。

アルストには周りの壁沿いをとにかく走らせ体力を付けさせる。

んで、ついでにアルストとシェリアには魔力制御を覚えて貰う。


女であるシェリアが魔物や盗賊と戦う為には魔力制御は必須だ。

魔力で強化すれば女でも、魔物や男を相手にしても勝てる。

実は遺跡を調べていて分かった事がある。

それは男より女の方が魔力制御が比較的優れていると言う事。

昔の研究ではそう結果が出ていたらしい。


繊細な魔力制御は大雑把な男より女の方が得意なのは何となく分かるが、女でも大雑把な者は居るはず、そういう女でも一緒なのかは謎である。


俺が2人の身体に魔力を流し魔力を感知する所から始まり、自分の魔力を動かし制御する訓練をしてもらう。

魔力による身体強化ができるようになれば、今後の訓練が更に捗る。

アルストには木剣で素振りをさせ、シェリアは短剣が良いと言うので基本的な動きを教える。

2人には武器の持ち方から、振り方まで細かく教え素振りをさせる。

それを毎日やらせ、偶にシェリアと摸擬戦をする。



そんな日々が続きアルストが10歳になると、2人には本格的に指導を始める。

遺跡で見つけた昔の訓練用道具を弄り、現実でアバターを使い訓練出来る魔道具を作ったのだ。

これは俺がゲームでやってたように、死の恐怖を味わい心を鍛える為に作った。

最初の頃は2人は訓練後は死んだような目をしてたのは面白かったな。






2人が弟子になり始めて10年後。


晩飯を食っていると幼さが残る少年になったアルが真剣な顔をして口を開いた。

「師匠!」

「どうした?」

「僕も15歳で成人しました、なのでこの機会に外へ出てみようかと思っているのですが良いでしょうか?」

少し不安な表情をしている。

「良いんじゃないか? 成人なら自分の人生は自分で決められる、お前が外へ行きたいと言うなら俺は何も言わんぞ」

俺がそう言うとアルは表情を明るくし頭を下げる。

「ありがとうございます! 母さんと一緒に住んでいた村へ一度見に行こうと思っています」

「ん? 何も残って無いんじゃないか?」

するとシェリアが横から会話に入って来た。


「村には夫の墓があるので、その様子を見に行くのが1番の理由ですね」

なるほど、アルの父ちゃんの墓か。

「そう言う事なら、全然良いと思うけど?」

するとアルは少し困った顔をしながら答える。

「……そのまま街へ行って暮そうかと思いまして、ここまで育てて下さいました師匠には、恩と感謝しかありません、なのに何も恩返しができないのが……」

そういう事か。

「それは気にするな、恩返しがしたいなら何処へ行っても鍛錬は続けろ……今後お前達が何処かで死ぬ事もあるかもしれないが、それはお前達次第だ」

2人は黙って聞いている。


「お前達が死ぬかもしれないと過保護になってもお前達の為にもならない、お前達の人生だ、生きようが死のうが旅をしようが、お前達の自由だ……まあ、簡単に死ぬように教えた訳じゃないがな」

2人は目線を会わせ少し笑う。

「流石師匠ですね……この御恩は一生忘れません!」

そう言って頭を下げながら涙を落としたアル。

シェリアも同じだ。

「お前ら……永遠の別れじゃないんだから」

熱くなり過ぎだろ。




翌日の朝、日が昇る少し前。

アルが大きな門を開けてシェリアと2人で外に出る。

2人供外套を纏い、旅人風な格好をしている。

「アル」

「はい、っと……これは?」

振り返ったアルにインベントリから出した剣を一振り投げ渡した。

「これはシェリアに」

「えっ、っと……これは業物ですね」

「そんな街で買った数打ちの武器じゃなく、お前達専用の武器だ……俺が作った物だ、大事に使えよ」

「師匠が!? ……ありがとうございます!!」

「ミクトさん、ありがとうございました」

遺跡で見つけた鉱石を使って作った武器だ。


「お前達はまだまだだからな、それを忘れるな」

「「はい!!」」

「まあ、いつでも帰って来ていいからな」

2人は涙を流しお礼を言い、森の中へと歩いて行く。



すぐ熱くなるな、あの2人。

「……大丈夫か?」

俺は門を閉め、朝の鍛錬を始めるのだった。

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