表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血鬼がいく。  作者: あれです。
2章 異世界。
73/109

18 剣聖サイファス。

Side:コーマック公爵



リディクアの領主屋敷の広い一室で、領主であるコリアス伯爵と帝都から皇帝の代役で来ているコーマック公爵他数名の貴族が話し合っていた。


「コリアス、手配は済んでいるのか?」

「はい、もちろんでございます」

「あのカーラン王国が推薦した者……確かミクトとか言ったか?」

「はいそうです」

「報告では1人で1000人相手に勝ったらしいが……どうだ?」

「どうとは?」

公爵はその言葉に不機嫌な表情になる。


「その者を我が国が出遅れ推薦できずに、カーランの奴らに取られたのだ! ちゃんと始末できるであろうな?」

「それはもちろんです! あの『赤の羊飼い』に依頼を出しました」

「ほう、そんな伝手がお主にあったのか」

「先代の御かげです」

その事を聞き上機嫌になる公爵。



すると部屋に1人の兵士が入って来る。

「失礼します!」

「なんだ?」

「はっ! 大会が終了しました」

そこで優勝者がミクトであると聞き、公爵はコリアスに視線を送る。


その報告に焦るコリアス。

「そ、そんな馬鹿な!? 『赤の羊飼い』の『死神』が出てるはずだ! あの怪物に勝ったって言うのか!?」

「はい! 途中までは押していましたが、いきなり首を落とされ……」

「大金を払ったのに……クソッ!!」

そう言って拳をテーブルに叩きつける。



報告を聞いてから一言も発さなかった公爵が静かに口を開いた。

「コリアス伯爵、ファリク子爵よ……兵を集め遺跡に向かわせろ」

2人はキョトンとする。

「ど、どうするおつもりで?」

「条約は……」

「今回私は皇帝から、この件に関して全て任されている……兵を遺跡へ派兵し実効支配しろ」

その言葉に殆どの貴族が驚いている。

公爵は後ろに控えている男に声を掛けた。



「その兵を任せる……サイファス、追加の兵を送るまで持ちこたえられるか?」

後ろに控えていた男が一歩前へ出る。

白髪に近い長い金髪を後ろで縛り切れ長の目をし、顔の右こめかみ辺りから左頬の下まで大きな傷が付いている歴戦の風格がある者。

この男こそ、帝国最強の剣聖サイファスである。


サイファスが静かに答える。

「お任せを」

すると他の貴族達は歓喜を上げる。


「剣聖殿が出るなら間違いない!」

「我らも兵を送りましょうぞ!」

「そうだ、帝国には剣聖殿が居るのだ」

そんな騒ぎの中、サイファスは静かに部屋を出た。



「皆の者、静まれ! …………派兵はコリアスに任せる、とりあえず受賞式を始めるぞ、優勝者が出て来るとは思えないが」

皆期待に満ちた顔をしながら動き出す。





準備が整い、闘技場で受賞式が始まると、呼ばれたミクトは控室からステージに出た。

「はっ? ……おい、どうなっておる? ちゃんと殺し屋に依頼を出しておるのか?」

公爵は受賞式の高台で後ろに控えていた貴族にこっそり聞く。

どうして優勝者が出て来るのか、出てこれるのか。

ちゃんと殺し屋を差し向けたのかと……。

「はい、勿論です」

「では何故あ奴がここに出てきておる?」

貴族は言いにくそうな顔をして答える。

「……し、失敗した……と、思います」

その答えに顔を赤くし怒りが沸いて来るが、既に兵は送ってあると自分を落ち着かせる。



「では、これより受賞式を始める! ……優勝者ミクト、前へ!」

生き残っている選手の中からミクトが階段の前まで出て来ると公爵は言葉を続けた。

「お主に優勝賞金1000万Gと褒美を授ける……何を望む? 爵位か士官か……」

「俺の望む物は南、じゃないか……此処からだと南東にある土地を俺の物にする事を、認めて貰う」

……この男は何を言っておるのだ?

「お主は何を言っておるのだ? あの土地を自分の物だと帝国に認めろと言うのか?」

「そうだ、既にカーラン王国には認めて貰っている、帝国はどうする?」

このアホは自分が何を言ってるのか分かっておるのか?

しかもカーラン王国が認めただと!? そんな馬鹿な事があるか!?

そんな思いが巡り貴賓席に居るケリス公爵を見ると笑顔で頷いた事で沸々と怒りが沸いて来る。


「あの土地を貴様の物に出来る訳が無かろう、下らん事を言っておらずさっさと要望を言え!」

「だから言ってるだろ、あの土地を俺の物だと認めろと……まあ、認めないならそれはそれで良いが」

何を考えておるのだこやつは……。

たった1人、個人で帝国と戦争でもしようと思っておるのか?

だとしたら勘違いをした、ただの馬鹿だな。

「それ以外の要望が無いならこれにて受賞式は終わる!」

こんなアホと喋ってられんわ!


高台を降りようと振り向き歩き出した所で大きな声が闘技場に響いた。



「ではこれより!! 神滅流師範ミクトと、帝国の戦争を始める!!」

声の方を見ると、ミクトとやらが闘技場に居る全員に向かって宣言をしていた。

「……へ、兵よ! この者を捕らえいや始末せよ!! こやつは優勝者等ではない! ただの犯罪者だ!!!」

ゾロゾロと兵がステージを囲むとじわりじわりとミクトへと距離を詰めていく。



「おい、あの者を必ず殺せ……その間に遺跡は我が帝国の物となる」

そう言って高台を降り闘技場を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ