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吸血鬼がいく。  作者: あれです。
2章 異世界。
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15 暗黙のルール。

大会当日、公爵と一緒に闘技場へと向かった。

石造りのコロッセオに似ている。

奴隷時代の名残か、選手が出る出入り口は上に開く鉄柵だ。


「私は貴賓席で見させてもらうよ」

「大会を楽しんでくれ」

そう言って別れ、俺は出場者用の部屋へと向かう。


大きな扉の前に筋骨隆々の男が2人立っていた。

こんな警備が必要なのか?

受付で名前を記入し部屋に入ると数十人の出場者がすでに待っていた。



顔に大きな傷がある男や、変なマスクを着けた者。

女も居るのか。

個性が強い奴が多いな。

どんな戦いをするのか楽しみだ。


待っている間部屋の中を見回したが、弟子達は居ないようだ。

俺がこの世界に来てるなら、あいつらも来てるはずなんだが、何処にいるんだか。


部屋の隅で待っているとアナウンスが流れる。

『名前を呼ばれた者はステージに上がって下さい、ではAブロックから……』

今日は予選でA、B、C、Dのブロックに分かれて勝ち抜きをするようだ。

さっそく名前を呼ばれた者達の試合が始まる。




「おいおい、相手を殺しても良いのか?」

Aブロックの試合でフードを被った男が相手を殺していた。

高い場所で見ている審判も、止めず見ているだけだ。

この闘技場に場外は無い。

中に入れば全てがステージになっている。


すると横で見ていた男が声を掛けて来た。

髭モジャの筋骨隆々な男。

髭を生やすのが流行ってるのか?

「お前、ここは初めてか?」

「ああ、今回初めてだな」

「はっ、戦いで生き残るのも実力の内って事だ」

「つまり死んだら自分が弱いせいって事か」

「そうだ、この大会で生き残ればその実力がある、死ねばそれまでの奴って事だ」

「なるほど……いいね」

ゲーム時代の大会と違って本物の戦い、本物の覚悟を持った者達の集まりって事か。

この世界だからこそだな。



「俺も本気でやってみるか……」

俺の呟きを聞いていた横の男が何を言ってるって顔をする。

「この大会に出る奴はみんな本気だ、遊びで出るつもりなら止めとけ、怪我じゃすまんぞ」

「忠告ありがとう、だが大丈夫だ」

「ほれ、見てみろ」

そう言って顎でクイっとする方を見ると、Cブロックで戦っていた者が相手を殺して勝ったが左腕を失っていた。

「勝ってもああなったらもう奴隷落ちだな」

「片腕無くしたら奴隷落ちするのか?」

「違う、片腕無くしたらまともに戦えない、そうなりゃ稼ぐ事もできねぇから借金が増える一方だ、で奴隷に直行ってこった」

「片腕なくしたくらいで戦えないのかよ」

俺がそう言うと男は目を見開き驚いている。


「お前は腕を無くしても戦えると言うのか?」

「当然だ……腕一本あれば十分戦える、腕が無くなれば足で戦え、足も無くなれば噛みついてでも勝て……ってのは俺が学んだ事だ」

「お前に戦いを教えた者はイカれてるが正しい」

「俺は誰にも教わって無いぞ? 自分で戦い続け戦いの中で見つけた教えだ」

海の魔物はデカいのが多かったからなぁ。

よく身体のあっちこっち食われたよ。



「お前はいったい何と戦って来たんだ?」

「ん~……いろいろ」

戦いを見ながら話しているとその男も名前を呼ばれステージに上がって行った。


スゲー世界……いや違う、これは時代だな。

数百年経てばこの大会も歴史で学び、こんな事が行われていたとその時代の人達はどう思うだろうか。

そんな事を考えていると、先ほどの男は片足を切断されていたが何とか勝ったようだ。

良い戦いっぷりだ。

あの何が何でも勝つという執念がこっちにも伝わって熱くさせる。

「後で治してやるか」

一応回復魔法を使える者が待機してるが止血だけだ。



その後、暫く試合を見ていると俺の名前が呼ばれた。

Bブロックのステージに上がる。

相手は忍びのような額当てを着けた男だ。

斥候かな?

ステージの真ん中で対峙するとステージの外に立っている審判が開始の合図を出す。

「始め!」

合図と共に男が短剣を両手に構え突っ込んで来た。


左右の短剣を次々繰り出し攻撃してくるがその場で身体を少し動かし躱す。

避けながら見ていると短剣に何か塗られている。

「毒か」

「っ!? ……よく分かったな」

「目がいいもんで」

すると相手が一旦動きを止めタイミングをずらし、両腕の短剣を振り下ろして来た。


「なっ!?」

短剣を指でつまみ動きを止める。

「確実に俺を殺しに来てるのか、なら……」

そのまま腹を蹴り上げる。

「グフッ!」

その瞬間男の力が抜けたのを感じ、短剣を離し心臓に浸透勁を打ち込むとスタージの端まで吹っ飛んで行き動きを止める。

男はピクリとも動かない。

既に死んでいるのだ。

「勝者ミクト!」

審判の声を聞きステージを下りながらクリーンの魔法で指に付いた毒を取る。

触れただけなら何ともない毒だった。

まあ、毒耐性はあるから喰らっても大丈夫だが。



控室に戻り他の試合を見ながら思う。

つまらん試合だったなぁと。

戦闘技術は普通で、毒に頼っていたので動きが単調だった。

暗殺者かな。

技術がもっと高い者がいれば楽しめるんだが。

……今の所居なさそうだ。



その後、予選は進み日が落ちる前には全ての予選が終了した。

本戦に出るのは9名。

どうやら本戦には、剣聖が出ると噂されているので物凄く楽しみだ。


早く明日になれ!

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