12 神話級職業。
死神と殺し屋ギルド達の戦いを見ていた者達が居る。
それは、各国の諜報員。
殺し屋を監視していた各国の諜報員が戦いの状況を上に報告する。
その内容はとても信じられない内容である。
だが影の者達は言う。
「これは真実、1人の人間が1000人を相手取り勝利する」
これは誰が聞いてもあり得ない話と思える。
しかし、最も信頼する影からの報告を聞いて各国は決定する。
『その者を我が国へ』
殺し屋と死神の戦いから1週間後。
死神の存在を知って世界は動き出した。
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殺し屋との戦闘が終わり宿屋へと戻った俺達は、ダグの腕の治療をしていた。
「ほら、ここで腕を持ってろ」
そう言ってダグに自分の腕を持たせ回復魔法を掛ける。
神経も血管も繋がるイメージ。
するとダグの腕は元に戻った。
「どうだ? 違和感はないか?」
少し腕を動かし確認すると。
「大丈夫だありがとう……ミクトは凄いな」
「こんな魔法は初めて見た……流石伝説級だ」
「それは違うぞ……ほら」
俺はギルドカードを出して見せる。
2人は目を見開き口を開けて固まった。
そうだ、俺の職業は神話級になっているのだ。
以前冒険者ギルドのギルドマスターに聞いた事がある。
「現在神話級は居るのか?」
「いや、現在には存在しないし過去にも1人だけ居た事は確認されている」
どうやら遺跡から発見されたカードの中に、1枚だけ神話級職業の者が居たと言う。
俺はそれを聞いて、時代背景があるんだろうなと思った。
魔道具を弄った時に神話級になる条件も把握してある。
そもそも伝説級までは、職業の知識と熟練度があれば誰でもなれる物だ。
おそらく大昔には伝説級は大勢いたと思う。
学校があれば伝説級はすぐ成れると思えるからな。
そして、神話級に至る条件は伝説級までと同じ知識と熟練度、それと後1つ……『1000以上の生物を殺す』と言う物だった。
過去に1人だけ神話級に成った者はおそらく、国では英雄と呼ばれた者だろう。
戦争で敵兵を殺しまくった結果神話級になったと言う事だ。
昔は今より戦争が多かったのかもな。
「神話……級……」
「ミ、ミクトは神様か?」
「ブフッ!」
アゼの言葉に吹いてしまったわ。
俺は2人に職業の仕組みを説明した。
「なるほど……知識か」
「それは納得だな、知識と熟練度があれば強くなれるのは当然」
「違う、強くなるには知識と鍛錬と経験だ」
「経験……」
「そうか、ミクトに訓練をして貰ってる時のアドバイスはどれも実戦を想定してる、その為には実戦経験は必要不可欠だな」
そう言ってアゼは何度も頷く。
「いいか? カードの職業ランクで強さを測るなよ」
2人は素直に頷く。
この職業ランクは昔の人間が作った物だ。
これに囚われて相手の強さを見誤ると死ぬ事になる。
「さて、明日から国境付近に行こうと思ってたけど、殺し屋集団の方から来てくれたから、もう行く必要は無くなった」
「なら俺は1度国に帰る事にする」
「私も国に帰って確かめたい事がある」
俺は頷き答えた。
「そうか……なら今日でお別れだな」
「またいづれ、訓練をして貰いたい」
「私もだ……ミクトは今後どうする?」
「オレ? 俺は南の遺跡に行って見ようかなと思ってる」
「あぁ、色んな国が狙ってるって所か」
「入れるのか?」
「なんなら俺の土地にしても良いくらいだ」
俺の言葉に2人は固まる。
「色んな国が土地を巡って長年争ってるなら、俺の土地にして誰も入れないようにしてやるのも面白そうだ」
「やはり伝説級いや、神話級は言う事がぶっ飛んでるな」
アゼが呆れたように言った。
それで争いが治まれば国民は安心するだろ。
「ダグの国って何処だ?」
「このカーラン王国の北東にあるアレンタイト連合国だ」
「連合国って事は?」
「あぁ、いろんな種族の国が集まって出来た国だ」
なるほどねぇ。
「いつか行って見たいな」
「いつでも来てくれ、歓迎するぞ」
次にアゼへと視線を向けると口を開いた。
「私の国はカーラン王国の西にあるケルミナ帝国の更に西にある、ヒガ大国だ」
「やはり西方の出か」
「西方の出?」
「黒髪の者が多いと聞く」
なるほど、地球では東方だがこの世界のアジア系は西方に居るのか。
そんな雑談をしてその日は終わり、翌日の朝に2人はそれぞれの国へと帰って行った。
俺は南の土地を見に行こうと朝の内に街を出て暫く歩いていると、王都方面から馬車が走って来て俺の横で止まると、綺麗な服を着た中年の男が出て来た。
「すまない、君は冒険者のミクト君かな?」
「ああ、そうだがあんたは?」
「これは失礼、私はカーラン王国ケリス・ラーバント公爵だ」
「ほう、公爵が何か?」
「実は君にお願いがあってな、後を追って来たのだが、話を聞いてくれるか?」
「まあ、話くらいなら……」
そんな話をしていると馬が走って来た。
「ケリス様! このような事は我々にお任せ下されば……」
騎士のようだな。
「これは大事な話だからな、自分で来るのが1番確実だ」
「せめて護衛を連れて下さい!」
「はは、急いでたのでな」
「で? 話ってのは?」
すると騎士が剣に手を掛け怒鳴る。
「貴様! 公爵であるケリス様に何て口の利き方だ!」
ふむ、ちゃんとした騎士だな。
「よい、こちらが話を聞いて貰うのだ、口の利き方等どうでもいい」
「しかし!」
「よい! ミクト殿済まない、馬車の中で話そうか」
そう言って馬車の中へと案内された。
ケリスと俺だけだ。
「先ほどはうちの者が済まなかった」
「そんな事はどうでもいい、話をしてくれ」
「そうか? では……カーラン王国王家の依頼で武闘大会に出て貰えないか?」
「武闘大会?」
なんとも不思議な、物凄く興味をそそられる言葉だ。
俺は口角を上げニヤっと笑と公爵は若干引いていた。




