9 タケルとレイラ。
Side:タケル
時間は少し遡る。
「死神がバトルアックス持ってるの初めてみたかも」
「普段使わない武器でどするんだろね」
普段使わない……それは違う。
PK仲間に聞いた事がある。
死神は色んな武器を使えるらしい。
それこそネオワールドに存在する武器種を全て使って戦えるのだ。
そんな事をするイカれた奴は他に居ないだろ。
話しているといつの間にか事態は動いていた。
死神が斧を地面に付けると魔力のドームが広がって行く。
「ギリギリ此処までは来てないけど……この魔力のドームはもの凄く嫌な予感がする」
レイラも汗を垂らしながら頷く。
皆の方へ視線を向けジッと見ていると死神が斧を1回振り回したのが見えた。
「素振り?」
「あんな所でま……!?」
目の前で起こっている事を見ていても信じられなかった。
次々と人が細切れにされて死んでいく。
元仲間だった奴も……。
「あ、あれ何? 何が起こってるの?」
「分からない、けど……死神に挑んだのは間違いだってのは分かる」
数十秒程続くと止まり無数の死体が姿を現す。
化け物じゃん。
……レイラはもう青白い顔をして身体が震えている。
「大丈夫か?」
「う、うん……凄いね」
「ああ……闘技場の動画でも似たような事してたよ」
「私達も鍛えればあんな凄い事できるかな?」
どんな訓練をしなけりゃいけないのか想像すらできないよ。
俺は苦笑いを浮かべながら答える。
「訓練して見る? どんな訓練をすればいいのか分からないけどね」
「フフ、確かに……」
あっ、マスターが生き残ってる。
どうやら死神はマスターを殺さず生かしたようだ。
「厳しいな」
「何が?」
「死神が……俺ならあそこで殺されてる方が良い、皆死んで自分だけ生き残ってもな」
「あぁ……それが死神が与えた罰かもね」
恐ろしい……あの時の男がこんな化け物になるなんてな。
「死神はどうやら帰るみたいだ……俺達もこの国を出よう」
「そうだね……って、なんで一緒に行く事になってんの?」
「いいだろ? ちゃんと守るからさ」
「守って貰わなくても自分で戦えますー」
「……一緒に元の世界に帰る方法を探そうか」
「んー……私は別に戻らなくても良いかな、クソみたいな会社に行かなくても済むし」
「社会人かよ!?」
「そうだけど?」
「ずっと学生と思ってた……実は俺より年……すみません」
直ぐに謝った。
殺気が凄いから。
怖いから!
「私は色々見てみたいから旅をする」
「俺もやりたい事無かったから、旅でもするかな」
レイラがジト目を向けて来る。
「良いじゃん、一緒に行こうよ」
「私の言う事を聞くなら連れて行ってあげるわよ」
「足を舐めろとかなら全然オッケーです!」
ニコっと笑いサムズアップ。
「なんでやねん! この変態!!」
「ぐほっ」
思いっきり腹を殴られた。
本当に俺より強いのかも……。
惚れた女をこの殺伐とした世界で、守りながら生きて行くのも悪く無いよな。




