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吸血鬼がいく。  作者: あれです。
1章 VRMMO
6/109

6 取引。

森を抜け草原と木々がちらほらある場所に出た時は2時頃だった。

メニューからゲーム内と現実時間を見る事はできる。

道中お互いに改めて自己紹介した。

父親がタリム、母親がネルミ、娘がネム。



馬車の中では親子が楽しく話しているとタリムが話しかけて来た。

「中立都市国家にはそれぞれ特色があるのをご存じですか?」

「いえ知らないですね、エルは知ってるか?」

「いえ、それは聞いた事無いですね」

するとタリムが説明していく。



「ファースは職人が多い職人都市と言われています。セカドは北の帝国と東の王国との交易もあり人も物も集まる交易都市と呼ばれていますね、サキドは闘技場がありまして、世界中から強者が集まる武闘都市と呼ばれています」

へ~、始まりの街は職人が多いのか、金が出来たらまた行って見よう。



それより……。

「闘技場があるって事は大会とかやってるんですか?」

「それはもう毎日誰かが戦ってますよ」

そう言って笑った。

ほう、それは楽しみだな。



街の事を色々聞きながら進んで丘を越えると高い壁に囲まれた街が見えた。

「あれがサキドです」

タリムが後ろから覗いて言う。

「でかいな」

「ですね」

全長何キロあるんだ? するとタリムがタイミング良く教えてくれた。

「全長20キロの円形になってますよ」

「でか……全部見て回るのも時間掛かるな」

「この街の住人ですら行った事が無い所もありますからね」

それから1時間程でようやく門へ到着した。



門にはそんなに人が並んでいなかった。

「南門を使う人はあまりいません、東門が一番人通りが多いですね」

なるほど、南は林と森があるからあまり人は利用しないのか?


直ぐに俺達の番になり門兵が近づいて来たので説明する。

「どうも、異界者のミクトです。森の中で野盗に襲われたので撃退し、アジトに残った残党を始末、捕まっていた家族を救助し、野盗の頭目と下っ端の2人を連れて来ました」

そう言って後ろを指した。

「おっ異界者の方か、ちょっと待っていてくれるか」

そう言って門の横にある詰所へ入って行く。



少ししてから兵がもう一人、いい鎧を着た男を連れて来た。

その男が後ろへ周り野盗を見ると叫ぶ。

「お前は斬馬のファライト! おい! こいつらを連れていけ! 牢屋にぶち込め!」

賞金首か?

叫んだ兵がこちらに来て頭を下げ口を開いた。

「ありがとう、あいつに賞金がかかっているので後ほど詰所に来て貰えないだろうか? 失礼、私は隊長のシュラウンと申します」

「ご丁寧に、私は異界者のミクトです、こちらはエル」

エルもペコっと頭を下げた。



「ミクト殿、後日賞金を渡すので詰所まで来て頂きたい」

「分かりました、略奪品等も持って来ましたが、どうすれば?」

「盗賊等を討伐し得た物はその人の物になりますが、商業ギルドに言えば元の持ち主に買い取りと言う形で戻す事もできます、どうしますか?」

それはいろいろ時間が掛かりすぎて動けなくなりそうだな。

「商業ギルドに買い取って貰う事はできますか?」

「あぁ……それはギルドで直接聞いて貰わないと分かりませんが、おそらく大丈夫だと思います」

「ではギルドに行って聞いてみます」

「あっ、役所で身分証を発行してもらうと良いですよ、今後他の街に入る時スムーズに入れますから」

「分かりました」

役所と商業ギルドの場所を聞いて、馬車を走らせる。




商業ギルドの前に到着するとエルと俺は御者台から降りて、タリムが御者台に座る。

「じゃあここで」

俺がそう言うとタリムは申し訳なさそうな顔で言う。

「あの、本当に良いんでしょうか?」

「ええ問題無いですよ、まだお金もあるので」

俺は馬車と食材等、タリムがファースから積んで来ていた物とお金を譲った。

「何かあればいつでも言って下さい、店にも来て頂ければサービスしますので」

そう言ってタリム達は街の中へ消えて行った。

最初は拒んでいたが、家族が居るのに何を遠慮してるんだと言って受け取らせた。




大きな建物だなと思いながら商業ギルドへ入ると、綺麗な内装で受付が5つ程並んでいる所へ行き空いていた受付に声を掛ける。

青い髪に後ろで縛ってポニーテールにしている眼鏡を掛けた可愛い子だ。

「すみません、野盗の略奪品の買い取りってできますか?」

「いらっしゃいませ、略奪品と言う事は元の持ち主への返却ですか?」

「まあそうなんだが、そうすると時間がかかるでしょ? ギルドで買い取って貰ってから、持ち主に売るなり返却するなりできるかな?」

「ああなるほど、確かに拘束時間が長くなりますね、それで買い取って欲しいと」

「はい、いけますか? 無理なら全部貰っとこうと思ってますが」

「えっ、それはまあ討伐した方の自由ですので……そうですね、品物を見せて頂いてもよろしいですか?」

「はい大丈夫ですよ」

すると受付嬢に別室へ案内され、テーブルの上に品物を出して欲しいと言われたので全部出す。



暫く鑑定していた受付嬢が声を掛けて来た。

「これなら大丈夫ですね、全て買い取り致します」

「良かった……」

俺がそう呟くと受付嬢はフフっと笑って答えた。

「どれも本人確認が出来る物が無いので、おそらく元の持ち主には返却されませんよ」

「えっ? その剣とかは?」

「これは新品ですのでおそらく商人を襲って略奪した物だと思います、その場合商人は既に……」

「なるほど、分かりました、全て買い取りでお願いします……それと何処か良い宿を教えて貰えますか?」

「畏まりました。 遅くなって申し訳ありません、私商業ギルドサキド支部で買い取り担当をしておりますリフィナと申します。 今後も何かあればよろしくお願いします」

「丁寧にありがとうございます、異界者のミクトです。 何かあればよろしくお願いします」

「では少しお待ち下さい、お金と地図を持ってまいります」

そう言って部屋を出て行った。



「此処を出たらとりあえず服を買いに行こうか、武具はまた明日で」

「そうですね、この街で初期装備は目立ちます」

「明日は武器と防具を買ってから狩りだな」

「あれ? ミクトさんならいきなり闘技場に行くと思っていました」

「まだまだ鍛錬が足らんからな、技だけでも行けるだろうけどそれだと本物が居れば難しい、基礎能力を鍛えないと」

「ですね、このゲームレベルが無いので判断が難しいんですよ」

「前のゲームでもレベルは当てにならんだろ」

「まあ確かに……」

そんな話をしていると受付嬢のリフィナが大きな袋を持って戻って来た。



ドサッとテーブルに置き横にメモ用紙を置く。

「こちらが買い取り分の15万Gになります。こちらが宿への地図です」

袋をインベントリに入れ15万増えたのを確認した。

「ありがとうございます」

「では取引はこれで完了です。またのお越しをお待ちしております」

メモを取り立ち上がって部屋を出る時に振り返り質問した。

「すみません、どこか服屋を教えてもらえますか?」

リフィナは俺の服装を見てフフっと笑って答えた。

「そうですねそれでしたら……」



俺とエルはギルドを出て教えて貰った服屋へ向かった。

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