46 脅しと言う名の解決。
ダルは伯爵の家に向かい、俺は戻って来た騎士に城の中へと案内されていた。
「こちらの部屋でお待ち下さい、直ぐに宰相様が来ますので」
「ありがとう」
部屋に入るとメイドがお茶を入れてくれた。
ソファに座りお茶を飲んでいるとノックと共に扉が開けられ、初老の男が騎士と共に入って来る。
「どうもお待たせしましたかな」
長い髪を後ろに流し、口元と顎から白髪交じりの長い髭を生やしてる、鋭い目をし只者ではない雰囲気を感じる爺さんだ。
「俺は道場都市のトップをしてる者だ、お前が俺の弟子を脅迫した宰相か?」
俺のストレートな言葉にキョトンとしたあと口元を緩ませ答えた。
「いやはや、道場都市の噂は商人から聞いておりましたが……トップの御方は何か勘違いをしてるようですな」
「勘違い?」
すると眉間に皺を寄せ怒りを露わにし、視線に威圧を載せて俺を見ながら口を開いた。
「どこぞの小僧が、この帝国と肩を並べてると勘違いをしてるようだな」
「ほう……」
「道場都市と言ったか? 舐めた態度を取ると今日にでも潰してやろうぞ」
「……っく…………くっははははははは!!」
駄目だ、面白過ぎる!
宰相は怪訝な表情をした。
「小僧、何が可笑しい?」
俺は笑いを堪えながら答える。
「帝国が……偉いと……勘違いしてるし……ふぅー、典型的な貴族だなお前」
そう言った後俺は魔力に殺気を載せて解放する。
それだけで部屋に居る宰相と騎士とメイド達は青白い顔をして身体を震わせる。
騎士は何とか持ちこたえ剣に手を掛けるが抜けない。
こいつらを殺すかと思っていると扉が開いて騎士団長が入って来た。
「宰相殿! うおっ、何て殺気だ……達磨殿の師匠、どうか殺気を収めてくれぬか!」
騎士団長に視線を向け殺気を消した。
「ダルと一緒に伯爵の家に行ったんじゃないのか?」
騎士団長は額の汗を拭いながら答える。
「こちらが心配になってな、途中で戻って来たのだ……宰相殿、この方は達磨殿の師匠で……そう言えば名前を聞いて無かったな」
忘れてた。
「俺は神滅流師範のミクトだ」
「ミクト殿はあの達磨殿の師匠であるぞ宰相殿、何を言えばあのような殺気を当てられるのだ?」
「騎士団長、話はそいつを殺して終わりだ」
その言葉に騎士団長は目を見開き驚く。
少し間を空けて騎士団長は頭を下げた。
「すまぬ! どうかワシに免じて今回は許してくれぬか? 後ほど皇帝に事の経緯を報告し、しかるべき沙汰を出して貰う故に……」
はぁ~……。
「おい、宰相」
俺の言葉に宰相は青い顔を上げる。
「今度ふざけた事をやったら、次は警告なしで殺すからな」
その瞬間、また世界がドクンとなり二重に見えた。
またバグ?
まあいいか。
警告はしたので道場都市へと戻ると、達磨も女を連れて帰っていた。
「よう……その子」
俺はダルが連れて来た女を見て一瞬固まった。
病気で死んだダルの妹にそっくりなのだ。
リアルで弟子達と会った時に、ダルの妹にも会った事がある。
「なるほど、お前が気に掛ける理由が分かったよ」
ダルは照れたように頭に手を当てペコペコしている。
お前らしいな。
ネオワールドで弟子としてやっている時に妹さんは病気で死んで、その後間もなくダルは姿を消した。
色々思う事があったのだろう。
それから数日間、久しぶりにダルを鍛えたり過ごしていると俺に客がやって来た。
応接間へ行くとエルフの男が1人座っている。
会った事無い奴だな。
エルフの対面に座るとエルフが軽く頭を下げ挨拶をした。
「会うのは初めましてですね」
「会うのは?」
「僕は貴方の事をよく知ってますよミクトさん」
男はずっとニコニコしている、怪しい。
「誰だ?」
「僕は東雲峻と言います……分かりませんか?」
東雲峻……どっかで見た事あるような。
「メールにちゃんと名前を入れたはずですよ?」
「っ!! 開発の人か!」
東雲峻は深く頷いて答えた。
「正解です! いやー忘れられてたらどうしようかと思いましたよ……あっ、ここではシューと呼んで下さい」
態々開発の人が来るって何の用だ?
じっくり話を聞こうかね。




